川崎が返り咲き!Jリーグマネジメントカップ2020でJ1優勝、3分野で首位となり圧倒
【©KAWASAKI FRONTALE】
川崎はマーケティング、経営戦略、財務状況の3つの“ステージ”で首位、経営効率の分野においても6位タイとなるなど圧倒的な強さを見せ、史上最速優勝、最多得点、最多勝など記録づくめで王者に輝いたフィールドマネジメント(FM)面と同様、ビジネスマネジメント(BM)面においても地力を発揮した結果といえます。
2020年シーズンは、周知の通りコロナ禍による影響で試合日程の変更、観客数の制限など異常事態に見舞われたシーズンでした。満員のスタジアムという印象が定着した川崎にとってスタジアム観戦の制限は大きな打撃でしたが、それでも入場制限上限に近いファン・サポーターが足を運び、またクラブと共に苦難を乗り越えようというスポンサーも多かったようで、ほぼ前年同水準のスポンサー収入を維持できたことが優勝という結果に結びつきました。
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平均入場者数/スタジアム集客率
一方で9月19日以降は入場制限が緩和され、最大で収容可能人数の50%まで観客動員が可能となったため、ロイヤリティの高いファン・サポーターが多いクラブや、スタジアム観戦の安心・安全をファン・サポーターとコミュニケーションできたクラブでは一定の観客動員に結び付けられたものと推察されます。
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客単価
勝点1あたりチーム人件費・入場料収入
一方「勝点1あたりチーム人件費」は、各クラブにおけるコストの中で最も大きな比率を占めるチーム人件費を、いかに効率的に試合結果に結びつけられているかを可視化する指標です。史上最高勝点で優勝した川崎は、前年比▲12.7百万円(▲25.8%)の36.6百万円となりました。昨シーズンと比べてほぼ同等のチーム人件費に抑えつつ、勝点を前年比+23に伸ばしたことから、KPIが改善しています。これはJ1平均の53.5百万円を大きく下回る水準であり、経営効率という観点で川崎が顕著な成果を収めていることがわかります。
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SNSフォロワー数、フォロワー数増減率
SNSフォロワー数について2020年シーズンにおけるJ1の平均は前年比+21,435人(+5.8%)の389,867人となりました。C大阪は120万人を超えるフォロワー数で、全Jクラブの中でも断トツの5シーズン連続トップを維持しています。ここ2シーズン連続でフォロワー数が減少に転じていましたが、2020年シーズンは再び増加に転じました。また、FM面での成績が絶好調だった川崎は適時的・効果的にSNSを活用し、+98,213人(+17.6%)とフォロワー数を伸ばして60万人台に乗せてきており、昨シーズンより60万人台を達成していた鹿島、横浜FMを超えるフォロワー数を達成しました。
SNSフォロワー数増減率についてみた場合、2020年シーズンは全クラブが増加の結果となった一方、伸び率の比較ではJ1の平均で9.5%となり前年の18.4%から▲8.9ポイントと成長の鈍化傾向が見られました。個別クラブを見た場合、トップは昨シーズンに続き仙台となり+26.3%を記録しました。増加率は昨シーズンのフォロワー数にも影響されますが継続したフォロワー獲得の成果が表れています。2位は横浜FCで+24.5%となり、J1で戦った最初のシーズンで多くのフォロワーの獲得に成功しています。
一方で海外とSNSフォロワー数を比較した場合、2020年現在世界最大のフォロワー数を誇るレアル・マドリードは2億4100万人とJリーグ全体のフォロワー数宇を足し上げた数(700万人)でも遠く及ばないレベルとなっています。今後Jリーグが欧州5大リーグに伍するリーグとなることを目指すにあたっては、SNSフォロワー数は大きなテーマとなりますし、伸ばしていかなければならないといえます。
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財務状況
2020年シーズンにおける売上高のJ1平均は、前年比▲1,115百万円(▲22.5%)の3,836百万円でした。内訳を見ると、入場料収入が▲621百万円(▲67.1%)、スポンサー収入は▲257百万円(▲11.6%)と大幅な減収となりました。構成比でみた場合、入場料収入が大幅に減少したことで、他の収入項目の構成比が相対的に増加する形になっています。特にスポンサー収入に関しては、多くのクラブでシーズン開始前にはほぼ契約が決まるため、2020年シーズンにおける新型コロナの影響は最小限に抑えられたものと考えられます。
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コロナ禍は、飲食・観光業などと同様に、クラブの存続にも関わる大きな経営面の影響を及ぼしました。依然として予断を許さないコロナ禍の状況も踏まえ、入場料収入以外の収益の柱の強化や財務体質の強化を構築できるかが求められます。他産業と同様にマーケティングや効率化を始めとする事業のデジタル変革が一つの手段であるとともに、広告宣伝効果のみに限らないスポンサーアクティベーションを誘発する仕掛けづくりなど、今こそBM手腕が求められます。
次回以降J2、J3の結果等についてもご紹介します。
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