「ここで満足できない、もっと上手くなる」 選手としての幅を広げ、近い将来に日本代表に #3エリエット・ドンリー

大阪エヴェッサ
チーム・協会

【Copyright © OSAKA EVESSA . All Rights Reserved】

「昨季はルーキーだったから、逆にプレッシャーはなかったですね。全力でプレーして、結果を出せばいいと思っていました。実際にBリーグでプレーしてみて、タフなリーグだなと感じました。とくにフィジカルとディフェンス、そのふたつですね。アメリカだとファウルになるプレーでも、日本では笛が吹かれない。そういうことに慣れたりする必要がありました」

母国でプロデビューを果たした昨シーズンを振り替えり、エリーこと#3エリエット・ドンリーはそう語る。昨季はルーキーながら開幕戦から起用され、レギュラーシーズンを通じては54試合中51試合に出場。1試合平均15.3分のプレータイムを得るなど、1年目の新人としては堂々たる成績を残した。

「昨季はシーズンが進むごとに慣れていったこともあって、自分でも上手くなっていっているなと感じていました。なかでもディフェンスとシュートが、良くなったかな。だけど今季のほうが身体の使い方やディフェンスの面で、昨季よりも上手くなっていると思います。ここで満足していられないので、もっともっと上手くなりたい」

もっともっと上手くなるために、シーズンオフは走力とフィジカル、そしてディフェンスの強化に集中して取り組んだ。

「昨シーズンを戦ってみて、ディフェンスへの意識は強くなりました。相手にプレッシャーをかけるだけではなく、もっと仲間の選手がなにをやりたいかを考えてディフェンスをしています。それに僕は3番ポジション(スモールフォワード)では、ほかの相手選手と比べて背が高いアドバンテージがあるので、それをもっと上手く利用したい。昨季より成長して、チームからディフェンスやリバウンド、シュートももっと信用されていると思います。だからこそ、結果を出さないといけない。そういう意識でいます」

チーム内にはポジションを争うライバルが少なくない。試合に出るために必要な、彼らにはない自らの特徴はパスであると言う。

「ドライブしても空いてる仲間が見られるので、そこからパスが出せる。これは、僕の強みだと思います。昔からシュートより、パスのほうが好きだったんです。自分がセルフィッシュ(自己中心的)にやりたくないので、パスを出している面もあります。小さいころから両親に、自分勝手なことはするなと教えられてきたので、そのせいかもしれない(笑)。チームには、そういう役目の選手も必要だと思うんです。自分がパスを出して、ほかの選手が得点を決めたほうが気持ちいい。僕もチームのために、仕事ができたことになりますしね」

今後はパスにさらなる磨きをかけることはもちろんだが、それだけでは厳しいプロの世界で渡り合ってはいけない。彼自身も当然、それを理解している。

「僕がアグレッシヴに得点をねらえば、相手のディフェンスが寄ってくる。そうなると、どこかで見方の選手が有利な状況になったり、パスを出すチャンスも増える。自分がステップアップするために、それは必要だと感じています。練習のときからスキルコーチにも『オプションとしても、もっと積極的にアタックすることを意識したほうがいい』と言われて、学んでいます。これからはそれを、試合でも出していきたい」

【Copyright © OSAKA EVESSA . All Rights Reserved】

彼自身は、11月に行われた日本代表候補の合宿に招集された。ここに参加し、さらに上を目指す意識が高まった。

「代表候補の合宿にはいい選手がたくさんいて、彼らがどんなことを考えてプレーしているのかが体験できて、僕も成長できた。練習から激しく、毎回100%の力でプレーしている選手もいて、自分も頑張らないとと思わされましたね。本当にいい学びの機会になったし、日本代表に選ばれるんだという気持ちがより強くなりました」

チームは現在、12勝11敗で西地区6位。開幕から好スタートを切ったとは言えないが、振り返れば昨季も、2020年内は13勝12敗と同じような成績だった。だがそこから追い上げ、最終的には初のチャンピオンシップ進出を果たした。昨季を経験しているエリーは、今季もここからチームが上昇する気配を感じている。

「ケガ人がいたり、新しい選手が入ってきたりして、最初は少しチームとしてのフィット感が足りなかったと思うけど、最近はみんなが慣れてきた。#10デイビッド・ドブラス選手も途中加入だけど、チームに馴染んでいます。昨季も始めのころはあまり良くなかったけど、みんながお互いのプレースタイルをわかりあってきて、どんどん良くなっていった。今季もこれから、もっともっと勝つと思います」

私生活に目を向けると、初めての日本での生活は2年目を迎えた。日本語もメキメキと上達し、今や生活に不自由がないまでのレベルにある。さぞや、大阪暮らしを満喫しているかと思えば……。

「ひとりで出かけることって、ほとんどないんですよ。外出するとしても、チームメイトとご飯を食べに行くくらい。買い物もしないし。バスケして、ご飯を食べて寝る。ツマんない生活をしています(笑)。部屋では自分のバスケのことも考えないようにしていて、YouTubeを見たり、たまにゲームをするくらいかな」

チームは全員の仲が良く、なかでも同世代の#1青木龍史、#8ジャワラ ジョゼフ、#11ザック・モーアらとは頻繁に食事に出かける。

「食べに行くのは焼肉、しゃぶしゃぶ、お寿司、その3つかな。観光で来た外国人みたいですね(笑)。ほかにはメキシコ料理とか。僕は日本語の会話は大丈夫だけど、読み書きはまだ苦手(笑)。ひらがなとカタカナだったら大丈夫だけど、読めない漢字がけっこう多いんです。そういう点では、たまに大変な場所もある。レストランのメニューが日本語だけの場合は、リュウジにお願いします。そんなときに、リュウジは便利なんです(笑)」

今節の相手、名古屋ダイヤモンドドルフィンズには、昨季までエヴェッサでプレーした伊藤達哉が在籍。慕う先輩との対戦を、彼は心待ちにしている。

「タツヤさんは、いい先輩なんです。優しくて、面白い人。初めから僕に優しかったし、バスケのことも生活のこともよく話していた。1年目でいい経験をさせてもらって、感謝しています。名古屋Dは走るチームだし、オフェンスが強いのでディフェンスに集中しないといけない。タツヤさんと直接マッチアップすることはないかもしれないけど、僕の前で得意のフローターショットを打ってきたら、ブロックショットしたいね(笑)」

エリーはプロ2年目の自身の進化をファン・ブースター、そして世話になった先輩に見せる意気込みでいる。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

2005年にクラブ創立。七福神のお一人で商売繁盛の神様である「戎様」を大阪では親しみを込めて「えべっさん」とお呼びするところから、 人情・笑い・商売の街大阪を活気づける存在であることを願い「大阪エヴェッサ」と命名。 同年にスタートしたbjリーグで開幕から3連覇を成し遂げる。 2016年9月に開幕した男子バスケットボールの最高峰・Bリーグでは、ホームタウンを大阪市とする大阪唯一のクラブとしてB1に参戦。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント