【週刊グランドスラム43】新監督に聞く2――オープン戦から手応えを得て、無観客だった公式戦の初陣に逆転勝ちした鷺宮製作所・岡崎淳二監督

チーム・協会

【「継投のタイミング、試合の流れの見極めなどは経験を積んで」と語った鷺宮製作所の岡崎淳二監督(写真=松橋隆樹)。】

 3月26日に行なわれた東京都企業春季大会一回戦で鷺宮製作所は、昨年創部したJPアセット証券にリードを許すが、終盤に引っくり返して6対4で勝利を挙げた。新型コロナウイルスの感染拡大により、この大会は無観客で実施され、外出自粛要請が出るなどしたため途中で打ち切りとなったが、鷺宮製作所の岡崎淳二監督は、公式戦のスタートを白星で飾ったことになる。
 現役時代は、左の技巧派だった。記憶にあるのは、2007年の都市対抗だ。三菱重工広島との一回戦、二番手で4回2/3を6奪三振などで1失点にまとめ、チームに32年ぶりの勝利をもたらすと、準々決勝までリリーフで3連勝。チーム最高のベスト4進出に大貢献したのだ。精密なコントロールは今も健在で、2月に鹿児島県奄美大島キャンプにお邪魔した時には、打撃投手として往年と変わらないフォームを見せてもらった。ただ、「チームは2年連続で都市対抗の東京第一代表ですが、指揮官の経験不足が課題」と岡崎“新”監督は、苦笑していたものだ。
「オープン戦から手応えは結構ありましたから、初戦は楽しみだった半面、やはり緊張もしました。相手のJPアセット証券は、翌日の敗者復活一回戦で東京ガスも苦戦していたように、新規参入とは言えしっかりしたチーム。接戦にはなりましたが、何とか勝ててよかったです」
 岡崎監督は、白星発進をそう振り返る。だが、その大会が打ち切られて以降も、出場予定だった静岡、京都両大会をはじめ公式戦は6月30日まで中止となり、オープン戦の自粛期間も6月5日まで延びた。「経験不足」の岡崎監督としては、「継投のタイミング、試合の流れの見極めなどは経験を積んで」体得していきたいところだが、なかなか真剣勝負の機会がないのが歯痒い。
「ただ、どこも条件は同じで、こればかりはしようがありません」

双子の息子が所属する学童チームを指導して教える難しさと喜びを感じた

 チームは今、バッテリー、内野手、外野手の3班に分かれ、3密を避けながら自主練習に取り組んでいる段階だ。
 そう言えば岡崎監督は、社業に就いている間には双子の息子が属する学童野球チームを指導し、教えることの難しさを感じるとともに、子どもたちと喜びも共有していた。だからこそ、親として、また指導者として「今年は全国中学校大会が中止になりました。部活で野球をやっている中学3年生には、もう公式戦の機会がないのが気の毒で……」と、子どもたちの心情を思いやる。双子の息子は、部活ではなくボーイズでプレーしているが、そのチームも活動自粛中だ。
「息子たちには、室内や家の周りで体幹を鍛えたり、体力をつけるように伝えてはいます。ただ、外出を自粛していたところで、このところ急に気温が上がりましたから、熱中症には配慮しないといけませんね」
 それでも、5月14日には、8都道府県を除く39県で緊急事態宣言が解除され、プロ野球は6月中旬の開幕を目指すなど、少しずつではあるものの明るい兆しも見えてきた。気を緩めることなく、第二波を十分に警戒することを前提として、社会人野球も7月から公式戦が開催できますように。
(文=楊 順行)
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著者プロフィール

1949年に設立した社会人野球を統轄する(公財)日本野球連盟の公式アカウントです。全国の企業、クラブチームが所属し、中学硬式や女子野球の団体も加盟しています。1993年から刊行している社会人野球オフィシャル・ガイド『グランドスラム』の編集部と連携し、都市対抗野球大会をはじめ、社会人野球の魅力や様々な情報を、毎週金曜日に更新する『週刊グランドスラム』などでお届けします。

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