2年目にして日本女子ソフトボールリーグ1部で唯一のクラブチームの主将に就任
【大垣ミナモソフトボールクラブ】
一度はソフトボールをあきらめた過去
2019年、日本体育大学女子ソフトボール部は、2年連続大学日本一となる。
その主力メンバーに須藤麻里子は名を連ねていた。
しかし、彼女はその時点で卒業後にソフトボールを続ける選択肢はなかった。
故郷長崎に戻り、教員になりたいとの思いがあった。
そんな彼女に心境の変化が訪れる。
「ソフトボールを続けたい。」
絶妙のタイミングで当時は2部リーグであった大垣ミナモソフトボールクラブから
誘いの声がかかった。
11月、彼女の姿は東京都内のホテルのコーヒーラウンジにあった。
大垣ミナモソフトボールクラブゼネラルマネジャー栗山利宏と面談するためだ。
彼女の心はすでに決まっていた。
「もう一度、ソフトボールに打ち込む。」
2020年4月、彼女のソフトボール競技が再スタートを迎えるはずだった。
しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が再スタートを阻む。
予定していた日本リーグ2部の前半戦の試合は中止と決定。
試合は、9月に始まる後半戦7試合分のみとなる。
普段の練習会場の閉鎖に伴い、ステイホームが余儀なくされる。
しかし、彼女にはあせりはなかった。
部屋でのトレーニングに没頭。
この期間の体幹強化が、2部リーグでの本塁打王獲得につながったと述懐する。
地元大垣警察署の1日署長を務め交通事故防止活動に協力した。 【大垣ミナモソフトボールクラブ】
彼女の再スタートである。
チームは日本リーグ1部への復帰をかける。
全員の目標は全勝優勝だ。
しかし、実質の開幕戦となる地元大垣での試合で惜敗を喫す。
7試合しかない短期決戦での1敗は、1部復帰に大きな影を落とす。
結果的には、その後の6試合を全勝し2部リーグでの優勝。
1部復帰を成し遂げた。
シーズン終了後、主将をはじめ何名かが現役を引退した。
そこで、望月孝雄監督は彼女を新たな主将に任命した。
年上の選手がいる中での任命。
彼女の中では、すでに意を決していた。
「やります!」
時は2021年を迎えた。
伊吹おろしが吹き付けるグラウンドで、チームは今日も練習に取り組む。
日本女子ソフトボールリーグ1部では、唯一のクラブチーム。
選手の平均年齢も若すぎるくらい若い。
1度はソフトボール競技をあきらめかけた彼女の本当の闘いはこれからが始まりである。
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