早大ラグビー部 前半のリードを守り切り、伝統の一戦を制す 大田尾監督・長田主将・FB河瀬ら詳細コメント

チーム・協会

【早稲田スポーツ新聞会】

関東大学対抗戦 11月23日 対慶大 東京・秩父宮ラグビー場

早稲田スポーツ新聞会 (記事 大滝佐和、写真 横澤輝)


11月23日、穏やかに晴れた空が広がる東京・秩父宮ラグビー場で、今年も伝統の一戦が行われた。関東大学対抗戦(対抗戦)も終盤に差し掛かり、ここまで4勝1敗で今試合を迎えた早大。前半は終始主導権を握り、5トライを挙げて慶大を突き放した。しかし、後半は慶大ペースにもちこまれ、徐々に点差を詰められる。だがその追い上げを振り切って、40―33で試合終了。接戦を制し、2015年から続く連勝を7に伸ばした。


  開始6分、NO・8佐藤健次(スポ1=神奈川・桐蔭学園)が体を反転させて相手をかわし、先制トライを挙げる。17分には、FB河瀬諒介(スポ4=大阪・東海大仰星)がステップで相手を翻弄(ほんろう)しながら突破。パスを受けたフランカー相良昌彦(社3=東京・早実)が、インゴールへ飛び込んだ。21分に慶大が得意とするラインアウトモールで失点するが、早大の勢いは止まらない。29分、今季対抗戦初出場となったフッカー原朋輝(スポ4=神奈川・桐蔭学園)が、パスを受けた後、ゴールポスト左側をめがけて独走し、そのままトライ。その後34分には、SO伊藤大祐(スポ2=神奈川・桐蔭学園)が慶大のパスミスでこぼれたボールをグラバーキックで敵陣へ。自ら拾い上げてグラウンディングし、雄たけびを上げた。そして40分にも追加点を挙げ、大きくリードするかたちで前半を折り返した。

今季対抗戦初出場で初トライを飾った原 【早稲田スポーツ新聞会】

しかし後半、慶大が反撃に出る。7分、14分に再び慶大にラインアウトからのモールトライを許し、点差を縮められる。だが31分、ターンオーバーしてボールを得たフランカー前田知暉(社3=大阪・東海大仰星)が大きくゲイン。残り5メートルほどまで攻め入ると、SO久富連太郎(政経2=島根・石見智翠館)がさらに前進し、最後はSH宮尾昌典(スポ1=京都成章)がインゴールを叩き割った。しかし36分には慶大に4度目のモールトライを献上。43分にもディフェンスをかわされてインゴールを明け渡す。慶大の猛追にあったものの、早大は最後までリードを守り切り、40-33でノーサイドとなった。

早稲田スポーツ新聞会 【パスを放る伊藤】

強みであるアタックが光り、良い滑り出しを見せてからそのまま逃げ切った早大。しかし後半、相手が変えてきた部分について「それに対応するディフェンスがなかなかできなかった」と大田尾竜彦監督(平16人卒=佐賀工)は振り返る。次戦の相手は宿敵・明大。昨季の対抗戦ではセットプレーや接点でのミスから流れをわたしてしまい、14ー34で敗れている。今年も、簡単な試合にはならないだろう。『荒ぶる』奪還への弾みをつけるために、課題は修正し、強みには磨きをかけて、対抗戦最終節を勝利で飾りたい。
コメント

大田尾竜彦監督(平16人卒=佐賀工)※記者会見より抜粋

――今日の試合を振り返ってください

 前節の帝京大戦での敗戦から学ぶことをしっかりグラウンドに落とし込んで、試合に臨みました。前半特にリードが多かったと思うんですが、後半は遅れてしまったということで、勝ったのは素直によくやってくれたなと思います。次の試合に向けて、見えた課題をしっかり潰していきたいなというところです。

――10番に伊藤大祐を起用されましたが、今日のプレーをどのように評価していますか

 今日のプレーで言うと良かったと思いますね。ボールを持つところで持って、仕掛けるところは仕掛ける。彼の良さであるランニングプレーも出ていました。

――前半と後半で守備が大きく変わりましたが

 帝京大戦もですが、ゲームプランを状況によって変えることは必要だと思うんですよね。例えば、今日は前半非常にいい流れで、後半相手も少し変えてきて、それに自分達も対応しないといけないとなった時に、前半上手くいったことが後半上手くいくとは限らないというところの勉強がまだ足りないと思います。今日の後半で言うと、ディフェンスですね。9番フェーズが多かったのを10番フェーズに変えてきた慶応に対して、我々がそれに対応するディフェンスがなかなかできなかった。結果として相手がボールを持つ時間が増えてこちらが走らされて、という。帝京さんに関しても同じことがいえると思うので。キッキングプランを持っていたけどうまくいかない、じゃあどうしよう。これはスクラムも全部一緒ですね。そこが一番の課題だと思いますし、大学選手権を通るために今一番重要かなという風に僕は思っています。

