今年も未来の活躍馬を送り出せるか? 日経新春杯を展望する

JRA-VAN
チーム・協会

【2019/5/4 京都11R 京都新聞杯(G2) 1着 12番 レッドジェニアル】

今週末の日曜に京都芝2400mで行なわれる日経新春杯は、2020年最初のG2戦となる。昨年の勝ち馬グローリーヴェイズは天皇賞・春で2着に入り、年末には香港ヴァーズを制してみせた。同馬の活躍に続かんと、今年エントリーしてきたのは16頭。レース名の通り、新春に弾みをつけるのはどの馬か、過去10年のデータから有望と思われる馬を探してみよう。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

人気別成績

■表1 【人気別成績】

表1は人気別成績。過去10年、1番人気は4勝2着4回3着1回と安定感抜群で、2番人気も4勝を挙げた。複勝率ベースでいっても4番人気以内と5番人気以下の間に大きな隔たりが見られ、穴馬の好走例は少なくなっている。日経新春杯はハンデ戦ではあるものの上位人気馬が強いレースと言えそうだ。

年齢別成績

■表2 【年齢別成績】

表2は年齢別成績。ご覧の通り、年齢が若い馬ほど数値が高く、過去10年で7勝を挙げた4歳馬の成績は非常に優秀だ。5歳馬も計10頭が1〜3着に入り、複勝率32.3%、複勝回収率118%と、なかなかの数字を記録。これら4、5歳馬に比べて、6歳馬は全体的に数値が下がりはするものの、計7頭が好走。しかし、7歳以上の馬は延べ42頭も出走しながら好走例が皆無となっている。高齢馬でも侮れない昨今だが、日経新春杯ではかなりの苦戦を強いられている。

ハンデ別成績

■表3 【ハンデ別成績】

表3はハンデ別成績を牡牝別に示したもので、セン馬は牡馬に含めている。牡馬で好走率が高いのは「55〜56.5キロ」や「58〜58.5キロ」といったあたり。興味深いのは、その間の「57〜57.5キロ」は合計11走して1回も好走例がないことだ。58キロ以上を課される馬は実力で重ハンデを克服できるが、57〜57.5キロだとそれが難しいのかもしれない。牝馬は出走例こそ多くないが、全体に好走率は高く、好走例がある52〜55キロなら大丈夫そうだ。なお、牡馬は54キロ以下だと好走率が下がり、51キロ以下の好走例は皆無。また、牝馬も51キロ以下だった2頭はいずれも4着以下に敗れている。

種牡馬別成績

■表4 【種牡馬別成績 ※好走例のある種牡馬のみ】

表4は種牡馬別成績で、好走例がある種牡馬だけを掲載した。日経新春杯では同じ種牡馬の産駒が何度も好走する傾向が見られ、キングカメハメハ、ディープインパクト、マンハッタンカフェはいずれも3着以内を5回ずつ記録。そのほか、ゴールドアリュールが4回、ステイゴールドも3回の3着以内があり、この5種牡馬の産駒だけで計22回を占める。また、ハーツクライは出走回数こそ少ないが、全5走で1、2着が各1回と好走率は高い。以上、ここで名前を挙げた種牡馬の産駒は今年も要注意の存在になりそうだ。

前走クラス別成績

■表5 【前走クラス別成績】

表5は前走クラス別成績。大きな特徴となっているのが、前走で条件戦(2勝クラス、3勝クラス)を走っていた馬の好走例が計9頭もあり、好走率も前走重賞出走馬と大差ないことだ。ただしこの9頭はすべて前走1着で、これは絶対条件と言えそうだ。また、9頭中7頭は前走1番人気で、これもひとつの目安となるだろう。前走でオープン特別に出走していた馬の成績は振るわない。なお、前走で重賞に出走していた馬については、表6、表7の項目で触れることとする。

前走G2・G3出走馬の各種データ

■表6 【前走G2・G3出走馬の各種データ】

表6は、前走でG2・G3に出走していた馬について示したもの。前走人気別成績から見ていくと、6番人気以下だった馬は日経新春杯での好走率がだいぶ下がるので、5番人気以内が目安となる。そのなかでも勝ち馬が出ているのは前走1、2番人気という点も押さえておきたい。前走着順別成績も似たような傾向が出ており、6着以下だった馬は好走率が下がる。前走5着は出走例が1回しかないため保留とするが、前走G2・G3出走の場合、できれば掲示板には載っておきたいところだろう。

前走G1出走馬のタイム差別成績

■表7 【前走G1出走馬のタイム差別成績】

表7は、前走でG1に出走していた馬について、前走時のタイム差別成績を示したもの。ご覧の通り、極めて明快な傾向が出ており、前走のG1でタイム差が0.9秒以内だった馬の勝率は非常に高い。また、タイム差が小さかった馬ほど好走しやすい。一方、前走のG1で1.0秒以上負けた馬の好走例はなく、厳しい戦いとなりそうだ。

なお、11年3着のローズキングダムは今回の集計対象から外している。というのも、前走となるはずだった有馬記念は出走取消。実際に走ったジャパンCは降着に伴う繰り上がり1着と、複雑な事情を抱えているからだ。

【結論】

以上の分析に基づいて、今年の日経新春杯にエントリーがある16頭のなかから有力と思われる馬を紹介していこう。

前走G1組で目につくのがレッドジェニアルだ。前走の菊花賞(6着)におけるタイム差は0.6秒で、表7で確認した好走圏内をしっかりキープ。ほかにも、牡馬のハンデ56キロ、4歳馬、父キングカメハメハと、好走率の高い要素が見事に揃う。京都新聞杯以来の重賞2勝目に向けて視界は良好といったところか。

前走G2・G3組は、その前走で1〜5番人気かつ1〜5着が目安だった。これに合致する馬として挙げられるのが、アルゼンチン共和国杯で1番人気3着だったアフリカンゴールド。牡馬(セン馬)のハンデ55キロ、5歳馬、父ステイゴールドと、この馬も致命的な弱点は見当たらない。前走の中日新聞杯で重賞初制覇を飾ったサトノガーネットは、当時が8番人気だったことが割引材料となる。この点を除くと、牝馬のハンデ55キロには好走例があるし、5歳馬、父ディープインパクトというのは悪くない。

前走条件戦組も侮れない存在。前走1着は絶対条件で、今年これを満たすのは比叡S1着のレッドレオンだけとなる。前走1番人気ならよりよかったが、牡馬のハンデ54キロ、5歳馬、父ディープインパクトと、この馬もデータ的には有望だ。
文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

【JRA公式データ配信サービス】のJRA-VANは、PCやモバイルに向けて競馬予想に役立つデータや情報を提供しております。 重賞レースなどのオフィシャルコラムや、海外競馬情報、JRA-VANのイベント情報、お得なキャンペーンなど、あなたの競馬ライフを豊かにする情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント