中学2年で遭遇した東日本大震災から10年 〜日本女子ソフトボールリーグでの活躍を誓う〜
【大垣ミナモ】
ありきたりだが、被災者のひとりとして活躍する姿を見せて、元気を与えたい!
大垣ミナモソフトボールクラブに所属する俊足巧打が売りの外野手だ。
大垣ミナモは、今シーズン3年ぶりに日本女子ソフトボール1部リーグに復帰する。
2011年3月11日。通学していた石巻市の中学校の卒業式に参加し、帰宅途中に友人とコンビニに立ち寄っていた。
その時に阿部選手を強い揺れが襲う。
無我夢中で近くの小学校に逃げた。
幸いにして、阿部選手がいた場所は高台にあった。
その夜は、家族とは会えず、避難所となった小学校で過ごした。
家族とは3日後に会うことができた。
祖父母と弟が津波に流されたが、幸いなことに近くの人に助けられた。
自宅は、1階部分が流されたため、しばらくの間は2階で家族が生活することになった。
通学していた中学校は、津波の被害で休校となった。
阿部選手は、のちに仙台市内の中学校に転向することになる。
中学2年生の阿部選手には、現実をなかなか受け入れることができない日々が続いた。
自分の誕生日をケーキで祝う阿部選手 【大垣ミナモ】
阿部選手は、あの日以来3月11日が近づいてくると、コンビニで遭遇したあの揺れを思い出すという。
今年は、東日本大震災から10年という節目の年を迎える。
そして、阿部選手は夢であった日本女子ソフトボール1部リーグという最高峰の舞台を初めて経験する。
今シーズン、チームには大学の後輩など10名の選手が、新たに加わった。
外野手の定位置獲りを目標とする阿部選手には、ハードな練習が連日続く。
人一倍熱心に練習に取り組む阿部選手 【大垣ミナモ】
しかし、その語り口の奥には、意志の強さを感じる。
ありきたりな言葉なのかもしれないが、
阿部選手が静かに語る。
「私の活躍で、少しでも東日本大震災の被災者の方々に元気を与えたい。」
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