ビタミンの効果的な摂取方法とは:管理栄養士監修

MELOS -メロス-
 アスリートやトレーニング愛好家にとって、筋肉づくりや疲労回復に必要な栄養素の摂取は重要事項です。カラダの維持に必要不可欠な「5大栄養素」のひとつが、ご存知「ビタミン」です。

 前編で栄養素としてのビタミンの基本を理解したところで、後半はいよいよ実践編です。管理栄養士の佐藤樹里さんに効果的な摂取法やおすすめ食事メニューなどを教えていただきます。

【MELOS】

 多種多様な食品から上手にビタミンを摂るコツは、

1)献立に最低でも5種類の野菜を用いる
2)1日300gの野菜を摂る。そのうち100gは緑黄色野菜を摂る

 これで1日に必要なビタミンが摂取できるといわれています。

 ただし、食品成分表の含有量は「新鮮なものに含まれる値」を示したものであり、実際の食品のビタミン含有量とは大きな開きがあります。また、水洗いや加熱などの調理によっても損失し、ビタミンCは約5割、ビタミンB1やB2は6〜7割ぐらいに減ってしまうので、実際にはその差を考慮しなければなりません。

 忙しい生活を送る現代人にとって、栄養素をすべてまかなえる理想的な献立を毎日実行することはとても大変です。「今日の献立は少し◯◯が欠けるかな」と思ったら、薬やサプリメントで補給していくことも考えましょう。

アスリートに必要なビタミンはこれだ!

 ビタミンはたんぱく質とともに、筋肉や臓器などカラダの材料となります。体調を整えたり、疲労回復、免疫力を高めるためにも必要量の摂取が必要であり、運動の種類や目的によって不足しがちな種類も異なります。自分がきちんと摂るべきビタミンを確認しておきましょう。

 もちろん、基本的にはすべてのビタミンを摂取するのがベストですが、特に水溶性ビタミンは不足しがちなので、意識して適宜摂取する必要があります。水溶性ビタミンは水に出てしまうため、野菜は茹でるより生で食べると量を摂取しやすくなります。または野菜スープなどにすれば、溶出した水溶性ビタミンも美味しくいただくことができます。

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 一方、脂溶性ビタミンは油で炒めたりすることで効率よく摂取できます。脂溶性のビタミンAの豊富なニンジンは野菜炒めに、水溶性のビタミンCが豊富なパプリカなどは生で食べるなど、ビタミンの特徴を考慮しながら調理すればより効率的に摂取できるはずです。

 ちなみに、ニンジンにはビタミンAそのものはほとんどありません。黄緑色野菜のなかに含まれるカルテノイドの一種、β-カロテン(プロビタミン)が消化吸収されると、小腸でビタミンAヘと変化します。そのため、β-カロテンは「ビタミンA前駆体」とも呼ばれます。このときカラダに必要な量だけ変化するので、ニンジンを大量に食べてもビタミンAの過剰症は起こりません(β-カロテンを摂りすぎると黄疸が出る場合があります)。

 アスリートが不足しがちなのが、運動を行うと消費されるビタミンB1。栄養ドリンク剤によく配合されているように疲労回復の効果があります。運動だけでなく、甘いもの(糖質)を食べすぎたりアルコールを飲みすぎても不足するので気をつけましょう。

 また、葉酸は妊活や妊娠中に必要な栄養素というイメージがありますが、実はアスリートにも大切なビタミンです。葉酸は赤血球の形成過程に大きく関わり、葉酸が不足すると巨赤芽球性貧血という貧血を起こします。アスリートはいわゆるスポーツ貧血を起こしやすい状態になるので、葉酸も意識して摂取することが必要です。今人気のプロテインバーにも含まれているものもあります。

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 ビタミンB群のひとつ、ビタミンB12も赤血球をつくるのに欠かせないビタミンですが、植物性食品にはほとんど含まれていないので、動物性食品も適度に必要です。ビーガン(厳格な菜食主義)の人は注意しましょう。
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