トリプル6の完全V 笠りつ子、圧巻
【<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>】
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《グリーン=スティンプ:11 1/3フィート コンパクション:23mm》
おもしろい。優勝争いは、最後の最後までスリリングだった。それでも笠りつ子は1度も単独首位を明け渡すことがない。18番、3メートルのバーディーパットをいとも簡単に決め、5年ぶりの優勝を果たした。
「アップアップの状態。振り返ると、ノーボギーでした。こういう勝ち方がワイヤー・トゥー・ワイヤーというらしい」。大会を通して、ノーボギーはJLPGAツアー10人目の快挙だった。そして、日本流にいうと完全優勝。理想の流れだった。
「コースのコンディションがとても素晴らしい。とりわけ、グリーンが良かった。相性がグリーン上でマッチしたのでしょうね」と、ヨネックスカントリークラブのスタッフへ感謝の言葉を口にした後、同組でプレーした2人の健闘も忘れなかった。「三ヶ島さん、すごくリズムがいい。一緒に回りやすかった。それから、山路さんも結果はともなわなかったけど、必ず強くなる。そう感じた。そういったことを客観的に拝見しながら楽しい1日を過ごすことができましたね。
序盤からバーディーラッシュというわけにはいかなかった。前半、唯一のバーディーは5番。ピン横3メートルのカップインひとつだけだ。緊張、それともプレッシャーを感じているのだろうか。いずれも違う。年長の笠が、インターバルで2人と談笑。「これが私のスタイル。同組でプレーするのだから、いいムードをつくりたい。相手を良くしてしまうこともあるけど、お互いがいい流れでプレーできることがベスト。いつも実践していることをやっただけです」。こういったスポーツマンシップもある。
ただし、唯一、表情が厳しくなったシーンは17番のパーセーブだろう。グリーンカラーから、23メートルの第3打を4メートルもショート。もし、外したら三ヶ島と並ぶ勝負のターニングポイントだ。「実は、ラインがわからなかった。まっ、いいかーとまっすぐにストロークしたら入りましたね」。大きなタメ息をつきながら、苦笑した。思い切りの良さも特性のひとつ。
しかし、このパッティングは日頃から練習を繰り返した成果だった。「今年から、ショートパットをスポットで狙う練習を続けてきた。グリーンに目印のシールをはって、そこを通してカップヘ入れる。ラインへボールを出す。今まで、ストロークした後、出玉がバラバラでしたから…」と説明を加える。
【<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>】
この日は6月6日だった。ゾロ目でたくさんの記念日となっているが、もっともインパクトがあるのは、映画「オーメン」でダミアンの誕生日だったことから、恐怖の日。しかも、今回は通算6勝目とトリプル6だった。
「以前は3のプリントが入ったボールは使わないなど、いろいろありました。でも最近は、まったく数字にこだわりれがない」と一笑に付してしまったのは、さまざまな経験をつんだからに違いない。恐怖の日が歓喜の日へ。素晴らしい優勝だった。
(中山 亜子)
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