ダート頂上決戦を制する馬は? フェブラリーS分析

JRA-VAN
チーム・協会

【2019/2/17 東京11R フェブラリーステークス(G1) 1着 6番 インティ(1番人気)】

中央競馬ではその年最初のG1となるフェブラリーS。地方競馬のダートグレード競走も含めて考えると、前年秋の南部杯から続いたダートG1・Jpn1戦線にひと区切りをつける一戦だ。ただ、今年は前年12月以降に行われたチャンピオンズC、東京大賞典、そして川崎記念の優勝馬がいずれも不在。この3レースの勝者が出走しないフェブラリーSは4年ぶりで、前回・2016年はモーニンがG1初出走・初制覇を飾っていた。今年はどんな結果が待っているのか、過去の傾向を見てみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

人気別成績

■表1 【人気別成績】

過去10年、1番人気【4.2.2.2】、2番人気【2.2.2.4】と1〜2番人気は安定しており、2014年以降は少なくともそのどちらか一方は連対を確保している。対して、2桁人気馬の好走は1頭のみ。その1頭、単勝16番人気で優勝したコパノリッキー(2014年)の激走が印象的だが、2015年以降の近5年は馬連最高配当1570円と平穏だ。

年齢別成績(牡・セン馬のみ)

■表2 【年齢別成績(牡・セン馬のみ)】

牡・セン馬の年齢別(牝馬は本年登録なし)では、5歳馬が複勝率43.3%などの好成績。特に3番人気以内に推された馬は同83.3%の高率を記録している。4歳と6歳の比較では、4歳馬がやや優勢だ。なお、7歳以上で馬券に絡んだ5頭のうち船橋所属のフリオーソを除くJRA勢4頭は、本競走で既に3着以内に入った実績があった。

枠番別成績

■表3 【枠番別成績】

枠番別では内から外まで好走馬が出ているが、中では2〜3枠の【3.4.5.27】複勝率30.8%あたりが目立つ。また、1枠と8枠の3着以内馬計3頭は2014年以前のもので、ここ5年は全19頭が馬券圏外敗退を喫していることには注意したい。

前走着順別成績

■表4 【前走着順別成績 ※取消、除外を挟む馬は除く】

前走で3着以内に好走していた馬、特に前走を勝ってきた馬が好成績を残しているのがフェブラリーSの特徴だ。同じダートG1・チャンピオンズCも前走から連続で好走する馬が多いレースだが、それと比較しても前走1着馬の安定ぶりは光っている。

前走4着以下からの好走馬

■表5 【前走4着以下からの好走馬】

前走4着以下から巻き返して馬券に絡んだ馬は、表5の5頭のみ。このうち、表1でも例外的な存在だったコパノリッキーを除く4頭は、すべて本競走と同じ東京ダート1600mで重賞を制した実績馬。また、5歳以上の3頭はダート1600mのG1で連対した実績もあった。

主な前走レース別成績(前走1〜3着馬のみ)

■表6 【主な前走レース別成績(前走1〜3着馬のみ)】

ここからは、3着以内馬30頭中25頭を占める、前走でも3着以内に入っていた馬(表4)にかぎった成績を見ていきたい。まず表6は前走レース別の成績。このうち川崎記念組は近年好走がなく、ここ5年は根岸S、東海S、チャンピオンズC、そして東京大賞典の4レースからしか好走馬が出ていない(前走4着以下も同様・表5)。

前走根岸S、東海Sからの好走馬

■表7 【前走根岸S、東海Sからの好走馬】

表7は前走根岸S、東海S3着以内からの好走馬12頭。このうち10頭は前走連対馬、特に東海S組は4頭中3頭が優勝馬だった。また、200mの距離延長になる根岸S組は、ダート1600mの重賞で3着以内の実績を持つ馬が7頭中6頭を占めている。対して距離短縮の東海S組は、特に1600mでの実績は問われない。東海S組なら好走した5頭すべてが該当する5歳馬に注目したい。

前走G1・Jpn1からの好走馬(前走1〜3着馬のみ)

■表8 【前走G1・Jpn1からの好走馬(前走1〜3着馬のみ)】

最後に表8は、前走G1、Jpn1・3着以内からの好走馬13頭である。このうち8頭は、フェブラリーSと同じ東京ダート1600mの重賞優勝実績馬。残る5頭中3頭はダート1600mのG1馬だった。前走4着以下(表4)の5歳以上馬3頭と違い、その双方で優勝や連対実績を持つ必要はないが、2012年以降の7頭中6頭が該当する「東京ダート1600mでの重賞優勝」実績には特に注目したい。

【結論】

フェブラリーSは表1で挙げたように、まず1〜2番人気馬への注目が欠かせないレースで、今年は恐らくモズアスコットインティの2頭がその支持を受けそうだ。モズアスコットは前走・根岸Sを優勝。一方、昨年の覇者・インティは東海Sで3着に敗退してしまった。表4の通り前走1着馬が特に強いレースだけに、この2頭の比較ではモズアスコットを上位とみたい。
ただ、モズアスコットは根岸Sが初ダートだったため、この組の好走馬の大半に共通する「ダート1600m重賞好走」実績を持たない(表7)。芝1600mのG1・安田記念制覇で相殺できると考えるべきか判断が難しいところだ。一方のインティは東海Sが3着だったこと、そして昨年からひとつ年齢を重ねて6歳になったことも減点材料になる(同)。

このように、1〜2番人気が予想される2頭には不安材料もあるだけに、他馬が割って入る場面も十分に考えられる。その筆頭格は前走・東京大賞典2着で、2018年には本競走優勝の実績を持つ8歳馬・ノンコノユメ(表8)。表2本文で触れたように、年齢別では成績が落ちる7歳以上のベテランでも、過去のフェブラリーSで好走した実績があれば侮れない。
また、その表2で好成績だった5歳馬からは、アルクトスタイムフライヤーを挙げたい。アルクトスは前走・Jpn1の南部杯で2着に好走。4走前には東京ダート1600mでリステッド競走のオアシスSを制しており、表8の各馬に近い成績と考えられる。もし3番人気(以内)に推されるようなら、大きく評価を上げてもいいだろう(表2)。
タイムフライヤーは2走前、ダート3戦目だった武蔵野Sで2着。芝ではG1・ホープフルSを制している。ダート経験が浅いため表5の条件を満たすには至らないものの、「G1実績馬が重賞好走歴のあるコースで巻き返す」と広い意味で捉えれば、エスポワールシチーやベストウォーリア、インカンテーションと近いタイプだ。
文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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著者プロフィール

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