09年の中央競馬のフィナーレを飾るグランプリ。秋のG1戦線をにぎわしたスターホースたちが回避して,ややさびしいメンバーとなったが,3歳牝馬でクラシック2冠馬のブエナビスタをはじめ,春のグランプリ馬・ドリームジャーニー,一昨年の覇者・マツリダゴッホなど強豪馬16頭が顔をそろえた。
過去10年,1〜3番人気は7,3,2連対。1番人気は6勝2着1回と上々の成績だが,2,3番人気が3,2連対と精彩を欠いている。一方,6番人気以下からも2けた人気馬3頭を含む5頭が連対している。
馬連配当は3けた〜1000円台6回と万馬券が4回。一昨年を除くと,優勝馬は4番人気以内に限られているが,ヒモに人気薄が絡むことが多く,難解なレースとなっている。
連対馬20頭は前走すべて重賞からの参戦で,内訳はG1組18頭,G2,G3組から各1頭。G1組が圧倒的な強さを見せている。路線別はジャパンC組が10連対でトップ。菊花賞組3連対,天皇賞(秋)組2連対。ただ,2走前を見てみると,天皇賞(秋)に8頭が出走しており,これを前哨戦の2頭に加えると最多連対のジャパンC組と同数の10連対となる。その年のジャパンCと天皇賞(秋)に出走している馬には警戒が必要だ。
重賞実績では20頭中16頭がG1連対馬(2歳戦を含む)で,連対できなかった4頭中3頭も芝2200M以上のG2の優勝馬だった。なお,該当しなかったタップダンスシチー(02年)も2着は確保していた。
年齢別は3〜7歳上馬が5,10,2,1,2連対。連対率はそれぞれ15,31,5,5,14%。連対数,率で4歳馬が他世代をリードしているが,今年4歳馬の出走はなく,3歳馬に注目したい。
牡馬は130頭が出走して18連対(14%),牝馬が13頭で2連対(15%)。牝馬は連対数で見劣るが,率では牡馬とほぼ互角となっている。なお,横山典弘騎手との新コンビで臨む3歳牝馬ブエナビスタが優勝すれば,1960年のスターロッチ以来49年ぶりの快挙達成となる。
◎…前走のジャパンCでリーチザクラウンは逃げて9着。1000M通過が59秒0と2400Mにしてはよどみのない流れで,直線で馬群に沈んだ。ダービー2着はあるものの,皐月賞(13着),菊花賞(5着)で凡走していまだG1タイトルに手が届いていない。しかし,脚質的にコーナーを6度回る中山コースに替われるのは大きなプラス。今年不振の天才・武豊騎手が最後の最後に逃げ切りを決める。
○…相手も3歳馬のスリーロールス。1000万下を勝った勢いで菊花賞を制したが,もともと強敵相手に好走してきた素質馬。夏を越えて一気に素質が開花した。好位で折り合えるのが強みで,先行差しの脚質も中山コースにぴったり。2冠達成のチャンスも十分にある。
▲…ドリームジャーニーは春のグランプリ宝塚記念を圧勝した。秋2戦は位置取りや展開が向かず,勝ち切れずにいるが,状態は依然絶好調。G1勝ちのある中山の舞台もプラスで,右回りになればモタれる心配もない。父ステイゴールドが果たせなかったグランプリ制覇も夢ではない。
△1…ブエナビスタは凱旋門賞をかけた札幌記念で2着に敗れると,続く秋華賞で2位入線も3着に降着となった。さらに前走・エリザベス女王杯でも脚を余しての3着と,春から一転して完全に歯車が狂った。乗り慣れた安藤勝から横山典へのスイッチにも懸念?があり,連下の評価とした。
△2…イコピコは秋初戦の神戸新聞杯(芝2400M)をレコードで快勝した。菊花賞4着は距離が微妙に長く,前走の鳴尾記念4着は逆に距離不足。自慢の末脚を生かし切れなかった。2500Mで巻き返しがあってもおかしくない。
△3…フォゲッタブルは菊花賞のハナ差2着から前走でステイヤーズSを制した。中山コースは1勝3着1回の舞台。距離短縮は歓迎できないが,母・エアグルーヴの良血が完全に開花した今なら,差のない戦いができそうだ。