近年のスポーツブランド市場の拡大と台頭するSPAの現状比較

日本スポーツ産業学会
チーム・協会

【イメージ写真】

メガ企業といえる5社に共通するのはアスレジャーを意識した製品展開やグローバルな協力生産拠点と販売網

ここ数年、スポーツ用品・スポーツブランド関連の製品やサービスは世界中に市場を拡大しています。スポーツウェアやトレーニングウェアを日常生活の中で着用する「アスレジャー」というスタイルが世界的なブームとなっていることも、要因の一つであるといえるでしょう。

スポーツ用品・スポーツブランド関連市場に関わるプレーヤーは大きく分けると三つあります。
一つ目は、NikeやAdidasに代表される世界的なスポーツブランドです。二つ目は、近年成長著しいINDITEXやH&M、ファーストリテイリングに代表される「ファストファッション」を展開するSPA(製造小売業)とよばれる新業態です。三つ目は、日本国内のスポーツ用品メーカーです。
本稿では、スポーツ用品・スポーツブランドに関連する企業を横断的に比較したデータが限られていると考え、関連する代表的な企業の経営状況の最新データの比較検討を行いました。

その結果、年間売上高4.4兆円企業のNIKEを筆頭に、INDITEX(3.6兆円), H&M(3.0兆円), ADIDAS(3.0兆円), ファーストリテイリング(2.3兆円)の5社が他社を圧倒していることがわかりました。これらアスレジャーに関連するメガ企業といえる5社に共通するのは、スポーツ用品・スポーツブランドまたはアパレルブランドとしての基盤を持ち、それぞれがアスレジャーを意識した製品展開も行っていることと、グローバルな協力生産拠点と販売網を持っていることです。

日本の国内スポーツ用品ブランドは、堅実な経営を国内市場中心に行っているものの、海外売上高比率を上げていくことによって成長している世界的スポーツブランドやSPAと比較すると厳しい状況といわざるをえません。
元来日本企業は電化製品のみならずスポーツ用品においても世界を魅了する商品を世に送り出してきました。 国内スポーツ用品メーカーは、国内でも無難にビジネスとして成り立っていますが、NIKEもADIDASも自国だけでなく世界のスポーツブランドとして新興国やアスレジャーの需要を取り込んで成長を続けています。更なる成長を目指すためには、世界に進出して各地域の需要やトレンドに即した展開を行っていく必要があります。

国内でも、自社の強みを活かした製品開発を行うと同時に、アスレジャー需要を取り込んで既存の世代のみならず新しい世代に支持されることと、ブランド力をつけて海外からのインバウンドに応える価値あるサービスの提供をしていく必要が求められているといえるでしょう。


齋藤 れい 桐蔭横浜大学スポーツ健康政策学部
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著者プロフィール

日本スポーツ産業学会は「スポーツ産業の健全な発展に寄与できる学会」「産官学の共同による開かれた学会」「国際性豊かな学会」等を中心テーマとし、平成2年に設立されました。 当学会が運営している「SPORTS BUSINESS ONLINE」は、論文誌「スポーツ産業学研究」、情報誌「Sports Business & Management Review」に続く第3の情報媒体として2021年に開設したWebジャーナルです。 コンセプトは「スポーツビジネスのあらゆる情報が集結するオンラインジャーナル」。 本学会が主催するセミナーや学会大会などの情報(案内・プログラム・講演録)や、論文記事情報などを中心に様々な情報を発信しています。

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