2023ドラフト候補選手ランキング
記事
ドラフト中継番組の解説者としてもおなじみの野球ライター・西尾典文氏に「投手」と「野手」をそれぞれ6項目で採点していただき、その合計点で2023年のドラフト候補ランキング上位30人を選出した。
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※各項目10点満点、合計60点満点
※項目は横にスクロールします
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解説
野手で最大の目玉と見られていた佐々木麟太郎(花巻東・一塁手)がプロ志望届を提出することなく、アメリカの大学への進学を希望することとなり、野手で1位指名間違いなしという選手は不在という印象を受ける。ただその中で最終的に1位12人に入る可能性が高いと見られているのが度会隆輝(ENEOS・外野手)、上田希由翔(明治大・三塁手)、真鍋慧(広陵・一塁手)の左の強打者3人だ。度会は横浜高校入学時からそのバットコントロールには定評があったが、社会人で長打力が一気にアップ。昨年の都市対抗野球では4本塁打を放つ大活躍でチームを優勝に導き、MVPにあたる橋戸賞も受賞した。高校時代は平凡だった守備、走塁面でも成長が見られ、ドラフト直前には内野を守れるところもアピールしている。高校卒の社会人野手としては福留孝介(元中日など)以来となる目玉選手であり、21歳という若さも大きな魅力だ。上田も全国から力のある選手が集まる明治大で下級生の頃から中軸を任されている強打者。たくましい体格でパワーも申し分ないが、それ以上に光るのが広角に打ち分ける打撃の巧さだ。今年も厳しいマークの中でも春、秋連続で3割を大きく超える打率をマークしており、三振の数も非常に少ない。サードの守備はスローイングは少し不安定だが脚力もあり、あらゆるポジションを守った経験があるのもプラス要因である。真鍋は早くから佐々木と並んで注目を集めていた高校球界を代表するスラッガー。引っ張るだけでなくセンター中心に大きい当たりを打てるのが魅力で、芯でとらえた時の打球の勢いと飛距離は圧倒的なものがある。内角のさばきや、守備のハンドリングなど少し不器用な面はあるものの、恵まれた体格とパワーは何物にも代えがたい魅力である。佐々木のプロ入りがなくなったことで、繰り上げて指名することを検討している球団もあるはずだ。
この3人に続く存在としては進藤勇也(上武大・捕手)、横山聖哉(上田西・遊撃手)、明瀬諒介(鹿児島城西・一塁手)、広瀬隆太(慶応大・二塁手)など、様々なタイプの選手が揃う。進藤は3年時から大学日本代表の正捕手を任せられており、近年の大学生捕手の中でも総合力では頭一つ抜けた存在だ。スローイング、キャッチングはもちろん長打力のある打撃も備えており、将来の正捕手候補が欲しい球団は上位指名の可能性も高い。横山はこの夏浮上してきた大型遊撃手。特にそのスローイングはプロでもトップクラスの迫力があり、打撃も力強い。プロで鍛えがいのあるタイプとして評価は高いだろう。明瀬と広瀬はプロから需要の高い右のスラッガー。ともに変化球への対応や守備への不安はあるものの、打った瞬間に分かる特大アーチを放てるというのは大きな魅力である。内野の大砲候補が欲しい球団も多いだけに、上位指名の可能性は高い。
昨年の矢沢宏太(日本ハム1位)に続いて二刀流として注目を集めているのが武田陸玖(山形中央・投手兼外野手)だ。投手としても140キロ台中盤のスピードを誇る本格派サウスポーだが、現時点でより評価が高いと見られているのがバッティングだ。上背はそれほどないもののフルスイングの迫力は十分で、引っ張るだけでなく左方向にも放り込むことができる長打力は高校生離れしたものがある。どのように育てるべきかという議論はありそうだが、将来の中軸候補として評価している球団も多いはずだ。
全体的には強打者タイプに好素材が多く、逆に二遊間や外野手は少し手薄となっている。それだけに、評価よりもポジションが重視されて高い順位で指名される選手が出てくることも十分に考えられるだろう。
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