<国内男子ゴルフ>地元福岡出身。藤田寛之が、亡き父を思う芥屋の夏

日本ゴルフツアー機構 (JGTO)
チーム・協会

【今から5年前…優勝して初めての男泣きでした。オヤジ、今年も見てて】

■国内男子ゴルフ「RIZAP KBCオーガスタ(8月29日〜9月1日、福岡県糸島市・芥屋(けや)ゴルフ倶楽部)」28日、事前情報

県出身のベテランには特に、ピーク時にはレベル5の大雨特別警報が出された地元の被害状況を気にかけながらの開幕となる。
そして、藤田には例年と違った心境で迎える今大会となる。

中学生のころ、父親の寛実さんに連れられ福岡県東区香椎の実家から、地下鉄とギャラリーバスを乗り継いで初めて見たのがこのトーナメントだ。
92年のプロ入りから寛実さんが欠かさず観戦に来てくれたのがこの試合でもあった。

その父を、亡くしたのは今年の開幕直前。
「もう1回、会えるかなと思っていたんですけれど…」。
亡くなる1週間前に、地元の地区競技に合わせて帰省した際に見舞ったのが最期となった。

幼少期から、めったに褒めてくれることがなかった。
親子関係を聞かれるたびに、「オヤジに褒められたくて、ゴルフを頑張ってきた部分もある」とよく、苦笑いで話した。

その父が脳梗塞に倒れたのは、藤田が初の賞金王についた2012年だった。
その後は床に伏しがちになり、息子の観戦も難しくなった。
「だんだん歩くのも困難になり、会場にも来れなくなってからは、そんなオヤジを元気にしたくて自分も頑張ってきたところもある」。

特に、地元開催の今大会は親子の悲願で、やっと大願成就を果たした2014年は、通算17回目の勝利にして初の男泣き。
「勝って泣いたのは初めてです。オヤジのために、勝ちたかった。本当は目の前で見せたかった」と、自宅療養の父にやっと勝利を献上して、九州男児が号泣したのである。

その父も、もういない。
父親を失ってから、初めて迎える地元大会。
「…父親が生きていた時のほうが、頑張ろうという気持ちが強かったかもしれません」。

今年は6月の誕生日で、いよいよ50歳のシニア入りに突入。
「以前は10出来たことが7、6と減ったり、年相応の苦しみもある。あえてゴルフからちょっと離れてみようか、とか。そういうストレス発散も、必要になる年ごろ」と、年齢からくる心境の変化もあるが今は、そんな自分も含めて「”(父親は)観ていてくれるんだろうな”と。今はむしろそういう気持ちで落ち着いて(プレー)できる気もしています」。
初盆を済ませたばかりの今夏。
今年は地元で、心静かに弔い戦に挑む。

<藤田寛之>
12年の賞金王。43歳にして、初の戴冠だった。
専修大学時代は目立った成績はなかったが、プロ入り6年目の97年に「サントリーオープン」でジャンボ尾崎を下して初優勝を飾ってトッププロの仲間入り。
身長168センチと小柄だが、自他ともに認める練習の虫は地道な努力で着々としり上がりに勝ち星を重ねて通算18勝のうち、12勝が40代での優勝である。
師匠の芹澤信雄を慕って静岡県袋井市に移り住んでもう長いが、今週の地元・福岡県出身。礼儀正しく穏やかな性格で、ツアーきっての人格者だが、芯の強さはやはり九州男児である。
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