勝利だけが必要な背水の陣。だが、キャプテンは動じずにチームを引っ張る

花園近鉄ライナーズ パトリック・タファ選手 【ジャパンラグビー リーグワン】

前節、清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)を相手に痛恨の逆転負け。4連勝を逃しただけでなく、D1/D2入替戦進出に向けて限りなく赤に近い“黄信号”が灯ったはずの花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)だったが、レッドハリケーンズ大阪も前節敗れたことで、希望の光が見えてきた。

昨季、D2への降格を強いられた花園Lだが、チーム内には二つの“昇格”を経験した頼もしい選手が存在する。バイスキャプテンから今季はキャプテンという立場に身を置き、登録区分もカテゴリAに変更されたパトリック・タファである。

「(シーズンの)最初から、キャプテンとしてカチッとハマってくれると思っていました」。開幕から5試合を負傷で欠場したタファの不在が誤算だったことを明かす向井昭吾ヘッドコーチだが、言葉数の多さではなく、その背中でチームを引っ張るタファの存在はチームにとって欠かせないものだ。

これ以上の取りこぼしは許されない背水の陣であるチーム状況だが、チームに向けてあえて、過度な声掛けをしないのが“タファ流”である。

「気を抜いてしまうと負けを引きずったり、落ち込んだりしてしまいますが、まだシーズンは終わっていません。キャプテンとしてはポジティブさを保つことを意識しています」

敗戦後の記者会見でもかみ締めているはずの悔しさや怒りは表に出さず、悟りを開いた仏さながらの柔和な顔を見せるタファ。ただ、江東BSとのリターンマッチでは勝利だけが必要なことも承知済みである。

花園Lに加入して今季が4年目。タレントがそろうチームの強みも課題も知り尽くす。前回の江東BS戦では、自滅に近いミスを繰り返したが「次の試合で気を付けたいのは規律です。われわれのプレーとシステムを信じること。個人個人でプレーしようとしないことです」とオーストラリア生まれのキャプテンは語る。

もちろんピッチ内ではイチ選手でもあるだけに「キャプテンとして80分プレーするので、周りの選手にインパクトを与えるプレーをしたいです。特に後半、ベンチからリザーブ選手が出てきたときに、キャリーやセットピースで彼らを引っ張っていくつもりです」。

「泰然自若」「不言実行」──。日本にはさまざまな四字熟語が存在するが、パトリック・タファにはそんな言葉が良く似合う。

(下薗昌記)
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