心優しき好青年が迎えるクラブ通算50キャップ。アグレッシブなランで今節も相手を打ち破る

NECグリーンロケッツ東葛 アセリ・マシヴォウ選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

アセリ・マシヴォウは、物静かでシャイな一面をもち、チームメートへの多大なリスペクトを欠かさない好青年である。

48対7で勝利を収めた前回対戦から2週間。NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)は、九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)と対戦するため東平尾公園博多の森陸上競技場へ乗り込む。そしてこの一戦は、マシヴォウにとってGR東葛での50キャップに到達する記念すべき試合となる。

2020年にGR東葛に加入し、2021年3月28日、ジャパンラグビー トップリーグのパナソニック ワイルドナイツ戦でファーストキャップを刻んだ。それを「昨日のことのように思い出すことができる」とマシヴォウは話す。以来、彼は試合でも練習でもハードワークを貫いてきた。

ここまでのキャリアで、瀧澤直、亀井亮依といったチームリーダーの振る舞いや言動から多くを学んだ。3月9日には28歳になり、中堅と呼ばれる年齢に差し掛かった。「若い選手が気軽にアドバイスを聞きに来たり、悩み事を話してくれたりするような選手になっていきたい」と、尊敬する先輩たちを想起しながら自分自身の目指すべき姿を丁寧な口調で語る。その言葉からも、マシヴォウの心優しき人柄がにじみ出ている。

ただ、そんな心優しき青年も、ひとたびグラウンドの中に入ると、強靭なフィジカルを生かしたアグレッシブなランで、相手の守備を打ち破る選手へと豹変する。このギャップもまた、マシヴォウの魅力だろう。

前回対戦の試合後、九州KVのウォーカー アレックス拓也は「GR東葛のフィジカルの強さで削られたという感じ」と敗因を振り返り、「反省点を修正して、チャレンジャーとしてバトルしていきたい」と今節への意気込みを述べていた。おそらく九州KVは、GR東葛のフィジカルを生かしたアタックに向けて入念な対策を立ててくることが予想される。

マシヴォウが今節の九州KV戦を展望する。

「前回対戦は大差で勝ち、良い勝利につながりましたが、次の試合で負けてしまったらそれは何の意味もなさなくなってしまいます。昨季はビジターゲームで思うようにいかず、ボーナスポイントを取り逃がす試合がありました。そういうことがないように、自分たちを信じて挑んでいくだけだと思います」

百戦錬磨の司令塔、リース・パッチェルをして「GR東葛のストロングポイント」と言わしめる強靭なフィジカルをもつ選手たち、マリティノ・ネマニ、オルビン・レジャー、そして50キャップ目を迎えるマシヴォウ。彼らは相手の対策をいかに上回り、勝利を手繰り寄せるのだろうか。実に楽しみな一戦だ。


「GR東葛のストロングポイント」左からオルビン・レジャー選手、リース・パッチェル選手、マリティノ・ネマニ キャプテン

NECグリーンロケッツ東葛 オルビン・レジャー選手(左)、リース・パッチェル選手(中央)、マリティノ・ネマニ キャプテン(右) 【©ジャパンラグビーリーグワン】

(鈴木潤)
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