ラグビー日本代表 リポビタンDツアー2021 欧州の列強に挑む日本代表戦を見逃すな!!

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オーストラリア代表に、23対32で惜敗した日本代表は、10月29日、ヨーロッパへ旅立った。今回の遠征では、10月25日時点の世界ランキングで5位アイルランド、19位ポルトガル、7位スコットランドとの戦いが待っている。2023年、フランスで開催される第10回ラグビーワールドカップ(RWC)開幕まで2年を切った今、その一つひとつが大切な強化の機会だ。緊張感ある戦いが続くが、日本代表が、強豪国を相手にプレーの精度を高め、強くなるプロセスを存分に楽しみたい。
国内で2年ぶりのテストマッチ(国代表同士の試合)となったオーストラリア代表戦(10月23日)は、「7月から試合間隔が空いたなかでは、よく戦っていました」(ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチ)のいう言葉通りの内容だった。オーストラリア代表は9月、10月と南アフリカ、アルゼンチンに4連勝と上り調子での来日。日本代表のハイテンポな攻撃を封じ込めようと、スクラム、ラインアウト、ブレイクダウン(ボール争奪戦)でプレッシャーをかけ、攻めてはNO8ロブ・ヴァレティニらパワフルなFW選手が、SHニック・ホワイト、SOクウェイド・クーパーのパスに次々に走り込んだ。
しかし、日本代表は圧倒されなかった。前半16分にSO松田力也がPGを決め、22分に2つ目のトライを奪われ、3対12と突き放されてもすぐに反撃。松田のキックパスからWTBレメキ ロマノ ラヴァがトライをあげた。松田は難しいゴールも決めて、10対14。30分にもPGを追加し、13対14と1点差に迫った。後半開始早々にラインアウトのサインプレーからトライされたが、CTB中村亮土が相手のパスをインターセプトしてトライし、20対27とする。さらに交代出場の田村優が約50mの長距離PGを決めて4点差まで迫った。

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終了間際にトライされて突き放されたが、世界ランキング3位の相手に「勝つ準備をしていたので悔しい」(中村亮土)と言える内容は高く評価されていい。これまで田村優の控えに甘んじることが多かった松田が判断の良さ、スキルの高さを披露したほか、代表デビューのベン・ガンターが力強いジャッカルを見せ、「ポスト・トンプソン」の期待がかかるLOジャック・コーネルセンの献身的なプレーでボール確保に身を削るなど収穫も多かった。

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一方で、ミス、反則が多く、安定を欠いたスクラム、ラインアウトなどプレーの精度は低かった。試合後、ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチは「ブレイクダウン(ボール争奪戦)でオフサイドの位置から参加してしまうなど、判断、スキルの面で課題があった」と話した。日本のハイテンポな攻撃は、ブレイクダウンから素早くボールを出すことが生命線だ。各選手が何をすべきか的確に判断し、反則をしないスキルが求められる。これらの課題を修正できるかどうか。それがそのまま欧州遠征の見どころになる。

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最初(11月6日)に対戦するアイルランド代表は、欧州遠征3試合の中でもっとも手ごわい相手だ。7月2日の対戦時にはブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズの南アフリカ遠征に参加していた選手が不在だったが、今回はPRタイグ・ファーロング、SHコナー・マレー、CTBバンディ・アキら主力が戻っている。また、世界屈指のSOジョナサン・セクストンがキャプテンとして出場する可能性が高い。日本代表のスピードを封じるため、スクラム、ラインアウト、ブレイクダウンに徹底的にプレッシャーをかけ、経験豊富なSHコナー・マレー、セクストンのキック、パスで揺さぶってくるだろう。2019年の対戦時のように、反則を誘うようなスクラムで試合の流れをつかみたい。具智元の雄叫びを見たいものだ。
2戦目(11月13日)のポルトガル代表は、ヨーロッパの中堅チームだが、スピーディーな展開と得意とする。フランスのクラブでプロとしてプレーする選手もいて侮れない。この試合の日本代表は国際経験の少ない選手に出場機会を与えるだろう。若い選手にとって、海外でのテストマットを経験する大切な試合になる。
最終戦(11月20日)の相手スコットランド代表とは、RWC2019で勝利して以来の対戦だ。10月、11月は、トンガ、オーストラリア、南アフリカ、日本代表の順で試合を組んでおり、トンガには60対14と快勝スタートを切った。日本代表戦にどんなメンバーを臨むかは未知数だが、リベンジに燃えているのは確か。抜群の機動力を誇るFLハミッシュ・ワトソン、天才肌のSOフィン・ラッセル、北半球最強のトライゲッターWTBドゥハン・ファンデルメルヴァらも健在だ。多彩な攻撃をさせないように日本代表が主導権を握ってボールを動かし続けたい。
日本代表の一貫したテーマは「ボール・イン・プレー」の時間を長くすることだ。相手より速く、たくさん動き、80分の試合時間のなかで40分以上ボールを動かすことができれば日本代表ペースと言えるだろう。アウェイでアイルランド、スコットランドから初勝利という快挙の報を楽しみに待ちたい。

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ラグビー日本代表 リポビタンDツアー2021 TV放送予定

11/6(SAT) アイルランド代表戦
【放送予定】
WOWOWライブ:11/6(土)21:45〜/11/8(月)午前8:00〜
日本テレビ(地上波関東ローカル):11/6(土)27:36〜(録画)

11/14(SUN) ポルトガル代表戦
【放送予定】
J SPORTS 1: 深夜1:45〜(LIVE)/J SPORTSオンデマンド:深夜1:45〜(LIVE)

11/20(SAT) スコットランド代表戦
【放送予定】
WOWOWライブ:11/20(土)21:45〜/11/22(月)午前8:30〜
日本テレビ(地上波関東ローカル):11/20(土)27:31〜(録画)
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著者プロフィール

(公財)日本ラグビーフットボール協会は、日本におけるラグビー競技の普及振興に関する事業を行い、その健全なる発達を図るとともに国民体力の向上と明朗なスポーツマンシップの涵養につとめ、もって社会文化の向上発展に寄与することを目的とした競技団体です。 1926年に日本ラグビー蹴球協会として設立されて以降、ラグビー競技の普及発展のための国内唯一の統括団体として活動を続け、2013年に公益財団に移行しました。詳細はこちら(https://www.rugby-japan.jp/jrfu)

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