坪井 慶介の視点:まさに「こじ開けた」明本の先制弾がゴールラッシュの呼び水に。シャルクの対応力と適応力も素晴らしかった【ACL 浦和vs山東泰山】

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激闘が繰り広げられるAFCチャンピオンズリーグ。グループステージ突破を狙うJリーグ勢はアジアの難敵相手にいかなる戦いを見せたのか。DAZN解説陣が鋭い視点で試合のポイントを分析するとともに、次節の見どころを語る。

タイ・ブリーラムでのセントラル開催による中2日6連戦というスケジュールで、今後の対戦を考えると、浦和レッズはこの山東泰山戦でターンオーバーしてくることが想定されました。そこで新たにチャンスを得る選手のパフォーマンスに注目していました。

山東泰山はゴール前を固めてスペースを消してきました。第1戦の大邱FC戦を0-7で落としていて、一段と守備に力を入れて失点を防ぐことに重点を置いていると感じました。

なかなか前へ出てこない相手に対し、浦和はテンポが上がらずにいました。しかしそれでもダイナミックな動き、大外のレーンの活用を意図してできていたので、しっかり試合に入れていたと思います。

23分、大久保 智明選手の斜めのダイナミックな走りが変化をつけ、関根 貴大選手の積極性も絡み、明本 考浩選手が先制ゴールを決めました。まさに、こうした展開で求められる「こじ開けた」と言える良いゴールになりました。

そして後半開始からアレックス シャルク選手が交代出場し、ACLでのデビューを果たしました。するとさっそく53分にセットプレーの流れから、そして76分に豪快な直接フリーキックと立て続けに得点しました。ほとんど周囲と合わせる時間がなかったはずですが、しっかり走り切るところなど自分の特長を見せていたと思います。特に評価したいのが周囲とのコンビネーション。対応力、適応力も素晴らしいと感じさせてくれました。

(ディフェンダー出身の坪井さんならば、シャルク選手をどのように止める?)寄せていくと周りを上手く使い、パスをつけたあとシャルク選手自身がエリアへと進入して来そうです。なかなか掴みどころがないFWだと思います。うーん、どう対応しましょう?上手く周りとコンビネーションで止めて、何とか上手く孤立をさせたいですね。

(センターバックの知念 哲矢選手とショルツ選手の評価は?)攻められる機会はほとんどありませんでしたが、ふたりとも守備能力はもちろん高く、そのうえで、縦パス、裏へのパス、フィード、いずれも能力の高さを示してくれました。前半なかなか相手が出てこない状況でも、知念選手は3、4本としっかり味方に付けるパスを積極的に出していました。ショルツ選手はパスに加え、自らが持ち運んでギャップを生み出せます。とても安定した力を発揮していました。また、ふたりによるマネジメントも非常にしっかりしていたと感じました。

(あえて課題を挙げるとすれば?)守備ブロックを敷く相手に対し、パスのテンポが上がっていかない時間帯が比較的ありました。ボールを持てすぎると、多くの選択肢が見えてしまいます。するとそこでの判断に時間を使ってしまいがちです。
それが逆効果を生んでしまうこともあります。その「時間があることの逆効果」を意識して、相手が出てこなくてもテンポを上げてボールを動かしたり、テンポを落とさないことが求められる試合やケースが今後も出てくるでしょう。

3日後には、韓国Kリーグの大邱FCと対戦します。(2節にライオン シティ セーラーズに0-3で敗れ1勝1敗に)個々の能力の高い選手が揃っていて、外国籍選手も特長を備えています。浦和がこれまで対戦した2チームのように、自陣に引いて対応してくる相手ではないと思います。

もしかすると、相手が出てくることでの「やりやすさ」もあるかもしれません。しかし一方で、浦和は今大会、まだ相手からの厳しいハイプレスを受けていません。急に来られた時、対応が求められます。

大邱FCは2節でセーラーズに0-3と敗れました。しかしKリーグのチームは元気がないかなと感じても、突然次の試合、ガラッとチームの顔が一変することもあり油断できません。そこは本当に警戒しなければいけないでしょう。特に立ち上がり、これまでの2試合と同じような感覚で入ってしまうと、ガツンと来られてしまう可能性があります。フィジカルコンタクトの部分で、相手に勢いを与えない。特に最初はそこで上手く対応したいところです。

もちろん読めないところはあります。逆に自陣を固め、鋭いカウンターを狙ってくるかもしれません。ただ、その場合も、セーラーズや山東よりも脅威は増すでしょう。

(山東戦のMVPを上げるとすれば?)2ゴールのシャルク選手は良かったですが、ショルツ選手は安定した力を出すことはもちろん、攻撃の部分でも変化を生み出していて、その点が非常に評価できると思いました。PKもしっかり決めました。また後半に入った岩波 拓也選手もキックの使い分けで変化を付けて、アシストもしましたし、とても良かったです。

彼らは大邱戦でも鍵を握るはずです。守備の安定をもたらすことを前提に、岩波選手であれば縦パス、ひとつ越えての裏へのフィード、さらにサイドチェンジ、ショルツ選手であれば持ち運びやパスでの散らし、そこは過去2試合以上に精度とクオリティにこだわってもらいたいです。

浦和にとっては、グループステージ最大の山場を迎えます。大邱との2連戦で連勝を収めて、ノックアウトステージ進出に大きく近づいてもらいたいです。

AFCチャンピオンズリーグ2022 東地区グループステージMD3
大邱FCvs浦和レッズ
2022年4月21日(木)23時00分キックオフ(日本時間)
DAZN独占配信

後半開始からアレックス シャルク選手が交代出場し、53分にセットプレーの流れから、そして76分に豪快な直接フリーキックと立て続けに得点しました。 【©J.LEAGUE】

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