【鳩スタ殿の13人】#003 内藤洋平(鎌倉インターナショナルFC 選手兼フロントスタッフ)ー「鳩スタ」はサッカーをするだけの場所じゃないことを伝えたい

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【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

 神奈川県リーグに所属する鎌倉インテルが、民間の力だけでつくり上げた自前のホームグラウンド「みんなの鳩サブレースタジアム」(通称「鳩スタ」)。雑草の生い茂っていた古都・鎌倉の広大な空き地に誕生した「鳩スタ」は、その名の通りに「みんなの思い」が形になった場所だ。

 ここでは「鳩スタ殿の13人」と題して、「鳩スタ」に関わる人々のそれぞれの思いに迫る。今回は、Jリーグでの10シーズンを経てギラヴァンツ北九州から鎌倉インテルに加入したMF内藤洋平。

(文・本多辰成/スポーツライター)

鎌倉インテルのビジョンは「自分のやりたいこと」と重なっていた

 内藤洋平が鎌倉インテルと「鳩スタ」の建設計画を知ったのは、J2リーグを戦うギラヴァンツ北九州に所属している時だった。

「北九州に所属している時から社会人チームにも興味があって、いろいろと調べていたんです。そのなかで鎌倉インテルの存在を知って、スタジアムの建設計画やそのためにクラウドファンディングを行っていることなどに興味を持ちました。カテゴリーやプロかアマチュアかということに関わらず、スポーツが持つパワー、ポテンシャルを感じるすごいプロジェクトだなと率直に感じました」

 8シーズンを過ごした北九州は、契約満了により2020年シーズン限りで退団。次の進路をどうするべきかと考えた時、内藤の頭に浮かんだのが鎌倉インテルだった。Jリーグで10年間プレーしてきた内藤が神奈川県リーグ2部に所属するチームを選択したのは、クラブのビジョンが「自分のやりたいこと」と重なっていたからだ。

「サッカークラブの価値は人と人をつなげることであったり、地域の中で存在感を生み出すことにあるとプロでの10年間を通して感じていました。応援してくれる人の存在がプロ選手としての価値を与えてくれる。そういう意味で鎌倉インテルのビジョンは自分のやりたいことと重なっていると思いましたし、プロとして経験してきたことを生かして新しい挑戦をする場としてすごくいいクラブなんじゃないかと」

 北九州を退団した2021年春、内藤は神奈川県リーグ1部昇格を目指して戦う鎌倉インテルに加入した。

鎌倉インテルのエースとして中盤を牽引する内藤洋平(写真一番右) 【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

「応援されるクラブ」のつくり方を内側から見てみたい

 内藤は神奈川県横浜市の出身。神奈川の強豪・桐光学園高から立命館大を経て当時J2の京都サンガF.C.に入団した。京都は2年で退団となり、北九州に移籍して8シーズン。Jリーガーとして計10シーズンを戦うなかで、徐々に感じるようになったことがあるという。

「プロのクラブというのは選手が商品です。スタッフは選手に負担をかけないように動いてくれるので、選手は整えられた舞台でサッカーをすることができる。その結果、スポンサーやスタッフなどの存在が当たり前のようになってしまっている部分があったと思います。周りの人たちがどのようにして選手たちに舞台を用意してくれているのか。そういったことに徐々に興味を持つようになりました」

 プロの本質は応援される存在であることにある。では、応援されるサッカークラブをつくるにはどうすればいいのか。それを内側から見てみたい、という思いが鎌倉インテルを進路に選んだ大きな動機となった。

 鎌倉インテルに加入して2シーズン目を迎える内藤は今、フロントスタッフのひとりとしてもクラブの力となっている。

「今季は物販担当として、クラブのグッズ販売の面を中心に活動しています。もともとこのカテゴリーではサッカーで収入を得られないことは分かっていたので、最初はここでサッカーをしながらいろいろ勉強させてもらい、働き口は別に見つけようと考えていました。でも、クラブ側からクラブの中で働いてほしいという打診をいただいてので、僕としても『それはもう、一番やりたいことです』と」

