高校時代の運動部経験によるスポーツに対するイメージの違い : 大学新入生を対象とする2つの調査より
【イメージ写真】
大学1年生のスポーツに対するイメージは全体的に肯定的
その結果、現役高校生を対象に調査した先行研究同様、大学1年生のスポーツに対するイメージは全体的に肯定的であり、内容としては、スポーツの直接的なメリットである身体的な健康や精神的健康に加え、社会的な機能(密な人間関係の持つ肯定的な面)がかなり意識されていることが示された。さらに、課外スポーツ経験者の方が身体的健康以外の派生的な良い所を多く挙げており、これは、課外スポーツの中でさまざまな経験をする中で実感した結果ではないかと考えられる。
また、本研究のオリジナリティとして、スポーツに対するイメージの形成に高校時代のスポーツ活動の頻度や活動を重視する程度なども影響するのかを検討した点が挙げられる。活動を重視する程度や部内の役割の有無の影響は認められなかったが、週当たり参加日数が少ないほど望ましい言葉を連想するという結果が得られた。
先行研究同様に本研究においても全体的にスポーツについて望ましいイメージがあったことと併せると、密度の濃すぎるスポーツ活動によってスポーツの悪いところも経験せざるを得ないことや、強制による内的動機づけの低下などが原因として考えられよう。「強制」と表現したのは、週当たり参加日数の平均が運動部では5日を超えており、参加率も97%と大変高かったからである。かなり多くの時間を課外スポーツに費やしているために、スポーツが好き・楽しいという内的動機づけが下がってしまったと考えられる。
また、本研究の回答者たちはスポーツ関係の学部や運動部が充実した大学を選ばなかった時点でスポーツの競技レベルがあまり高くなかったことも関係している可能性がある。これらの結果は部活動マネジメントの観点から考えることができよう。
大橋 恵 東京未来大学
井梅 由美子 東京未来大学
藤後 悦子 東京未来大学
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