フィギュアスケート女子:坂本花織、樋口新葉、河辺愛菜の北京。12年ぶりの快挙

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【(C)Getty Images】

※女子フィギュアスケート、およびフィギュアスケート団体戦の成績は全て暫定扱いとなる。

大会初日の2月4日からフィギュアスケート最初の種目である団体が行われ、女子は樋口新葉がショートプログラム(SP)に、坂本花織がフリースケーティング(FS)に出場し、日本チームのメダル獲得に貢献した。そして女子シングルは2月15日と17日に行われ、坂本が銅メダルを獲得、樋口新葉が5位入賞、河辺愛菜が23位だった。

坂本花織:日本女子12年ぶりのメダル

・団体:FS 148.66点(2位)
・女子シングル:3位 233.13点(SP79.84点 3位/FS153.29 3位)

坂本は団体では、勝負を決めるFSに出場。ノーミスの演技で、日本チームがつないだバトンを最高の形で締めくくった。2位となる148.66点で、日本のメダル獲得に貢献している。

団体の8日後に行われた女子シングルのSPは、ゴールドの新衣装で臨んだ。直前で演技したアンナ・シェルバコワが80.20という高得点をたたき出し、興奮冷めやらぬ会場で演技をすることになったが、坂本はすぐに自分の世界を作り上げた。

冒頭の2回転アクセルを成功させると、3回転ルッツとコンビネーションジャンプも全て成功。スピード、飛距離、着氷後の流れ全てが完璧なジャンプに高いGOE(出来栄え点)が付いた。1つ1つのスケートの伸びも良く、複雑な動作でも深いエッジワークと、疾走感のあるステップで自由を表現。演技後、中野園子コーチとハグをした坂本は涙を見せた。79.84点と自己ベストを出し、SPを3位で終える。

FSは直前でSP4位のアレクサンドラ・トゥルソワが4回転ジャンプ5本を構成に入れたプログラムで、177.13点と歴代2位をたたき出した。SP同様プレッシャーのかかる状況の中、坂本はFSでも7つ全てのジャンプを成功させる。GOEは全て1点以上、特に3回転フリップ+3回転トーループのコンビネーションと最後の3回転ループのGOEは2点以上と、圧倒的な質の高さを見せた。

また、演技構成点では5項目全てで9点台。パフォーマンスの項目では10点を付けるジャッジもいた。団体を上回る153.29点で、FSも自己ベストを更新。総合でも3位となり、女子ではバンクーバー2010の浅田真央氏以来となるメダルを日本にもたらした。

樋口新葉:オリンピック史上5人目の偉業達成

・団体:SP 74.73点(2位)
・女子シングル:5位 214.44点(SP73.51点 5位/FS140.93点 6位)

団体ではSPに登場した。女子シングルの結果で日本の予選通過が決まる局面ということもあり、樋口は3回転アクセルを回避、確実な構成で臨んだ。全てのジャンプをきれいに決め、スピン、ステップもレベル4をそろえた完璧な演技を見せ、74.73点でSP2位につけた。この結果、日本チームは予選3位で決勝進出を決めている。

女子シングルは全体の20番目に登場。SPから3回転アクセルを構成に入れてきた。直前の6分間練習の終盤、余裕のある3回転アクセルを降りて、その時を待った。ポーズの位置につき、音楽が流れるのを待っている時からリラックスした表情が印象的だった。

6分間練習の良い感触そのままに、冒頭の3回転アクセルを成功。その後のコンビネーションジャンプ、3回転フリップも着氷した。ステップでは柔らかな歌声を全身で表現し、笑顔でプログラムを滑り切った。コンビネーションジャンプの回転不足などがあり、点数は予想より伸びなかったが、それでも73.51点でSP5位。2日後のFSを最終グループで迎えることになった。

そして樋口はFSでも冒頭3回転アクセルに挑戦し、きれいに着氷。GOEで1.83点と高い評価を受け、SP、FS両方で3回転アクセルを決めたのは、今大会の女子選手では樋口ただ1人だった。続く、コンビネーションジャンプでは転倒というミスはあったものの、その後のジャンプは全て成功した。

躍動感のあるステップとコレオシークエンスで、ライオンキングの世界を表現して、140.93点でFSの順位は6位。SPとの合計で総合5位入賞と好成績を収めた。

河辺愛菜:悔しさが残るも貫いた攻めの姿勢

・女子シングル:23位 166.73点(SP62.69 15位/FS104.04 23位)

河辺は、個人戦のみの出場だったため、2月9日に北京入りした。SPは第1グループで全体の4番目に登場、純白の新衣装で臨んだ。直前の6分間練習でアクセルジャンプの助走の確認をしていたが、苦戦しているように見えた。

演技が始まり、冒頭の3回転アクセルは転倒してしまったが、その後の3回転ルッツ+3回転トーループはセカンドジャンプが高く、完璧に着氷。3回転フリップはアテンションマークが付いたが、最小限の減点で抑えた。また、ステップではバイオリンの音色に合わせ、深いエッジワークと丁寧な滑りを見せるなど、初出場ながら堂々たる演技を見せる。しかし得点は62.69点と自己ベストには10点以上届かず、15位でSPを終えた。

FSも新しいブルーの衣装で臨んだ河辺。6分間練習で何度も3回転アクセルの確認をしていた。11番目に登場すると、3回転アクセルではステップアウトしてしまい、ダウングレード判定。3回転ルッツからのコンビネーションジャンプを2つ用意していたが、どちらもコンビネーションにできず、その後のジャンプでもリカバリーできなかったため、コンビネーションは1つしか入れることができずに終わった。

ジャンプにミスはあったものの、情感を込めたステップでは最高のレベル4。2年間使用していたプログラムを最後まで滑り切った。演技後、悔しい表情を浮かべた河辺だったが、SP、FSと最後まで挑戦し続けたことは彼女のスケート人生において成長の糧となるだろう。FSは104.04点、総合23位で大会を終えた。

文=石川千早弥
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