Bリーグ マネジメントカップ2021:B2部門で3連覇を成し遂げた仙台89ERS
仙台が安定した強さを見せつけて3連覇!!
仙台はマーケティング分野と経営戦略分野でともに1位、経営効率分野で3位タイ、財務状況分野で5位となり、2位の熊本に6ポイント差をつけて堂々の3連覇となりました。
2021年は東日本大震災から10年目めを迎えたこともあり、感謝の気持ちを伝えるべく、また宮城県内を盛り上げるために、これまで試合を行っていなかった地域でも試合を行うなど、様々な地区に出向き精力的に活動しました。コロナ禍によるレギュレーションの緩和をうまく生かし、県内のファン・ブースターとのつながりを強化すると同時に、新たな支援者の掘り起こしにもつなげたBM手腕は見事です。
逆境の中で見せたBM(ビジネスマネジメント)面の底力をFM(フィールドマネジメント)面での力に変え、さらなる成長につなげることができるか、引き続き動向に期待です。
1stクォーター:マーケティング
平均入場者数
2020年シーズンにおけるB2の平均は前年比▲666人(▲47.3%)の740人となりました。
B2では元々、当分析で独自に集計したアリーナ集客率が50%を超えているクラブは無く、その意味では入場者数の制限が物理的に影響したものではないといえますが、会場との往復や会場内における感染リスクを気にして来場を見送るファン・ブースターが一定程度存在していることも事実です。一度足の遠のいた彼らをいかにすれば呼び戻せるのか、各クラブのBM施策がこれまで以上に重要になってくると考えられます。
2ndクォーター:経営効率
1勝あたりチーム人件費
本KPIは値の絶対値よりも他クラブとの比較においての相対的なポジションを確認することの方が有用な指標である点に留意が必要です。
2020年シーズンにおけるB2の平均は、前年比▲0.8百万円(▲13.7%)の5.0百万円でした。B2においても、中止試合の数が大幅に減少した影響で平均勝利数が増加しており、KPIの値は前年比で減少傾向となっています。
山形は、昨シーズンは本KPIが最下位でしたが、昨シーズンと同様にチーム人件費をB2平均以下としつつ、勝率を0.170の8勝から0.517の31勝まで劇的に改善させたことで一躍トップとなりました。一方の青森は、B2最小のチーム人件費でありながら昨シーズンは本KPIで2位と奮闘しましたが、2020年シーズンはB2で最も少ない勝利数(7勝)に留まったことで、パフォーマンスを大きく悪化させてしまいました。
3rdクォーター:経営戦略
売上高・チーム人件費率
2020年シーズンにおけるB2の平均は、前年比+5.6P(+13.8%)の46.5%でした。
本KPIにおいて健全な水準の目安といわれる50%を超えるクラブは4クラブありますが、なかでも西宮(87.2%)、香川(73.4%)、佐賀(67.9%)の3クラブが60%を超えている状況です。
本KPIはBM面の戦略が反映されやすい指標であり、FM面の成果を短期的に求めて即戦力を外から補強するなど、戦略的に高く設定する場合もあります。実際に西宮と佐賀の2クラブは売上規模としては下位の水準にありながらも、プレーオフへの進出を果たしています。
4thクォーター:財務状況
売上高
2020年シーズンにおけるB2の平均は、前年比▲3百万円(▲1.0%)の311百万円と、コロナ禍の影響を受け減少に転じました。トップは群馬の546百万円、最下位は香川の149百万円と、同一ディビジョン内でおよそ4倍の差が開いている状況です。
入場料収入の急回復が見込みにくい状況ではありますが、課題解決型のパートナーシップを推進しつつ、競技成績やスポンサー動向に左右されないバランスの取れた売上高構成を実現していく努力は、引き続き必要になってくるものと考えられます。
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