ラグビーの醍醐味はいまもなおその胸に。重傷を乗り越え、実直に、やるべきことをやり遂げる
「順位や勝ち点どうこうではなく、後半戦に向けてさらに成長するきっかけとなるような試合にしたい」と徳野洋一ヘッドコーチは語る。前半戦で唯一の黒星を付けられた相手に雪辱を果たし、良い後半戦のスタートを切りたい。
けがから戻ってきた鈴木匠は、リザーブから出場機会をうかがう。約1年2カ月ぶりとなる公式戦が天王山となるが、「リーグ戦の中の1試合」と泰然自若の様子。左ひざに重傷を負い、「復帰できるのかなと不安になることもあった」というが、周りの人のサポートもあり、グラウンドに帰ってきた。
「リハビリがキツ過ぎて、いまラグビーできていることが楽しいです」と鈴木。3歳から空手を習っていたが、父親の勧めもありラグビーを始めることになった。「空手の道場が自由な雰囲気で、組み手のときにタックルしてもいいところでした。それがきっかけで『ラグビーやってみたら?』と言われて始めました」。
ラグビーに出会った当時の鈴木は「言い方が悪いですけど、こんなことしても許されるのかと思いました(笑)」と、ラグビーの醍醐味である体と体をぶつけ合うことに面白さを感じた。「痛みのことなんか考えず、目の前の相手にぶつかっていけるのが楽しいです」。あのとき感じたラグビーの楽しさは、いまも変わらないという。
与えられた役割を全力でやり切ることが、彼のモットーでもある。大好きなラグビーをするために、「本当にイヤだった(笑)」と回想したリハビリ期間も、「何も考えずにひたすらやっていました」。いまを全力で生きる。そんな言葉が彼にはぴったりだ。
グラウンド内でも「それだけでメンバーに選んでもらっている」と語るほど、実直にやるべきことをやる。プラスアルファをもたらす特別な存在でなくとも、各々の役割を実行できれば、勝利をつかみ取れるようにS愛知のラグビーはできている。“当たり前なプレー”の一つひとつに、鈴木匠はこだわる。
(齋藤弦)
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