スポーツホスピタリティ観戦者の研究 ラグビーワールドカップ2019日本大会から
【イメージ写真】
このホスピタリティシートは、上級カテゴリー観戦チケットに加え高品質な食事や飲み物、エンターテインメントなどの付加価値サービス含めたパッケージチケットであり、北米4大プロスポーツや欧州のサッカーやラグビーでは、30年以上も前から一般向けに販売されておりスポーツホスピタリティとしてビジネスが確立している。
日本では、相撲の升席やBtoBとしてプロ野球観戦のごく一部で招待用のVIPルームなどの類似例はあるものの、一般販売のケースはほとんどなかった。同大会で販売されたシート数は63,000席で全体のわずか3.6%であったが、売り上げ全体では25%をしめた。
本研究では、過去に調査対象として取り上げていなかったホスピタリティシートの購入者(N=371)の特徴を明らかにした。
ホスピタリティシート購入者は、年齢層が高く、男性の比率が高く、大会関連の消費額の比較では、チケット購入総額だけでなく、交通費、宿泊費、グッズ購入、観戦前後の観光への消費も、非購入を大きく上回る結果となった。また購入者の動機4要因「世界規模のイベント」「話題」「広告」「一流のプレイ」「ラグビー好き」と満足度3要因「ラグビー観戦」「飲食及びチケット」「近隣観光」に分類しホスピタリティシート購入者の特徴を分析した結果、広告などの情報提供やプロモーションの重要性など今後のマーケティングに向けても示唆があった。
アフターコロナでは、スポーツファンの行動変容と革新的なビジネスモデルの導入などが予想される。今回の調査研究がスポーツ観戦市場の新たな市場創出において一助となれば幸いである。
西尾建 山口大学
倉田知己 株式会社ジャパン・スポーツ& ツーリズム・プレミア
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