10,646人の拍手が物語る大活躍。即興の技に表れたリース・パッチェルの魅力

NECグリーンロケッツ東葛 リース・パッチェル選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

今季新加入のリース・パッチェルは、ウェールズ代表22キャップを誇り、2019年に日本で開催されたラグビーワールドカップにも出場した実力者である。1月11日に柏の葉公園総合競技場で行われたNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)と日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)との試合では、パッチェルがワールドクラスの実力をいかんなく発揮した。

開始2分の、マリティノ・ネマニの先制トライに象徴されるとおり、GR東葛の強みは強靭なフィジカルを備えるランナーのアタックにある。そして、そのアタックにパッチェルがパスとキックで変化を加えることで、破壊力が何倍にも増幅される。

圧巻だったのは、後半22分のプレーだ。ニック・フィップスからパスを受けたパッチェルは、日野RDのディフェンスラインの背後に広がるスペースを見つけると、繊細かつ精度の高いキックパスで、そのスペースにボールを落とした。バウンドしたボールを拾ったネマニはそのまま突進。ネマニのこの試合2トライ目で、GR東葛は点差を広げた。

さらに驚愕だったのが、あの一連のプレーは練習で準備してきたものではなく、即興だったというのだ。それをパッチェルが解説する。

「今週の初めにチーム全員で初詣に行ったときに、タケシさん(松尾健コーチ)との会話の中で出てきた案だったんです。練習はまったくやっていなかったんですけど、やってみた……というプレーでした。ただ、チームの全員が敵陣の深いエリアでプレーする重要性を理解していたので、チャンスがあることは分かっていました」

スカーレッツやウェールズ代表のころからパッチェルを知るウェイン・ピヴァック ヘッドコーチは、彼を「賢く、経験を持つ選手」と評する。後半22分のプレーは即興だったとはいえ、高い技術と優れた戦術眼に加え、局面を冷静に見極めるだけの経験値と状況判断の良さがなければなし得ないプレーであり、まさにパッチェルの魅力が凝縮されたシーンだった。

試合は56対19でGR東葛が勝利を収めた。この試合には10,646人の観客が詰めかけたが、後半34分にパッチェルが交代で退く際に送られた大観客から拍手が、彼の活躍を物語っていた。

(鈴木潤)
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