【UFC】優れた解説の極意とは? 二足の草鞋を履くドミニク・クルーズにインタビュー!

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【 Chris Unger/Zuffa LLC】

一時は兵役のためにオクタゴンから遠ざかり、2017年の復帰を経て今週末にUFC 273のメインイベントに登場する“ザ・コリアン・ゾンビ”ことジョン・チャンソンが強くインスパイアを受けたと語っているのが、コメンテーターとしても活躍するドミニク・クルーズだ。

アジアの選手からも水垣偉弥やソン・ヤドンのような素晴らしいコメンテーターが出ている。クルーズは選手とコメンテーターという2つの仕事について語りつつ、そういった新たな解説者やコリアン・ゾンビにメッセージを送った。

試合をしながらコメンテーターも務めること、2つの仕事の違い

楽しんでるぜ。2つの仕事の一番の違いは、テレビの仕事はオレ向きじゃないってことだな。これは人のための仕事だ。戦っているときは、観客のために戦っているけれど、もっとオレに直接的な関係がある。テレビでしゃべっているときは、アスリートたちの方に重点があって、家で見ている人たちにオレがアスリートたちについてどう説明できるかってところが大きい。

優れた解説とは

いい解説ってのは、アスリートの味方で、その時起こっていることをすべて網羅して伝えられることだと思う。つまり、オレはカラーコメンテーターなんだ。オレの仕事はいろいろなおもしろい狙いを伝えること。なぜその動きが使われたのか、どこで、どういうふうに、なぜ、いつ、そういう動きになったのかを、このスポーツを普段見ていない人にも分かるようなやり方で説明する。そういうことをやっているのなら、自分の仕事をしているってことになると思う。それに、俺がいいことを言っているとかじゃなくて、アスリートに寄り添ったものじゃなきゃならない。

特定のファイターが優れたコメンテーターになる理由と新人たちへの言葉

解釈がすべてなんだ。そう思わないか? 誰でもできる。俺が一番聞きたいのは、どうやって他よりも目立つのかってことだ。大衆が選ぶのは特定の人だけ。コナー・マクレガーとか、ロンダ・ラウジーとか、彼らのバトルだけじゃない。説明できない他の何かがある。そういう人たちは――たった1人ってわけじゃないが、ファンが、世界が彼らを選ぶ。“それ”がないなら、次にできるのは人々のために、アスリートのためにしゃべること。自分が話している人のために話す。自分がどう、とかじゃだめだ。自分が話している人がもっと理解され、批判されたり、正しいとか間違っているとか判断されるように、みんなが消化して理解できるようにかみ砕く。己を消せば消すほど良くなるのさ。

UFCが東南アジアの10の放送局に広がり、タイ、ベトナム、インドネシア等で解説されていることについて

他のアジアのアスリートたちがマーケットに飛び込むチャンスがあるのはうれしい。地域のテレビで取り上げられるようになったときに生まれるすべての仕事を考えるとな

チーム・アルファ・メールのソン・ヤドンが試合を希望していることについて

あれだけの腕前の、ランキング入りしている選手が俺に挑戦してくれるのは名誉だね。俺は元チャンピオンだし、すごく普通のこと。元チャンピオンと戦うことで、タイトル戦まで最速でたどり着きたいと思うもんさ。今はチャンピオンじゃないから、オレだってそうだ。だが、オレはあのチームのすべてが気に入っている。あいつがチーム・アルファ・メールに行ったのはすごくスマートだったと思うぜ。あのチームはレスリングがすごくいい。あいつは彼らにすごく合う。パワフルで、強く、爆発的でがっしりしている。チーム・アルファ・メールとは何年もずっとライバルで、あのチームには敬意しかない。時には誤解されることもあるってのは分かってる。オレが彼らについて何か良くないことを言ったとかな。正直なとこ、オレは冗談を言っているだけだと思うけど。あのチームを最大限にリスペクトしている。何年もとことん彼らと戦ってきたんだから、尊敬するしかないだろ? オレはソンをリスペクトしている。ユライア・フェイバーをリスペクトしている。チーム全体を尊敬しているし、彼らには愛しかない。彼らがまた俺と最高レベルの戦いをしたいと望んでくれることに感謝だ。オレも最高の相手と最高の戦いをしようと思ってるんでね。

いいと思うぜ。ソンは正しいことをやっている。あいつは自分の国を誇るべきだし、母国は彼のことを本当に誇るべき。あいつは今の自分を誇るべきなんだ。

バンタム級王座返り咲きには何勝が必要か

みんなに聞いてるんだろ? 彼らはタイトルを取るために何をしている? 俺に挑むんだろ? だから、俺がタイトル戦に行くためには誰に声をかけるか。それが問題だな。

試合を始めてからのMMAの最大の変化や進展は

始めたときから今までの一番のポジティブな変化は、テレビで放送されるようになったこと。最初は『Spike(スパイク)』。その後は『Fox(フォックス)』になって、それから『ESPN』だ。今は世界中のベーシックなケーブルテレビやその他のテレビで放送されていて、野球とかアメリカのレスリング、オリンピック、フットボール、ゴルフみたいな、数百年も存在してきたスポーツと同じ次元で見られるようになった。おかげで押しも押されもしないスポーツになったんだ。それに、1年を通じてバスケットボールやフットボールと同じくらいのイベントをやっているという事実がある。1週間に2回あるときもあって、1カ月では4回実施され、バスケットボールやサッカー、フットボールのペースに匹敵する。それに、シーズンという概念がない。いつも試合があって、常に新しいファイターがいる。だから、TVネットワークがあることによって本当に広まったし、記録的な速度で急上昇するプラットフォームになっている。

ジョン・チャンソンのファイター人生について思うこと

何より、コリアン・ゾンビはすごく礼儀正しい人間だと思う。俺たちを人間らしく保ってくれる、ああいう人間がこのスポーツには必要だ。

ファイティングの話でいえば、コリアン・ゾンビは最初から、WECの時代からいる。彼はタイトルを勝ち取っていた。タイトルを懸けて(ジョゼ)アルドと戦い、彼との最高の一戦で肩を壊した。その後は軍に入隊して、バトルに戻ってきた。冗談だろ? 周りの人の安全のために、生計を犠牲にしているやつをどれくらい知っている? 尊敬せずにはいられないだろ?

コリアン・ゾンビのような男の話をすれば、戦うこと自体をはるかに越えた話になる。彼がこれまで経験してきたケガや競技生活からの離脱、カムバックのせいさ。そして今、彼はもう一度トップと対峙しようとしている。彼がどう感じているかはよく分かるぜ。彼が自分のベストを尽くすことを祈っている。彼の前にはでかい山が立ちふさがっているが、これまでにたくさんの山を乗り越えてきたんだ。MMAにいるすべての人間にとっての、素晴らしいスタンダードだ。
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