【トップアスリートインタビュー】戸邉直人選手(つくばツインピークス)/男子走高跳(2)

日本陸上競技連盟
チーム・協会

【JAAF】

【topic3:今後の展望】

長いシーズンとなる2019年、2m40を目標に

Q:屋外シーズンの試合スケジュールは?

戸邉:なんとなくは決まっています。4月の終わりにアジア選手権(4月21〜24日、ドーハ)があるので、その前にもしかしたら記録会を挟むかもしれませんが、最初は、とりあえずアジア選手権が1つの目標になります。そのあと、大阪で開催されるゴールデングランプリ(5月19日、長居)に出て、6月にダイヤモンドリーグのローマ(6月6日)とラバト(6月16日)に出てから日本選手権(6月27〜30日、博多)に戻ってきて、7月は日本でトレーニングをして、8月またヨーロッパに行って、9月にトレーニングをして、その後、10月は世界選手権(9月27日〜10月6日、ドーハ。男子走高跳は10月1日に予選、10月4日に決勝を実施)へ。そういうイメージでいます。


Q:東京オリンピックを目指す上では、アジア選手権、世界選手権が重要になってきます。

戸邉:来年の東京オリンピック出場権獲得に向けては、ポイントランキング制が導入されるので、アジア選手権は、そういう意味でも非常に重要な試合となってきます。もちろん優勝を目指していきたいなと思っています。世界選手権は10月に行われますから、シーズンとしては例年よりも長くなるわけですが、この世界選手権も東京オリンピックに向けた試金石となる、非常に重要な大会になると思いますので、しっかり結果を残せるように頑張りたいと思います。

Q:記録面での目標を。

戸邉:記録としては2m40を目標にやっていきたいと思っています。

Q:そこについては、ビジョンは見えている?

戸邉:今回、ほとんどの試合で、2m36、2m37という高さに挑戦しているのですが、いずれも跳べてもおかしくない跳躍ができたかなという感触がありました。その(2m)36、(2m)37を越えたら、次は2m40に挑戦することになります。すごく具体的に、「あと、どこがどれくらいできたら跳べるのかな」というイメージがつきましたね。

Q:2m40は、今年中に出せそうですか?

戸邉:出せると思いますし、出したいと思っています。
 
博士号を取得。春からは「JAL」に所属

Q:春からは、日本航空の所属で競技を続けることを発表しました。JALに決めた背景を。

戸邉:アスリート社員だけでなくて一般の社員の方を含めて非常にいい雰囲気で、競技を応援してくださるすごくいい環境だなと感じました。ここで競技をすることで、自分の力にもつながると思ったし、その応援をエネルギーに変えることで、競技者としてより強くなれるなと思ったので決めました。

Q:仕事との兼ね合いや練習拠点は?

戸邉:拠点は変わらず筑波大学です。仕事面に関しては、かなり競技中心に…ということでご配慮いただいています。今の大学院と競技との両立よりも、より競技に力を注げるかなとイメージしています。

Q:日常生活自体は、これまでとどう変わりそうですか?

戸邉:今までは博士論文を書いていましたから、午前中にトレーニングをして、昼食をとってからは夕食の時間を除いて寝る前まで研究をやっているという感じでした。これからも研究的なことは、少しは続けていきますが、1日1〜2時間くらいになるのかなと思うので、そういう意味では、かなり競技に集中できるようになると思います。

Q:3月末には博士(コーチング学)の学位を取得されます。どういうテーマの博士論文を執筆されたのですか?

戸邉:テーマは、「走高跳のコーチング学的研究」です。従来のスポーツ科学の研究では、あるテーマに絞って、何人かの被験者をもって統計的にどんな結果が出たかを見ているものが多いのですが、「コーチング学的」ということで、より実践を意識したような内容になっています。もちろん、従来(の研究で)やられていたような走高跳でより高く跳ぶためにどんな要素が必要かということを、何人かの被験者を使って統計的に調べたりもしましたし、その上で、自分のこれまでの競技力を向上させてきた過程の動作分析をして、何がそれに効いていったのか、トレーニング内容も含めて分析したような研究になっています。

Q:口頭試問は?

戸邉:(本審査は)遠征に出発する直前の、1月18日に終わっています。(口頭試問が終わったあとで)その場で結果がいただけるので、今回の遠征は、すごく開放感いっぱいの気持ち(笑)で出発しました。

Q:それでは、学業自体はひと区切り?

戸邉:そうですね。ただ、パフォーマンスを高めるなかで、私が大事にしているデータ分析みたいなものはあるので、それは大学を拠点にトレーニングをするなかで、今後も継続してデータをとって、自分で生かしてやっていきたいなと思っています。

Q:いよいよ本格的に、世界が主戦場となりますが、走高跳の場合は、バルシム選手がいて、王宇選手(中国、アジア大会金メダリスト:世界室内ツアー最終戦で、2m34の中国新記録を樹立)も頑張ってきています。そういう意味では、アジアレベルの大会の段階から楽に試合ができない状況です。

戸邉:王選手とは、(転戦先で)何度も相部屋になったりしているので、すごく仲がいいんですよ。(最終戦のときは)試合中は“おめでとう”とかそういうのはあったものの、あまりしゃべらなかったのですが、ホテルに帰ってからは、互いに「よかったね」みたいなところから始まって、「今シーズンはどうする」とか「次のオリンピックに向けてどうする」みたいな話を、いろいろしました。
ハイジャンプは、アジアで優勝できれば、世界でも優勝できるくらいのレベル。正直、しんどいなと思う部分はありますが、その環境が嬉しいというか、より強くならなきゃならない環境なので、それを力にしていきたいと思っています。

※このインタビューは、2月23日に行われた帰国会見の質疑応答および囲み取材における戸邉選手のコメントを、3つのトピックスに分けて再構成しています。

構成・写真:児玉育美(JAAFメディアチーム)
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