【水戸】私の「ミッション・ビジョン・バリュー」 第15回松崎快選手「価値を高め続ける」
【ⓒMITOHOLLYHOCK】
を目的とするプロジェクト「Make Value Project」を実施しています。
多様性と交流を基盤に、様々な業種の講師を招聘し、異業種の方々の価値観や使命感に触れることで、プロアスリートとしての存在意義や社会的な存在価値を選手たちに問い続けます。
その一環として、キャリアコーチと選手が継続的に面談をして「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の策定をする取り組みが昨年から行われています。
ミッション・・・社会の中での自分の役割
ビジョン・・・ミッションを実現した理想の未来像
バリュー・・・日々のこだわり、行動指針
原体験を振り返り、自らのサッカー選手であるうえのスタンスや価値観、使命感を見つめなおすことでピッチ内外でのパフォーマンス、言動、行動の質の向上につなげていこうという取り組みです。
17名の選手・スタッフの今季策定した「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を紹介していきます。
第15回目は松崎快選手です。
(取材・構成 佐藤拓也)
【ⓒMITOHOLLYHOCK】
「これまでのサッカー人生を振り返りながら、その時にどんなことを考えたり、思ったりしていたのかを詳細に思い出すことができました。自分の中で振り返ることはありましたが、誰かに自分の過去について深く話をしたことはありませんでした。話をすることによって、それまで自分が思っていたよりも深く考えていたことが分かりました」
Q.自身のMVVを見ての感想は?
「自分らしさは表現されていると思います」
【Mission】
「サッカー選手である前に社会の一員として価値を高めることが大切だと考えています。サッカー選手だからといって特別な存在ではありません。社会の一員の中で価値を高めていかないといけないと思っています」
Q.プロになる前からそういう認識を持っていましたか?
「プロになるまでサッカーがすべてだと思っていました。でも、それだけではないことも分かっていました。まずは社会で生きていくために、サッカー選手より前に一人の人間として価値を持たないといけないと思っていました」
Q.学生時代に考えていたことがプロになって明確になったと。
「そうです」
Q.水戸に来て、Make Value Projectなどの取り組みを経て、どんなことを学びましたか?
「いろんな職種や専門家の人の話を聞くことによって、サッカー選手しかできないことがあるということにも気づきました。試合でいいプレーを見せるだけでなく、それ以外でもクラブが存在することによって与えられる影響があることを知りましたし、その中で選手がどういうことをするかなどを考えるようになりました」
Q.社会から必要とされる人間として価値を高めるために必要なことは何だと思いますか?
「社会に貢献できているかどうかだと思います。たとえば、サッカーという職業は極論で言うと、なくても誰も困らないんですよ。でも、サッカーを楽しみにしている人や応援してくれる人がいるからこそ、存在意義があると思っています。そこでサッカー選手の社会への貢献が生まれるんだと思います」
Q.ピッチで多くの人に感動を与えることが松崎選手の考える社会貢献ということですね。
「そうだと思っています」
【Vision】
「サッカー選手の多くはスポーツ推薦などで高校や大学に進んだ選手がほとんどだと思うんですよ。でも、プロになれる選手は一握り。ほとんどの選手がプロにならずに就職をするんですよね。学生時代にサッカーだけやって、勉強をやらないと、考える力が養われない場合が多い。だから、『イエスマン』的な人が多いような気がするんです。より社会に貢献するためにも、自主的に仕事をする能力が必要だと僕は考えています。なので、スポーツと勉強の両立は必要だと思っています。そういう社会にしていきたいという思いがあります」
Q.「サッカー界」というのはプロだけでなく、学生も含めた括りなのですね。
「そうです。スポーツ一筋の人が多いと思うので、そこを変えていった方がいいと僕は思っています」
Q.松崎選手は学生時代どうだったのですか?
「僕自身、勉強はしっかりやってきた方だと思っています。考えることも染みついていると思っています」
Q.昨季まで水戸に在籍していた大宮ユース同期の黒川淳史選手(大宮)も学力が高かったそうですね。
「大宮ユース自体がそういう考えなんですよ。その環境がありがたかったですね。当時からスポーツだけをやっていればいいという考えではありませんでした。スポーツをしている人が社会的に優秀と認められるようになれば、そのスポーツの価値も高まると思うんですよ。そうなるといいなと思っていますし、それが当たり前になっていけばいいなと思っています」
【Value】
「そうですね。『うまい』で終わる選手にはなりたくない。サッカーは相手ありきのスポーツだと思いますし、自分のスタイル的に相手から嫌がれることが大事だと思うので、意識してプレーしています」
Q.具体的にどういうプレーを意識してますか?
「何をしてくるか読めないプレーですね。パスだと思ったらドリブルをするとか、ドリブルを警戒して距離を取ったらパスを出されるとか、相手から見てどういう選択をしてくるか分からないようなプレーを意識しています。選択肢を多く持った選手がいい選手だと思うので、そういう選手を目指したいと思っています」
Q.次は「自分の強み、個性を生かす」とあります。
「ゴールを陥れるためにどういうプレーをするか。どういう選択するかが自分のプレーの特徴だと思っています。『ゴールを奪うため』『チャンスを作るため』にプレーをするのが自分のスタイル。常に相手ゴールを脅かす存在でありたいですね」
Q.「常に見られている意識を」とあります。プロとしての意識のところですね。
「大宮ジュニアユース時代、コーチから『君たちは大宮アルディージャの看板を背負っている』ということをよく言われていました。そういう意識をすり込んでもらったおかげで、自分の言動は自分だけの責任ではないということを意識するようになりました。なので、今も常に誰かに見られていると思って行動するようにしています」
Q.大宮の下部組織はピッチ外のこともしっかり指導してくれるのですね。
「そうです。いろんなことを学ばせてもらいました」
Q.「サッカー面以外の人間的な成長」は今まで話をされた通りのことでしょうか?
「人間的に成長することがサッカー面での成長につながると思っています。礼儀や挨拶など普段の生活から意識して取り組むことによって人間的にも成長すると思っています。なので、そういう部分を怠らないように意識しています」
Q.松崎選手は読書も好きだということですが。
「結構読みますね。小説や自己啓発系の本はあまり読みませんが、その時興味を持った本をジャンル問わずに読んでいます。知らないことを知ることはすごく面白いこと。それが今後どうつながるかは分かりませんが、自分の知識を増やすことは大事なことだと思っているので、これからもいろんな本を読んでいこうと思っています」
Q.プロ1年目、いろんな面で成長しようとしていることが分かる「Value」ですね。
「そうですね。あとは結果につなげればいいなと思っています」
【スローガン】
「『価値』とは結局、評価するのは周りなんですよ。自分がどういうプレーヤーか、どういう人間かが問われる。なので、自分を主観的ではなく、客観的に見るようにして、いろんな面で価値を高め続けないといけないと思っています。そういう思いを込めて、この言葉を選びました。『プレーヤーとしても一流だし、人間としても一流』と評価されるのが理想。そこを目指していきたい。そのためにやらないといけないことはたくさんあるので、しっかり取り組んでいきたいと思います」
Q.水戸ではピッチ内だけでなく、ピッチ外の人材育成にも力を入れています。充実した日々を過ごせているのでは?
「水戸がそういうクラブだということを(黒川)淳史からも聞いていましたし、僕の考えと似た考えを持っているクラブだと思っています。なので、僕自身すぐに馴染むことができました。他のクラブのことは分かりませんが、おそらくそういった活動をしているのは水戸だけだと思います。なので、充実した日々を過ごすことができています。このMVV策定においても、自分の人生を振り返るいい機会になりました。感謝しています」
Q.あとはピッチで結果を出して価値を高めていくだけですね。
「残り試合は少ないですけど、自分がどれだけできるか自分自身に期待してプレーしていきたいと思います」
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