ランナーによるランニング関与の自己評価とイベント愛着の関連性-市民マラソンの参加者に着目して-

日本スポーツ産業学会
チーム・協会

【イメージ写真】

熱心なランナーのイベント愛着が有意に高いことが明らかになった。

本研究は、ランナーのランニング関与とイベント愛着の関係を明らかにすることを目的にした。特に本研究では、専門志向化の視点からランニングへの関与の自己評価に着目した。

調査は、2016年5月に愛媛県西予市で開催された四国せいよ朝霧湖マラソンの参加者に対して質問紙調査を実施した。調査項目は、先行研究を参考にして設定した。ランナーの自己評価は、タイプ1(ファンランナー、健康・美ランナー、競技志向ランナー)、タイプ2(初級ランナー、中級ランナー、上級ランナー)、タイプ3(熱心なランナー、活発ランナー、カジュアルなランナー)を設定し、それそれ自らに一番近い選択肢を選んでもらった。
イベント愛着は、イベント依存性とイベント同一性に2要因であり、尺度は「大いに当てはまる」から「全く当てはまらない」の7段階尺度を採用した。分析は、一元配置の分析分析を行った。

結果は、タイプ1とタイプ2で分類したランナー間においてイベント愛着の2要因について、有意な差が認められなかった。一方で、タイプ3は、熱心なランナーが、それ以外の2つのランナーに比べてイベント愛着が有意に高いことが明らかになった。

本研究の結果からは、どの程度ランニングや市民マラソンへの参加にのめり込んでいるかということを示唆するものであった。特にタイプ3でイベント愛着に差が認められたことは、タイムなどで評価するのではなく、ランニングに対する社会心理的な部分が影響をしていると理解することができる。全国各地で市民マラソンが開催される中では、こうしたランナーの志向とイベント愛着の関係を明らかにすることで、イベントマネジメントやスポーツイベントを通じた地域活性化における基礎資料を提供するとなる。

今後は、量的調査だけでなく、質的調査などを通じてさらにランナーの自己評価とイベント愛着の関連性をさらに検証することが求められる。


岡安 功 広島経済大学
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