ロッテ田村を支えた選手会長益田の存在感。夢は優勝の瞬間 益田との歓喜の抱擁

千葉ロッテマリーンズ
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【リーグ優勝のため奮闘する田村龍弘捕手】

 心の支えは尊敬する先輩であり選手会長の存在だった。田村龍弘捕手は4月27日のライオンズ戦、走塁で左足を痛め途中交代をした。悔しい戦線離脱だった。三回に二塁からホームまでイッキに駆け抜けた際に左足を痛めた。懸命の走りで先制点こそ、もぎとったが代償は大きかった。立川市内の病院での診断の結果、 左大腿二頭筋肉離れと診断された。開幕こそ5連敗スタートとなったが4月は大きく巻き返し14勝8敗4分け。チームが勢いに乗っている中で姿を消した。

 「落ち込みましたね。今年は全試合出場をしたいと思っていて、オフの間にメチャクチャ下半身を鍛えてきたつもりだった。体力もついてきたと自信があった中での怪我ですから。怪我だから、どうしようもない部分もあったけど、チームの調子もよくて、さあ、これからという時だったので悔しかったです」

 田村はその時の心境を今も悔しそうに話す。折れそうになる心を支えてくれたのは選手会長で抑えを任されている益田直也投手の存在。「毎日のように電話が来ましたよ」と益田は笑って振り返る。野球の事、トレーニングの事、現状、たわいもない話。日々、想ったことを田村は先輩の益田に毎日のように電話をして語り合った。決まって最後は「優勝をしたい」という話になる。田村は言う。「優勝が決まった瞬間はマウンドにいる益田さんのところに突っ込んでいきますから」。益田も優しく返す。「オレも腰が砕けるぐらいタム(田村)に飛びつくよ」。不思議と優勝の瞬間を想像していると野球ができない辛い日々を我慢することが出来た。

 「本当に毎日、電話で話し相手になってもらって励ましてもらって、益田さんには助けてもらいました」と田村は感謝をする。それだけに優勝が決まる試合で最後のマウンドに立つ益田とバッテリーを組み、その瞬間を味わいたいという想いは強い。

 田村は我慢の日々を乗り越えて6月23日のホークス戦(ZOZOマリンスタジアム)で一軍復帰を果たした。実に41試合ぶりの出場だった。正捕手が戻ってきたチームは再び勢いづいた。6月7勝11敗4分けと苦戦をしていたが7月は5連勝を含む6勝2敗1分け。首位に肉薄した。そして8月13日、プロ野球の後半戦が始まった。残り試合はすでに50試合を切っている。首位はオリックスバファローズ。2位が東北楽天イーグルス。混戦パ・リーグ。リーグ優勝の行方はまだ、まったく見えていない。この状況下、田村は1974年以来となるリーグ1位でのリーグ優勝に貢献すべく全身全霊のプレーを日々、続けている。

 「リーグ優勝をしたい。ただそれだけ。そしてその最後の場面でマスクを被りたい。ただ、こんなにいつも夢見ていても、いざその瞬間、自分がマスクを被っていなかったらどうしようもないですから。そのために頑張りたいし、勝利に貢献していきたい」と田村は意気込む。

 暑い夏は続いている。肉体的にも精神的にも過酷な季節である。今は汗を流しながら、がむしゃらに苦労と努力を重ねていく。季節は夏から秋へと移り替わる。その先には何度も夢見てきた最高の瞬間が待っているはず。だから頑張れる。どんな辛いことも我慢できる。男たちは必死に戦っている。

文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原 紀章
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