初のA1級へ! 黒野元基(後編)
【(C)BOATRACE】
初のヤングダービーで予選突破
ヤングダービーでG1デビュー 【(C)BOATRACE】
デビュー7期目、それも2020年に入ってからの黒野は、さらに躍進を見せるようになる。なかでも2月の浜名湖だ。ここで黒野はデビュー初優勝を果たしたのだ。この一戦は「オールB級東海地区選手権」と銘打たれた企画レース。出場選手に格上のA級選手が不在というものだった。しかしながら、黒野自身もA級経験者だったし、優勝戦1号艇の松井洪弥も同様だった。6号艇には、チルトを跳ねて大外から一気にまくり、まくり差しで攻める澤大介もいた。決してレベルが低い一戦ではなかったのだ。その後も黒野はコンスタントに予選突破を重ねるようになり、勝率を5.70に引き戻した。たった1期でA2級に返り咲いたのである。
当稿執筆時点ではその終盤を迎えているデビュー8期目には、さらに成績が上昇する。ルーキーシリーズへの出場が多くなっているのだが、同世代のなかではむしろ格上的存在といえた。予選突破を外すことはほとんどなく、常に優勝争いを賑わした。1着回数も増え、何より5着、6着の大敗が激減している。なにしろ3連対率は70%を超えているのだから、舟券への貢献度も高い。結果、勝率は一気に6.88にアップ(10月27日現在)。A1級のボーダーラインは6.20前後となりそうなので、黒野の来期A1級初昇級は確実である。
ヤングダービー2日目にG1水神祭! 【(C)BOATRACE】
このヤングダービーを優勝したのは、愛知支部の先輩である磯部誠だった。磯部はこれが最後のヤングダービーとなるのだが、今の愛知支部はイキのいい若手が目白押しである。すでにヤングダービー常連となりつつある野中一平、昨年のヤングダービーで予選トップ通過を果たした吉田裕平、またその兄の吉田凌太朗、すでにA1級に昇級している中村泰平、今年の最優秀新人の最右翼と言える前田篤哉、またその弟の前田滉など、しのぎを削り合う相手が身近に山ほどいるわけだ。このヤングダービーでは女子の出口舞有子も大活躍しており、未来の愛知支部は実に明るいし、また彼らの切磋琢磨は間違いなく彼らの腕を研ぎ澄ませていくことだろう。
そうしたなかで、黒野もその群雄のなかから一歩抜け出すべく、奮闘を見せることとなる。来年1月からA1級に昇級すれば、G1レースの斡旋も受けることになるだろう。とてつもなく強い先輩たちの胸を借りることは、黒野に大きな大きな糧をもたらすはずである。同支部同世代の面々との出世争いはもちろん、黒野自身がどこまで強い存在感を見せつけてくれるのか、今後は楽しみでいっぱいだ。愛知支部の若手精鋭ともども、その動向に注目していきたい。
2020年11月15日更新 文:黒須田守(BOATBoy) 写真:池上一摩(BOATBoy)
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