鈴木愛が賞金女王 2度目の微笑み返し

チーム・協会

【<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>】

LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 宮崎カントリークラブ(宮崎県)最終日

 3Sのトライアングル。賞金女王を争った3人は、頭文字Sである。かつてないデッドヒートを展開した争いは、鈴木愛が逃げ切った。歴史には、もしもーがある。それだけに、プライドをかけた72ホールだった。

「7勝して、賞金女王になれなかった人はいません。もしも、逆転されたら恥ずかしい。とにかく、きょうは意地をみせたい。それだけでした」。

 上下、純白のウェアが戦闘服だ。「真っ白な気持ちで勝負をする。最近、最終日はそれで白に決めているのです」という。1番、4メートルのバーディーが決まった。「去年の最終日と同じところへグリーンオン。構えた時にカップインする気がしました。その通りになったから絶対にイケると確信したのですよ」。表情が和らぐ。優勝には手が届かなかったものの、ベストはつくした。ホールアウトしてからは人事を尽くして、天命を待ち、2度目のタイトルが決まると微笑み返し。愛くるしかった。

 「2人の追い上げ、本当に怖かった。2017年、1度目のタイトルはすごく緊張したことを覚えています。その時と比較すれば、今年はトップに立ってから追いかけられて、イヤな気持ちが倍増。寝る前までドキドキしていました。シーズンは山あり谷あり。予選落ちでスタートして、3週連続優勝。それから、交通事故です。秋になって左手を故障して日本女子オープンを欠場。いいこと、悪いことがたくさんありましたね」と振り返っている。

 そして、「バカみたいに練習をすればいいものではない、ということをわかったシーズンでした。申さん、渋野さんと比較して、私が優っているのは練習の量ぐらい。これまで練習をしてきたことがきょう、すべて出たような気持ちがする。だから、運が味方をしてくれたのでしょう。きのうも、このままでは終われないと、遅くまで頑張ったことで報われたと思っています。最終日は絶対にうまくいく。最後まであきらめない、とこれ以上はない集中力でプレーできました」と話した。

 この日、タイトル獲得以上に、うれしかったことがある。ギャラリーからの熱い声援だった。「私のことなんて、応援してくださらないだろうなぁ、と思っていた。でも、本当にたくさんのギャラリーの方から、(賞金女王)おめでとうと声をかけていただきました。心からうれしかったです。ありがとうございます。頑張って良かった」といい、「私のファンの1人に4歳の女の子がいます。千葉で試合があると必ず来てくれます。その子が、愛さまは伊藤園レディスゴルフトーナメントで優勝すると言ってくれました。お子さんからの声援は、特にうれしいですね」。

 さて、2020年である。「世界のメジャーは5大会、すべて出場します。東京オリンピックはもちろん出場したいけど、あまり意識をするとよくないと思う。でも来年は、見られているという意識を大事にします」と締めくくった。

 努力の人は来年もまた、バカみたいに練習するのだろうなぁ。 (中山 亜子)
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