四十不惑。鳥谷敬が準備を重ねプロ18年目、40歳のシーズンに挑む。

千葉ロッテマリーンズ
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【円陣で選手たちに檄を送る鳥谷敬内野手】

プロ18年目、40歳のシーズンに挑むことになる鳥谷敬内野手はオフでも自分を律して過ごしている。午前5時に起床。家族が起きる前からトレーニングをして汗を流し、子供たちが学校に行くのを見送り、また体を動かす。この男が鉄人と呼ばれる所以は、たゆまぬ日々の努力の積み重ねだ。

 「必要としてもらっている。戦力として考えていただいているというお話を球団からいただいて、来年もやろうと思った。プロに入った時に40歳の歳でショートを守るというのを一つの目標に立てていた。ショートで勝負が出来る状態。ショートで試合に出られる状態にして来年を迎えたい。チームから使いたいと思われる状態にしたい」

 12月23日、契約更改を終えたレジェンドは清々しい表情をしていた。思えば昨年12月はタイガースを退団。現役続行を模索して、まだ所属球団が決まらない状態にあった。一年経って今はマリーンズにあって、なくてはならない貴重な存在となっている。その功績を周囲は「精神的支柱」と称するが若い選手に経験を伝え鼓舞する存在に留まることはない。もう一度、春季キャンプから果敢に競争に飛び込み一軍入り。そして慣れ親しむ遊撃での試合出場を狙う。

 今シーズンは難しい調整を余儀なくされた。春季キャンプは所属先が決まらず、自宅周辺で孤独なトレーニングに明け暮れた。マリーンズ入団が決まったのは3月10日。しかしすぐに開幕延期が決まり、チームは当面の間、活動を休止し自粛期間に入った。シーズン中はこの期間の調整の難しさを否定したがオフに入った今、戸惑った微妙な感覚の違いを初めて口にした。

 「打席はどうしても練習と違う本番の感覚が大事になる。ボールの見え方と実際に振った感覚を合わせるのに思った以上に時間がかかってしまった。感覚は探り探り。夏場ぐらいにようやく戻せた。来年はキャンプから入っていけるのは大きい」と鳥谷。2021年は開幕までをしっかりと逆算しキャンプからしっかりとアピールできる体作りを行うべく日々、体を磨く。

 11月には長い間、タイガースで共に戦った藤川球児投手の引退試合を、休日を利用して観戦した。「タイガースでいい時も悪い時も一緒だった。自分に出来ることは最後の姿を目に焼き付けること。球児さんの独特の雰囲気。球場の雰囲気を味わえてよかった」と語り、引退セレモニーを静かに見終えると翌日午前10時からの千葉でのチーム練習に参加をするため甲子園を後にした。

 藤川球児氏もわざわざ千葉から甲子園まで強行日程で駆け付けてくれた後輩にメディアを通じてエールを送った。「みんな現役を続けたいのは体が健康だからです。自分もそれが分かりました。なので健康な間はずっと練習をして頑張ってください」。その言葉が胸に染みた。悔いなきように妥協なく体を作り上げることを改めて自分の身体に約束した。

 350二塁打を達成した20年。遊撃手としての通算試合出場数でNPB最多も更新した。来るべき21年も記録を積み重ね歩を進めていく。そして今年、残念ながら中止となってしまった甲子園での古巣タイガース戦が来年は組まれている。

 「まずはその試合に最初から出られるように準備をしたい。使ってもらえるような選手でありたい」と意気込む。最大の目標はリーグ優勝。さらに先には自身、未だ経験のない日本一がある。

 「やっぱり05年にリーグ優勝はしたけどマリーンズに日本シリーズで4連敗をしたという思い出しかないので、そういう意味では何とか逆にマリーンズで日本一になりたいと思っている」と苦笑しながらも力強く話す。

 まだまだ夢の途中。背番号「00」としての2年目がまもなく始まる。いや鳥谷の中ではもう始まっている。四十不惑。マリーンズ最年長選手はさらに覇気に溢れ、頂点を目指す。応援をしてくれるファンにまだ見せることが出来ていない鳥谷敬の生き様をグラウンドで表現する。熱い声援に対して、準備を尽くしたプレーで恩返しをする。それが人の心を揺さぶり、感動へと転化する。挑戦は続く。最善の準備を重ねマリーンズ移籍2年目、不惑の年に挑む。

文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原紀章
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