【新日本プロレス】下田美馬さんは、なぜ新日本プロレスで働いているのか? (後編)

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【新日本プロレスリング株式会社】

下田美馬さんと言えば、キャリア30年以上を誇る元・全日本女子プロレスのレジェンドレスラー。そんな下田さんが、最近、新日本プロレスのバックステージで働いている…? とプロレスファンの間で話題に。

その“真相”をご本人に直撃したインタビュー後編をお届け!

※以下、インタビューの「序盤部分」をWEBで無料公開!

私は小さい頃からキラキラした世界が好きなんで、気づいたら漠然と「ここでお仕事を手伝えたらなあ……」と思うようになってました

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――下田さんは昨年の『BEST OF THE SUPER Jr.』でリュウ・リー(当時ドラゴン・リー)選手などメキシカンのサポート役としてシリーズに帯同し、刺激を受けたとおしゃっていましたが、具体的にはどのあたりに?

下田 「すべてにおいて新日本さんは規模が違う」と思いました。巡業中の移動方法や外国人選手に対する対応とか、ビックリすることばかりで。選手それぞれの意識も高いですし、やっぱりそのスケール感に憧れますね。

――業界歴30年以上の下田さんの目から見ても、そのように映った、と。

下田 ええ。私は小さい頃からキラキラした世界が好きなんで、気づいたら漠然と「ここでお仕事を手伝えたらなあ……」と思うようになってました。でも、「『FANTASTICA MANIA』とかメキシカンありきじゃないと、私は使ってもらえないんだろうな」とも思ってたんですけど。

――なるほど。そういう中、前編でお話いただいたように2019年の『G1』の武道館大会を観にいこうとしたら、新日本のスタッフから「バックステージでやること、いっぱいありますよ」と言われた、と。

下田 そうですね。2019年は『G1』のあと、『SUPER Jr.TAG LEAGUE』にボラドールとティタン、『WORLD TAG LEAGUE』にはテリブレとメキシカンが参戦していたので、継続してお手伝いをしたことで、バックステージでは自然と「いつも下田がいる」みたいに感じになってきたというか。『WORLD TAG LEAGUE』では、“タイチルーペ”のCMにも登場させてもらいましたから(笑)。
 
――タイチ選手が作ったハズキルーペのパロディ動画ですね。あべみほさんが座っても壊れなかったルーペに、下田さんが座ったら壊れるという(苦笑)。

下田 そうです(苦笑)。そういう流れの中、今年の1月から契約スタッフとして新日本さんで正式に働くことになり、さっそく東京ドーム2連戦に出場するリーを空港まで迎えに行きました。そのあとはいつものように『FANTASTICA MANIA』があって、3月からは新型コロナの影響で大会の中止期間になった、と。

いまは選手ファーストというか、そのあたりは「私はスタッフなんだ」というところで自分なりにわきまえてるつもりです

――そして、新日本も6月15日からコロナ禍において大会再開となり、また下田さんも巡業スタッフと共にシリーズにすべて帯同されるようになりましたけど、仕事内容はどんな感じですか?

下田 地方大会ではスタッフのかたと一緒に早く会場に入って、選手をお迎えするんですけど、私の役割としてはまずは“検温”ですね。

――大事な仕事ですね。

下田 抗体検査、PCR検査の会場準備と記録も行っています。あとはグッズ販売のスタッフのかたから頼まれた商品を控え室まで届けたり、バックステージコメントで選手を誘導したり。ほかにも、現在は選手がなるべく外出しないようにお弁当も支給されているので、それをお渡ししたり。いろいろな雑用全般ですね。最近では、会社で用意して頂いた空気清浄加湿器の設置なども増えました。
 
――新日本の控室には基本的に選手以外は入れないので、会場での取材時に下田さんにお声がけすると、選手を呼んでくださるので助かります。そもそも、下田さんは新日本に“旧知”のレスラーも多いですし。
 
下田 そうですね。メキシコにいた頃は仲間として接していたというか、キャリア的には私が先輩になるので、現地では「みんなでご飯行こうよ」とか声をかけさせていただいたり。でも、いまは選手ファーストというか、そのあたりは「私はスタッフなんだ」というところで自分なりにわきまえてるつもりです。
 
――よく知っている選手でも、一線は引くようにはされてる、と。

下田 やっぱり、新日本を好きなファンのかたたちも、私のことを好意的に見ている人ばかりではないと思うので。私はベテラン選手ですけど、新日本さんのお仕事という部分では誰よりもキャリアが短いということを肝に銘じているというか。

――棚橋選手に下田さんについて伺ったところ、「選手の中で誰よりもキャリアがあるのに、しっかり裏方に徹していただいて尊敬の念しかない」と。「選手の機微をわかっていて、何を望んでいるか気づいてもらえるのがありがたい」とおっしゃっていました。

下田 いや〜、もうそう言っていただいて救われるというか……すごくうれしいです! その言葉を励みにしたいと思います(笑)。

――口には出さずとも、そう思っている選手の方は多いと思います。

下田 やっぱり、自分がメキシコにいたときに困ったことを踏まえて、外国人選手が何かストレスを抱えてないか、そういう部分をわかりたいって思う気持ちが強くて。

――選手の立場に立って、考えられるわけですね。

下田 選手同士のコミュニケーションという部分でも、メキシカンは英語が話せるわけではないですし、そこは私ももうちょっと英語を理解してサポートができるようになればなって。選手が試合でよりいいパフォーマンスをできるように、こっちから「どうします?」じゃなく、「こうしたら、どうでしょう?」っていう提案までできるようになりたいですね。

『G1』シリーズ全戦に付いていくことになって、「普段やってることをお願いします」と言われたときに、うれしかったのと同時にすごく緊張しましたね。

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――バックステージのお仕事をされる上で、困ったことはないですか?

下田 それはいろいろありますね。たとえば、私一人で選手のタクシーの手配をしないといけないときに、バックステージコメントの誘導も重なった場合とか。そういうときはほかのスタッフのかたにヘルプしてもらえるように、普段からコミュニケーションを図って。この前は、一緒にリングの片付けも参加しましたから(笑)。
 
――リング撤収作業も手伝いましたか。今年は新日本の看板シリーズである『G1 CLIMAX』にもスタッフとして関わられていましたが、スタッフとして参加した『G1』はいかがでしたか?
 
下田 最初、世の中がこういう状況ですから、自分が『G1』で使っていただけるか不安だったんですよ(苦笑)。でも、私もシリーズ全戦に付いていくことになって、「普段やってることをお願いします」と言われたときに、うれしかったのと同時にすごく緊張しましたね……
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著者プロフィール

1972年3月6日に創業者のアントニオ猪木が旗揚げ。「キング・オブ・スポーツ」を旗頭にストロングスタイルを掲げ、1980年代-1990年代と一大ブームを巻き起こして、数多くの名選手を輩出した。2010年代以降は、棚橋弘至、中邑真輔、オカダ・カズチカらの台頭で再び隆盛を迎えて、現在は日本だけでなく海外からも多くのファンの支持を集めている。

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