高校サッカー選手権・8強ランキング

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 第102回全国高校サッカー選手権は、1月2日に3回戦が行われ、ベスト8が出揃った。そこでお届けするのが、開幕前に作成した「出場校ランキング」のアップデート版。今大会のここまでの戦いぶりを加味し、勝ち上がった8校の評価を見直した。「得点力」「守備力」「選手層」「経験値」「完成度」の5項目について、各20点満点であらためて採点。その総合点で8強のランキングを導き出した。

(著者:松尾祐希、企画・編集/YOJI-GEN)

※項目は横にスクロールします。

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解説

飯塚との初戦を苦しみながらも制した青森山田は、続く3回戦で広島国際学院に7-0の圧勝。攻守にこれといった穴がなく、現時点での優勝候補筆頭と言える【写真は共同】

 第102回目を迎えた高校サッカー選手権も前半戦を終え、ベスト8が出揃った。戦前の予想通り、青森山田、静岡学園、米子北(鳥取)といったU-18高円宮杯プレミアリーグ勢がひしめくブロックが潰し合いとなった一方で、開幕前の「出場校ランキング」で1位とした優勝候補の尚志(福島)が初戦で姿を消し、初出場の名古屋が大躍進を遂げるなどサプライズも起きている。

とはいえベスト8の顔ぶれを見れば、基本的には有力校がほぼ順当に上がってきており、「波乱の大会」と呼ぶまでの驚きはない。

 大会前のランキングで2位とした青森山田は、苦しんだ初戦の経験を糧にベスト8まで駒を進めてきた。2回戦からの登場となった今季のプレミアリーグ覇者は、プリンスリーグ九州2部で2位に入った九州の新鋭校・飯塚(福岡)に大苦戦。敗色濃厚の74分にFW米谷壮史(3年)のゴールで追いつき、PK戦の末になんとか第一関門を突破したが、この薄氷の勝利がチームを1つにする。

 続く広島国際学院との3回戦では、攻撃陣が爆発。後半に一挙6ゴールを挙げて7-0の大勝を飾り、6大会連続の8強進出を決めた。「選手権特有の空気感があった初戦を勝ち切れたのは大きかったし、次からは本来やってきたことを、山田らしくやろうと再確認できた」とは、正木昌宣監督の言葉。手堅い守備とチャンスを確実に仕留める決定力を備え、攻守に隙を感じさせないだけに、現状で最も優勝に近い存在であるのは間違いないだろう。

 その青森山田と準々決勝で対戦するのが、4位にランク付けした昌平だ。青森山田と同じプレミアリーグEASTに所属する技巧派集団は、昨年10月に村松明人監督が就任してから守備時のアプローチを修正。相手ボールになった際に引いて構えるのではなく「即時奪回」を狙い、攻守が一体となったアグレッシブな戦いを試みてきた。そんな新たな取り組みの成果は、今大会でも確かに見て取れる。

 また、大会を通じて接戦をものにする勝負強さも身に付いてきた。米子北との2回戦(1-1/PK4-3)、大津(熊本)との3回戦(2-2/PK5-4)では、いずれも終了間際に期待の1年生MF長璃喜が起死回生の同点ゴールを奪い、PK戦をしぶとく制している。青森山田とは今季のリーグ戦で1分け1敗と白星がないが、持ち前の技術力にタフさが加わった現在のチームならば、勝機はあるはずだ。

 2位評価の市立船橋は、伝統の堅守とFW郡司璃来(3年/清水エスパルス入団内定)の決定力を大きな支えに、ここまで勝ち上がってきた。ただ、攻撃面で郡司に頼りきりになるのではなく、今大会ではエース以外の活躍が目立つのもプラス材料だ。2年生FWの久保原心優ら前線の選手はもちろん、両サイドバックの佐藤凛音(3年)と内川遼(3年)もネットを揺らすなど、どこからでもゴールが奪えるチームになった。

 その伝統校と相まみえるのが、戦前のランキングではトップ25から漏れていた愛知の名古屋だ。PK戦で奮迅の働きを見せているGK小林航大(3年)を中心とした堅守を武器に、初出場ながらベスト8に名乗りを上げたが、1回戦でプレミアリーグ参入プレーオフに出場した日章学園(宮崎)、3回戦で前回王者の岡山学芸館(岡山)を下した実力は本物で、文字通り今大会の台風の目となっている。さらに攻撃陣もMF原康介(3年)を軸に、少ない好機を確実にゴールに結びつける術を持つ。8強では最も低い評価となったが、この勢いは軽視できない。市立船橋も油断すれば足をすくわれるだろう。

抜群の決定力を見せつけている名和田(中央右)など、魅力的なタレントを擁する神村学園。準々決勝の相手、近江も侮れないが、初の決勝進出が見えてきた【写真は共同】

 左SB吉永夢希(3年/ヘンク入団内定)、FW西丸道人(3年/ベガルタ仙台入団内定)といった世代屈指の逸材を擁する神村学園は、やはりタレント力が目を引く。ここまで爆発力はやや物足りないものの、MF新垣陽盛(2年)とMF福島和毅(1年)のダブルボランチを軸にボールを動かしながら、多彩なパターンで相手守備ブロックを崩せる攻撃は魅力たっぷりだ。エースでU-17日本代表のMF名和田我空(2年)も、消える時間が長いとはいえ、ここぞという場面で持ち前の決定力を発揮している。守備も安定しているだけに、前回大会のベスト4を超えて、初の決勝進出が現実味を帯びてきた。

 ただし準々決勝の対戦相手、近江も侮れない。2試合連続でPK戦を制して初の8強入り。いずれも先制を許しながらMF山門立侑(3年)のゴールで追いついており、その逆境をはね返す力は凄まじい。しかも、撃破した相手は夏のインターハイでベスト4の日大藤沢(神奈川)と、同じく優勝を飾った明秀日立(茨城)。実力上位と見られていた2校を倒して勝ち上がってきた。ガンバ大阪ユースやセレッソ大阪U-18も参戦するプリンスリーグ関西1部で2位に入った近畿の新鋭が、勢いに乗っている。

 絶対的な本命が不在だったブロックからは、佐賀東と堀越が勝ち抜けた。大会前の「出場校ランキング」ではランク外となった前者だが、自慢の攻撃力を前面に押し出し、試合を重ねるごとに調子を上げてきた。ここまで3ゴールのMF右近歩武(3年)を筆頭に、個人技で勝負できる選手が揃っており、魅惑のポゼッションスタイルで初の4強入りを目論む。

 一方の後者は2020年度大会以来のベスト8入りだ。キャプテンのMF中村健太(3年)を中心にチームは団結しており、とりわけ8強の中で唯一の無失点と守備の安定感が群を抜く。戦前の評価から「守備力」は3ポイントアップ。堅守を拠り所に初の国立を目指す。

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