「ありがとう、ミスター!!」男子ゴルフから、感謝と敬意をこめて
【©JGTO】
大のゴルフ好きでもあるミスターこと長嶋茂雄氏が、本大会の名誉会長に就任されたのは、第3回の07年大会からだ。
以来、男子ゴルフはどれだけの元気と勇気をもらってきたことか。
さっそくその記念すべき初年度に、快挙は成し遂げられた。
今から13年前。当時39歳の谷口徹が、前週の「ウッドワンオープン広島」に続く、自身3度目の2週連続優勝を達成。
「ミスターから優勝カップをいただきたくて、頑張りました」と、言った。
翌週には世界4大メジャーの全英オープンが控えていた。
強行軍を承知で谷口がその年、本大会の出場を決めたのは、勝者には、ミスターから直々に優勝杯が渡されるかもしれない、との噂が事前にあったからだ。
プロ野球選手に焦れた少年時代。
中でもミスターへの憧憬は、球団という枠組みを超えていた。
ひと目会いたい一心で、ひたむきに頂上を目指した。
噂どおりに週末の会場に現れたミスター。
その目の前で、3差の圧勝を献上した谷口は、表彰式で有言実行の対面を果たした。
震える手で、優勝杯を受け取った。
直々にいただいた優勝杯。元野球少年の宝物です。 【©JGTO】
しかも表彰式後の歓談で「谷口くんは、昔からパットが上手いね」と、ミスターは言ってくださったのだ。
「僕のことなんか、ご存知ないだろうと思っていましたので。そのお言葉だけでも本当に、嬉しかったんです」。
プロ28年で重ねた通算20勝の中でも、生涯忘れがたい1勝。
「ちょうどミスターが、冠をつとめてくださることになった初年度に、自分が勝てたことも光栄でした」と、谷口は言う。
当時、大病に倒れながら、執念のリハビリを重ねて回復されたミスターの、不屈の闘志にも感服した。
「力強い声で『おめでとう』と言ってくださった」。
あの第一声は、今も忘れていない。
あれから13年を過ぎても、なお第一線に立ち続ける谷口の原動力だ。
大会が中止となってしまった今年は、同週のシニアツアー「ISPS HANDA コロナに喝! シニアトーナメント(8月21日ー23日、群馬県・赤城ゴルフ倶楽部)」に出場。さらに次週の「マルハンカップ 太平洋クラブシニア(8月29日ー30日、静岡県・太平洋クラブ御殿場コース)」を経て、いよいよ約8か月ぶりの今季レギュラー2戦目「フジサンケイクラシック(9月3日ー6日、山梨県・富士桜カントリー倶楽部)」で、3連戦に挑む予定。
「この年で、若い子と一緒にやるのはほんとに大変です」。
今年52歳の泣き言も、ミスターの笑顔を思い起こせば背筋が伸びる。
ミスターの目の前で優勝スピーチ。全身を傾けて僕の話を聞いてくださって、本当にすごく緊張したことも、忘れられない思い出です。 【©JGTO】
今年は、会場でお会いできないかわりにゆかりのプロたちが交代で、ミスターへの感謝と敬意をつづっていきます。
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