函館ダート1700mのオープン特別・大沼Sを分析!

JRA-VAN
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【2017/6/24 函館11R 大沼ステークス 1着 8番 テイエムジンソク】

今週は日曜日に宝塚記念が行われる。同レースの展望は週半ばに行うことにして、今回は同日の函館メイン・大沼ステークスを分析してみたい。このレースは3歳以上による函館ダート1700mのオープン特別だ。過去10年のデータからレースの傾向などを探っていくことにする。データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

過去10年の大沼Sで3着以内に好走した馬

■表1 【過去10年の大沼Sで3着以内に好走した馬】

表1は過去10年の大沼Sで3着以内に好走した馬の一覧。施行時期(2010〜14年は1回函館4〜6日目、2015年以降は1回函館3日目)や負担重量(10〜13年はハンデ戦、14年以降は別定戦)に違いはあるが、10回のレースを人気や脚質面から振り返ってみたい。

まず大沼Sは1番人気の成績が優秀だ。3勝2着5回で連対率は80%と高い。好走馬の内訳をみると、2017年に優勝したテイエムジンソクは同年秋にみやこSで重賞初制覇を飾り、G1のチャンピオンSでは2着と好走した。13年2着のエアハリファは15年の根岸Sで待望の重賞初勝利。19年2着のロードゴラッソは同年にシリウスSで重賞初制覇を飾った。このように大沼Sを経て、重賞でも結果を出すことに成功している。また、10年2着のマチカネニホンバレ(エルムS1着)や16年1着モンドクラッセ(東海S2着)のように、すでにダート重賞で実績のある馬が出てきて好走した例もある。

1番人気の好走率が高い一方で、人気薄の活躍も目立つ。10番人気以下の馬が7頭も3着以内に入っている。函館ダート1700mのフルゲートは14頭(17年から13→14頭に増加)。16〜18頭に比べれば当然頭数は少ないが、10番人気以下の穴馬がよく馬券に絡んでいる印象だ。ハンデ戦で行われた10〜13年の間は、12年を除いた年で10番人気以下が3着以内に入っている。別定戦で行われるようになった14年以降も、14年と17〜19年で10番人気以下の伏兵が好走している。負担重量の条件が変わってもこの傾向に変化はないように感じる。

大沼Sの枠順別成績(過去10年)

■表2 【大沼Sの枠順別成績(過去10年)】

続いて枠順の傾向を調べた(表2参照)。優勝馬は5枠と8枠から3頭ずつ出ている。ただし、勝率は5枠が16.7%で8枠が15.8%と前者が若干いい。連対率は8枠が31.6%でトップ。複勝率は3枠の41.7%が最も高い。一方、1枠は【0.0.0.10】で不振。3着以内に入った馬が1頭もいない。

大沼Sの脚質別成績(過去10年)

■表3 【大沼Sの脚質別成績(過去10年)】

次は脚質別成績(表3参照)をみていく。対象馬が少ないマクリを除くと逃げが勝率25.0%、連対率41.7%で優秀な成績だ。単勝・複勝回収率も200%を超えている。先行も複勝率は逃げと同じで50%。連対率も37.5%ある。先手を奪うことができれば大きなアドバンテージだ。しかし、無理に逃げる必要はなく、先行できれば問題はない。一方、中団は【0.0.5.39】で苦しい。3着が精一杯で連対馬がいない。後方も【1.0.0.34】で勝ち馬こそいるが、基本的には厳しい。ただし、マクリは2頭の好走馬がいる。該当馬は13年1着のマカニビスティーと15年1着のジェベルムーサ。それぞれの2〜4コーナー(角)の通過順は13-2-4、10-1-2だった。序盤は後方にいてもいいが、早めにポジションを上げて行き、4コーナーでは先頭集団に取りつくことができれば勝機があると言えるだろう。

大沼S好走馬の前走レース・成績(過去10年)

■表4 【大沼S好走馬の前走レース・成績(過去10年)】

最後に大沼Sで好走した馬の前走レース・成績(表4参照)を調べた。全体的には前走ブリリアントS(OP・東京ダート2100m)に出走していた馬が多い。10〜14年にかけては好走馬が多く、12年は1〜3着まで上位を独占した。同レースに出走していた場合は、3着以内に好走していた馬だけでなく、4着以下に敗れていた馬にも注意したい。14年3着イッシンドウタイは前走ブリリアントS14着、18年1着のリーゼントロックは前走同レース11着と大敗していたが、大沼Sで巻き返した。前走2000m以上のレースを使い、今回が距離短縮という意味では、15年1着のジェベルムーサ(前走シリウスS9着)も似たようなケースになる。
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距離変更は短縮だけでなく延長の馬にも注目したい。19年1着のリアンヴェリテと18年3着のゴーインググレートは、前走栗東S(OP・京都ダート1400m)に出走していた。16年3着のナリタスーパーワンは前走ポラリスS(OP・阪神ダート1400m)、14年1着のロイヤルクレストは前走すばるS(OP・京都ダート1400m)に出走。また、17年2着のダノングッドは前走重賞の東京スプリント(G3・大井ダート1200m)に出走して4着と善戦していた。オープンクラスのダート1400m以下を使われ、なおかつそこで5着以内に入っていた馬が多い印象だ。また、ここであげた馬は、リアンヴェリテ以外は大沼Sで7番人気以下だった。

前走距離が今回(大沼S)の1700mと300m以上違う(1400m以下か2000m以上)馬に注目するのがポイントで、穴馬を探す際のヒントにもなるだろう。

文:小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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