マリーンズの背番号「５１」が熱い。オープン戦で新星誕生の予感漂う活躍を見せているのはプロ３年目の山口航輝外野手だ。石垣島での春季キャンプで一軍に抜擢されアピールすると、そのまま練習試合も一軍同行。そして２月２７日、２８日の高知　春野で行われたライオンズとの練習試合では４番に指名されると地元大阪に場所を移して行われた３月２日、３日のバファローズとのオープン戦（京セラドーム）でも４番に入り２試合で３安打１打点。大阪市平野区出身。家族も見守る中での凱旋試合でも存在感を見せた。

　大事にしている言葉は『夢なきものに成功なし』。中学時代にふと聞いていた曲のフレーズが耳に残り、「確かにその通りだなと思った！」と以降、心の中にとめている。そんな山口自身の夢は？というと、はてしなく大きい。

　「プロに入ったからにはホームラン王のタイトルを獲りたいです。色々なタイトルがある中で一番、魅力を感じる。強い気持ちを持って高い壁に挑みたいと思います」とキラキラと目を輝かせる。

　ドラフト当時、カープの中心打者・鈴木誠也外野手のような選手イメージであったことから鈴木選手が入団当初、付けていた背番号「５１」を与えられマリーンズ入りした未来の大砲はしっかりと夢を見据えている。

　ライバルと約束した誓いがある。ファイターズの吉田輝星投手。高校時代、同じ秋田の高校で同じ学年という事もあり何度も対戦したライバルだ。記憶に新しいのは３年生だった２０１８年夏の秋田大会決勝の金足農高対明桜戦。４番レフトで出場した山口は金足農高のエース　吉田輝の前に４打数ノーヒット、３三振に倒れ、敗れた。

　「自分が打たなかったから負けた。悔いはないけど、今でも自分のせいで負けたと思っている。（吉田）輝星は３年夏に急にストレートが良くなったイメージ。強いボールが来ていた。甲子園での活躍はやっぱりという感じ。ただ悔しくてアイツの投げている試合は見ていない」と今でも当時の話になると唇を噛む。

　そんな吉田輝とは昨年は３度対戦。３打数１安打（中前打、三振、右飛）となっている。

　「今でも強く意識する相手。負けたくない。自然と力が入る。どんなピッチャーよりも意識するし、それはこれからも変わらないと思う」と山口。

　お互いパ・リーグのチームに入った今でも誕生日の時や新年にLINEなどを通じてやりとりをしている。今年の新年には「今年は一軍で対戦しよう！」と誓い合った。
　
「輝星と一軍の舞台で対戦したいといつも話をしている。今年こそは自分も一軍に上がって、打ちたい。打って勝ちたい。強い気持ちでアピールします」
　
　高校時代、秋田でしのぎを削ったライバル２人の対決はいよいよ舞台をプロ野球の一軍に移すこととなる。高校時代のリベンジに燃える山口。そしてその先にはホームランキングという大目標がある。マリーンズの未来の主砲候補は沢山の確固たる夢を胸に桜の蕾がほころぶ季節、首脳陣にアピールする毎日を送っている。

　山口には中学生の時に学校で応募した俳句が佳作特別賞を受賞した経歴がある。当時、１３歳の一句は「ラグビーの　選手の身体　湯気が立つ」。今の山口を俳句にすると「三月だ。桜も咲くぞ。ボクも咲く」である。

文　千葉ロッテマリーンズ広報室　梶原　紀章