今季は物販担当として、グッズ販売を中心として活動する 【鎌倉インターナショナルFC】

「鳩スタ」のような場所は、Jリーグにはなかった

【DAN IMAI】

 内藤が「自分のやりたいことと重なる」という鎌倉インテルのクラブビジョン。それを実践する場として機能するのが「鳩スタ」だ。チームに加入して数カ月後に誕生したクラブ自前のホームグラウンドの力を、すでに強く実感しているという。

「社会人サッカーの場合、学校の部活やプロのクラブと違ってなかなかチームのアイデンティティとなるような場所がありません。そういう場所を提供できるこのクラブには、他にはない価値があると思います。そして、そこに地域の人たちが名前も知らない選手たちの試合を見に来ている。それってすごく素敵なことだと思うんです。プロでなくても応援される存在であることができる、という素晴らしさがそこにはあると感じています」

 内藤が北九州に所属していた2017年、クラブの新ホームとなるスタジアムが建設された。素晴らしい本拠地の誕生に内藤はその時も興奮を覚えたというが、「鳩スタ」が成し遂げたことはある意味でそれ以上の価値があると感じている。

「自分たちの手でつくった場所であるというのは、本当に大きなことだと思います。そのストーリーを知って足を運んでくれる方もいて、僕たちの試合に一緒に臨んでくれる。Jリーグで10年やってきましたが、そんな場所はありませんでした。ある意味ではプロでも成しえないことを僕らはしていると思いますし、誇りを持てる場所です」

「鳩スタ」はサッカーをするだけの場所じゃないことを伝えたい

「鳩スタ」へお散歩に訪れた園児たちとの交流 【鎌倉インターナショナルFC】

「鳩スタ」が完成した2021年シーズン。鎌倉インテルはリーグ戦序盤で2敗を喫する苦しいスタートを切った。だが、ホームグラウンド完成後は見違えるように白星を重ね、「鳩スタ」で行われたリーグ戦は4戦全勝。チームにとっても本拠地の存在は絶大だった。

「『鳩スタ』の存在はチームにとっても本当に大きなものだったと思います。プロの場合は何千人、何万人という観客の前で試合をすることがほぼ決まっていて、そのために日々追い込んでいる。でも、社会人の場合はそうではないのでモチベーションを見つけるのが難しいと思いますが、『鳩スタ』が選手自身がサッカー選手であることに気付ける場所になっているように感じます」

 内藤にとって鎌倉インテルで送る2年目のシーズンとなる2022年。創設5年目を迎えるクラブとしては、なんとしても県リーグ1部昇格を果たしたいところだ。もちろん内藤もカテゴリーを上げていくことの重要性は承知しているが、それだけではない面もあると考えている。

「強いチームが応援されるのは間違いないことですし、もちろん上を目指していく姿勢は絶対に持ち続けなければいけません。新シーズンは昇格へ向けて手ごたえも感じていますが、クラブとしての理念とか目的を見失わないようにしなければいけないとも思っています。もっともっと地域の人たちに鎌倉インテルの存在を知ってもらいたいですし、『鳩スタ』はサッカーをするだけの場所ではないということも伝えていきたいと思います」

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著者プロフィール

鎌倉インターナショナルFC

鎌倉インターナショナルFC(通称:鎌倉インテル)は、世界で最もグローバルなスポーツであるサッカーを通じて未来の日本を国際化していくため、2018年に設立された新しいサッカークラブです。現在は神奈川県社会人リーグに所属していますが、プロサッカークラブ(Jリーグ参入)、そして世界を目指して活動をしています。『CLUB WITHOUT BORDERS』をビジョンに掲げ、日本と世界を隔てる国境をはじめ、人種や宗教、性別、年齢、分野、そして限界、あらゆる“BORDER”(境界線)をもたないサッカークラブを目指しています。

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