――長田選手の交代はどういった意図でしたか

 長田を後半の頭から交代させたことについては、単純にコンディションのところですね。この試合も大事ですけど、まだまだ試合は続くので、そこをしっかり見据えてというのと、代わりに入れた久富(CTB/SO久富連太郎、政経2=島根・石見智翠館)というのが今うちで一番勢いのあるメンバーの1人なんですよ。今日はやられてましたけど、彼を出したことについてはそんなに迷いはなかったです。

――今日勝てるなと思った瞬間はありましたか

 今日を迎えるにあたって、2週連続でジュニア選手権がありました。その時に体を張ってくれていた4年生がチームに勢いを与えてくれてここまでたどり着けたなと思います。今日のロッカールームもすごく雰囲気が良くて、今日はいい試合をしてくれるんじゃないかなという気持ちではありました。

CTB長田智希主将(スポ4=大阪・東海大仰星)

――今日の試合を振り返ってください

 監督からもあったように、前回の帝京大戦から出た課題をこの期間でしっかり克服してこの試合に臨みました。その中で、前半僕達の強みであるいいアタックが出た場面もありましたし、後半にはブレイクダウンなどのストイックなところで課題が見られたと思うので、しっかり修正して明治戦につなげていきたいと思います。

――良いアングルチェンジが多く見られましたが、組織としてのアタック、ディフェンスの熟成度はどうでしたか

 アタックの部分に関しては、やはり帝京大戦ではあまり良いアタックが出来なくて自分達の強みが出せなかったというところでした。(それを踏まえて今日は)アングルチェンジのところで言うと、慶応大学のディフェンスの圧力に対して、切りに行くプレーではあったと思っていて、良いアタックができたと自分達でも(感じています)。

――慶應のディフェンスを考えた上でのアタックでしたか

 はい。対応はしっかり考えていました。

――監督がゲームプランは状況によって変化する、とおっしゃった時に深くうなずいてましたが、どういう風に感じていましたか

 やはり、試合の中でいわゆるうまくいかないことってたくさんあって、そこをいかにリーダーとして修正していけるかというのを自身の課題としていたので、そこをしっかり学んで次戦以降につなげたいなと思っています。

FB河瀬諒介(スポ4=大阪・東海大仰星)

――今日の試合を振り返ってください

 前半すごくいい入りができたのは、自分たちのやりたいことややらなければならないことをしっかりとできた結果だと思います。後半いろいろなプレッシャーを受けましたし、ペナルティーから失点というのも多く見られたので、そこは修正すべきかなと思います。

――後半上手くいかない中でどうしたら前半と同じような流れできたか、など今思うところはありますか

 そうですね、ディフェンスの中で、1人目のタックル、2人目のタックルが弱くなっているところがあったので、そのディフェンスのところを修正できていれば後半も良い流れだったのかなと思います。

――早慶戦、試合を終えて改めてどうでしたか

 早慶戦という試合はやはり格別でした。緊張感もありましたし、前半良くて後半悪いという試合になってしまったんですけど、その中ではしっかり出し切れたというのがよかったところだと思います。

――今日を迎えるにあたって、出場できない選手の気持ちをどのように受けてどのように試合に臨みましたか

 4年生として、というのもそうですし、赤黒を着ることに対して絶対この試合は負けられないなという気持ちで臨みました。ミスもしてしまいましたし、まだまだなところもあったのですが、その人達の思いを忘れることなく走りこんでプレーできたので、(それが)勝利につながったと思います。

NO・8佐藤健次(スポ1=神奈川・桐蔭学園)

――今日の試合を振り返ってください

 今日の試合は、切り替えというところをFWは意識してやっていたのですが、スクラムが押されてしまったり、ラインアウトモールを取られたり、切り替えという点には課題が残るなと感じたので、次の明治戦までに修正して臨みたいと思います。

――早慶戦という伝統の舞台で80分間試合に出られたということで、早慶戦ならではの感想はありますか

 早慶戦という舞台で、昨日から緊張していました。自分の中で『強く賢く』というのをこの試合の個人テーマにしていて、そういう部分ではまだまだ改善点があったのですが、前半個人的にすごくいい入りができたので、そこは評価できる点だと思います。

――先制トライでガッツポーズをした時のお気持ちはどうでしたか

 いいコースで入れました。帝京大戦後、ずっと個人的に練習で取り組んでいたところだったので、それがこの早慶戦という舞台で出てよかったと思います。

――FW全体の目線で、モールとディフェンスについてどう考えていたのかと今後の課題をお願いします

 今日、慶応さんがモールが強いというのは最初から分かっていて、そのために事前から、ここでモールが来たらこういうことをして、というのを決めていました。ですが共通認識の部分で、最初から出ていたメンバーは、競らないでモールに入るということを考えていたのですが、後半から入ってきたメンバーとの意思疎通が取れていませんでした。メンバーが変わっても同じレベルで(プレーする)というところを、うまくコミュニケーションを取ることで修正していきたいと思います。
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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