「大学時代に体育会系であった勤労者は精神的に優れているか? -東京都に位置する総合私立大学の卒業生を対象として-」
【イメージ写真】
運動・スポーツ活動を中心とした心理社会的活動を経験したことによる精神的優位性を確認
これは、わが国において、100年にわたって根づく通説です。はたして神話か? 実話か?
大学で運動部に所属する学生のことを「体育会系」と呼びます。一般的に、体育会系は、精神的な優位性を持っていると考えられています。しかし、体育会系が卒業して社会に出た後も、精神的な優位性を持ち続けていると裏づける定量的なデータは見当たりません。
そこで本研究では、大学在学中に体育会に所属していた体育会系の卒業生と、体育会に所属していなかった非体育会系の卒業生を対象として、両者の精神的要素を比較しました。本研究の対象者は、東京都にある四年制の私立大学を卒業して10年以内の若手卒業生477名 (体育会系246名、非体育会系231名) でした。
分析の結果、体育会系卒業生の方が、非体育会系卒業生よりも、現在の主観的幸福度とワーク・エンゲイジメント (仕事に関連するポジティブで充実した心理状態) は高く、現在の心理的ストレスは低いことがわかりました。よって、非体育会系卒業生よりも、体育会系卒業生の方が、卒業後の精神的要素は好ましいことが明らかとなりました。
体育会系として、フォーマルな雰囲気を持った運動部に所属して、運動・スポーツ活動を中心とした心理社会的活動を経験したことによる精神的優位性を確認できたことには、大きな価値があると考えています。
荒井 弘和 法政大学文学部
杉本 龍勇 法政大学経済学部
増田 昌幸 日本経済大学経営学部
釜野 祥太朗 法政大学保健体育センター
徳安 彰 法政大学社会学部
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