1ホールに4〜5ヶ所ある。ゴルフにおけるマネジメントとはセーフゾーンを渡り歩くこと!
【ゴルフサプリ】
米国で修行中に米ツアーの選手たちは総じて「パッティングが上手すぎる」と衝撃を受けたプロコーチ・吉本巧。その経験から、スコアを追い求めるならグリーンでは”トランスフォーム”が必要であること、またマネジメントに関しても新しい発見を得たという。今回は、吉本コーチの若かりし頃の経験談を交えたゴルフのマネジメントのお話。
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アメリカのプロゴルファーはパッティングが“エグイ”くらい上手い!
名門だけあってベイヒルはすごく難しいコースですが、そこで予選に出た時(USオープンかUSアマかは忘れました)に、練習ラウンドでジャーミー・アンダーソンという全く知らない選手と一緒に回ったのですが、彼はハーフを29で回りました。練習でリラックスしたラウンドとはいえ30切りはエグい。まだ20歳くらいの選手でしたが、そういう化け物みたいな選手がゴロゴロいたのです。
何がうまいかってパターがうまい! PGAツアーのプレーヤーは300ヤード超えのドライバーやキレキレのアイアンショットの印象が強いと思います。確かにそうですが、多くの場合、みなさんは絶好調で優勝争いをしている選手を見せられています。実際のところ、そこまで全てがいい選手はほんの一部。ティショットが曲がる選手もいれば、グリーンを外しまくる選手もいます。
でも、パターは例外なくみんなうまい。私の師匠の息子さんはツアープレーヤーでしたが、彼は30メートルのパットを3球打って2回入れていましたが、みんながそんな感じで、私からしたら異次元の世界にいるようでした。グリーンは硬くて目も詰まっているので、そもそも速い。おまけにトーナメントセッティングですから、いきなりやったらプロでも手に負えないはずなのに……。
なぜあんなに入るのか? 私はラインの読み方・考え方が違うんじゃないかと思いました。うまい言い方が浮かばず恐縮ですが、入らない選手は自分ありきで構えているのに対して、入る選手は必ずしもそうでない気がしました。
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プレーヤーはグリーンを流れる水みたいな存在に
つまりは、どれだけグリーンに合わせて“トランスフォーム(対応・変容)”できるかが大事。自分をぶつけてもうまくいかないので、まず相手の話を聞く。グリーンが話しかけてくる言葉に耳を傾けると、意外とやることが絞られて自分を変えることができます。
ツアープロは我を通しているように感じますが、実は逆でみんな柔軟。例えば「スライスの方がやさしいよ」とグリーンが言ってきたら、なるべくスライスラインにつける。「今日は下りはサービスだよ」と言ってきたら、あえて上りは残さない、といった感じです。
アマチュアの方の場合、もっぱら自分の理想とする形がゴールで、そこに向かって邁進しますが、それはかえって遠回り。今できる範囲でグリーンに合わせて“トランスフォーム(対応・変容)”するほうがスコアに結びつきます。
パッティングするまでのルーティンは守るけれど、アドレスはパットごとに変わるプロもたくさんいます。ツアープロはみなさんが思っている以上に感覚優先で、そこまで形にはこだわっていません。もっと言えば、ルーティンもグリーンに合わせるためのもの。そこに気づけた人がパット巧者なのでしょう。
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私の場合、セーフゾーンは消去法で探します。ティショットなら、まずOB、ハザード、ワンペナエリアをチェックする。先にどこに打つかを決めるんじゃなく、打っちゃダメなところをどんどん意識から消していきセーフゾーンに行き着くわけです。これは2打目以降も一緒です。
デンジャーゾーンを意識すると、そこに飛びやすと言われますが、それは意識したままだから。ホールをパッと見たら、全部見えてしまうわけですから、そこからダメなところを排除していく。これがルーティン化されれば意識には残りません。見ないようにしよう=意識しているということなんです。
グリーン周りはワナが集中していますから、グリーンを狙う場合には特に有効な考え方だと思います。グリーン周りのセーフゾーンについては、手前30~60ヤードのエリアに多い傾向があります。ハザードやトラブルになりやすいエリアはグリーンから30ヤード程度の範囲に集中していて、花道よりさらに手前になると何もない。
フェアウェイも広く、あえてそこに打っていく人も少ないのでライも悪くありません。そのあたりのエリアからのアプローチを練習しておけばボギーで収まりやすいと思います。もちろんそうではないホールもありますが、そう多くありません。
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よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・中央区日本橋浜町の「吉本巧ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。
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