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© IRSE / Akihide TOYOSAKI

【AFTER GAME】 2020-21第2節 東京Z戦(10/10-11)~苦しい局面も全員守備で打開。変化を感じさせた2日間~

茨城ロボッツ

取材:文:荒 大 text by Masaru Ara
撮影:豊崎 彰英 photo by Akihide Toyosaki

開幕節は敵地での戦いとなった茨城ロボッツ。第2節はホーム・茨城へと戻り、アースフレンズ東京Zを迎えてのゲームとなった。10月10日の第1戦で今シーズン初勝利を挙げると、翌11日の第2戦は、最大19点差をひっくり返しての劇的勝利。アダストリアみとアリーナを熱狂の渦に巻き込んだ。今節の連勝の裏には、高いプレッシャーを保ち続けたディフェンスと、選手全員が最後の1秒まで力を出し切るための戦略が存在していた。今後のロボッツの戦いにおいて、躍進のヒントになるであろう部分を、改めて振り返っていきたい。

「点差は悲惨だった」が、誰も諦めていなかった

11日の第2戦、ロボッツは第3クォーター終了時点で、東京Zに対して16点ものビハインドを背負っていた。端から見れば、敗色濃厚と言ってもいいような状態。だが、その場面でも選手たちは口を揃えて「試合を諦めていなかった」と言う。第4クォーターでコートに立った#6 小林大祐もその一人だ。

© IRSE / Akihide TOYOSAKI

「16点差というのは、正直に言って悲惨な点差でしたが、第3クォーターが終わった段階でも選手みんなで『逆転できる』という話はしていました。一方で、オフェンスに徹したところで、流れはやってきません。相手からボールを奪う、簡単にボールを出させないというところを徹底することにしました。」

良い守備が、良い攻撃を生む。ロボッツはその連鎖で、猛烈な追い上げを見せていった。点差が縮む中で、東京Zはファウルがかさんでしまい、第4クォーター中盤の時点でチームファウルが5つに達していた。加えて、なんとか流れを取り戻そうと、タイムアウトで間合いを取りに行く。東京Zはロボッツが逆転を果たした残り3分時点で3つのタイムアウトを使い切ってしまった。

対して、ロボッツはお祭りのような追い上げムードの中でも、冷静さを失っていなかった。東京Zの#10 岡田優介や#24 高木慎哉といったシューターに対しては、小林や#13中村功平が厳しいマークで張り付いて自由を与えず、ショットクロックを使わせてタフショットに追い込む。なんとか引き剥がしたい相手がスクリーンを敷いても、すぐさまスイッチで応じていく。網に絡め取っていくようなディフェンスで、ロボッツは流れをどんどんと自らに引き寄せていった。小林は、これこそがロボッツの変化であると言う。

「僕が加入した昨シーズンから、ロボッツは個人の能力が高く、オフェンスを強みとする一方で、ディフェンス面で、相手のオフェンスの選択肢を無くすということがやりきれていないことが課題でした。ディフェンス面での解決策を、相手に攻め込まれている時に持てるようになれば、昇格への道が開けると考えています。特にうちはスモールチームなので、ディフェンスとリバウンドが常に課題になってきます。これまでオフェンスで打開しようとしていたことを、ディフェンスで解決できるようになれば勝ちにつながると、チームにも伝え続けていました。」

一方、オフェンスにおいては、例えばビッグマンが体格で押していくような個の打開というのはほとんど無く、ボールを動かしながら、小林や平尾に対して速いパスを送り込み、スピードで相手を振り切って得点を生み出していった。ディフェンスでは時間を使わせたが、オフェンスは「アップテンポ」そのものだった。#25平尾充庸は、コート上の選手たちにある共通理解があったと振り返る。

「オフェンスで時間をかけてしまうと、自分たちのシュートが入らなかったときに時間がなくなってしまいます。小林選手から言われたのですが、ショットクロックが15秒残っていたとしてもシュートを打って、アグレッシブに攻めていこうという意識を、コート上の全員が認識できていたことが大きかったと思います。」

平尾は、「まだまだ思い描くバスケットにはほど遠い」と試合後にコメントを残したものの、あの10分間の大逆転劇は「選手とボールが連動するアップテンポなバスケ」という理想に対する、一つの答えだったのではないだろうか。

「誰か」ではなく、「全員」で流れを変える

この2試合のロボッツにおいては、あるシーンが目立った。それは、コート上の選手たちが一斉に控えの選手と交代するという光景だ。クォーター途中で3人以上選手が交代した場面は、2試合で7回。第1戦では実に6回を数えた。チームをAとBに分ける、いわゆる「ツープラトーンシステム」のような状態だったとも言える。なぜこのような起用法を採用したのか。#2福澤晃平は、ツープラトーンシステムを次のように語る。

「開幕節の群馬戦では、特定の選手にプレータイムが偏っていました。誰かを交代させるよりも、チームを大まかに2つに分けることで、一人一人交代させるよりも、選手の役割が明確になりますし、戦略システムも大胆に変えることもできます。」

群馬戦を改めて振り返ると、小林が2戦続けて30分以上コートに立ち、第2戦では先発出場した5人全員が30分以上プレーをした。長時間のプレーは、選手にとっては負担を強いることだ。結果として、特定の選手に頼りきりになってしまうことにもつながるし、1人のパフォーマンス次第で、チーム全体が機能不全に陥りかねないという危険も潜んでいる。ロボッツにおいてはこれまで何度となく起こってきたことだ。こうした事態を打開するため、コーチ陣がシステムの導入を決断したのだという。

また、福澤は長いシーズンを見据えた上でも、ツープラトーンは有意義だと言う。

「プレータイムが偏ると、1試合の40分、ひいては60試合というシーズン全体を考えたときに、最後の最後で力を発揮できなくなったり、疲れが出てしまう可能性があります。チームを分けて、フレッシュな選手を入れていくことで、失いかけた流れを取り戻す。そして、時間をおいて休んだ選手たちがまた全力でプレーをする。その繰り返しで戦えることがメリットになると思います。」

© IRSE / Akihide TOYOSAKI

また、キャプテンの平尾も、新システムへの手応えを口にする。

「チームをグループ分けしたことで、何をしなければいけないか、選手たちの役割が明確になったのかなと思います。グループとして、課題であるディフェンスやリバウンドに対して何をしなければいけないか、しっかりと役割ができたと思います。」

大前提として、選手個人のレベルが高いところで拮抗しているからこそ、ツープラトーンシステムが行えることを忘れてはならない。今季のロボッツは、ベンチワークも非常に注目すべきポイントになると言えそうだ。

シーズン唯一の日立開催。「また見たいと思ってもらえるように」

昨シーズンから続くホームでの連勝を「17」としたロボッツ。次なる戦いは、日立市・池の川さくらアリーナで行われる青森ワッツとの2連戦だ。昨シーズン、ロボッツは池の川さくらアリーナでは勝利を収めることができなかった。日立を訪れるブースターに、2年ぶりの勝利をプレゼントしたいところだ。

青森は昨シーズン、特にインサイドでの戦いに苦戦し、トータルリバウンド数でB2ワースト2位となった。しかし、今季は新戦力のビッグマン、#7 ジョシュア・クロフォードがインサイドをがっちりと固めている。開幕から4試合すべてで2桁リバウンドを記録し、得点も4試合平均17.0点と攻撃力も十分に備えている。ロボッツとしては、リバウンドへの意識を高く持ち、彼を起点とした攻撃を防ぎたい。

対するロボッツのキーマンは、#31 アブドゥーラ・クウソー。今シーズンは限られた出場時間の中で、きっちりとリバウンドを奪って得点を奪い、ペイントエリアを守るという仕事は果たしている。職人芸ともいえるインサイドでのパワフルなプレーに注目だ。

シーズン唯一となる日立での開催。バイスキャプテンの福澤は、試合への意気込みをこう語る。

「ホームの30試合中、日立はこの2試合しか行われません。茨城を背負うチームとして、県全体の皆さんに応援してほしいですし、そのためにはしっかり勝たないといけません。日立での試合だからと、初めて見に来てくれる方もいらっしゃると思いますので、そういった人たちに、もう一度見たいと思ってもらえるようなプレーをしていきたいと思います。」

開幕節では2連敗を喫したものの、ホームでの連勝で星を五分に戻したロボッツ。青森戦でも勝利を収め、上位進出への足がかりとしていきたい。

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クラブ名
茨城ロボッツ
クラブ説明文

水戸市・つくば市を中心とする茨城県全域をホームタウンとするプロバスケチーム 2013年7月 「つくばロボッツ」としてクラブ創設 2014年11月法人設立 2016年 拠点をつくば市から水戸市に移し、「茨城ロボッツ」としてB2リーグに参入 事業面では、今年1月には、Bリーグ初のクラブによる「スポーツまちづくり会社」である「株式会社いばらきスポーツタウン・マネジメント」を設立 官民連携で開設した「まちなか・スポーツ・にぎわい広場(M-SPO)」の運営等を行い、地域にある様々な魅力と資源をつなぎ合わせる「地方創生」をコンセプトにした活動にも注力している。

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