筋トレ後にお酒を飲むと筋肉量が落ちる?糖質ゼロやノンアルコールならOK?

MELOS -メロス-
 筋トレ後のビールを楽しみに、トレーニングを行っている人も多いのでは。しかし、お酒はせっかくのトレーニング効果を台無しにしてしまう可能性があります。はたして、アルコールは筋肉にどんな影響を与えるのか。糖質オフビールやノンアルコールなら問題ないのでしょうか。

【MELOS】

アルコールによって起こる筋トレへの悪影響

テストステロンの分泌量が減少するおそれ

 「テストステロン」というホルモンは、摂取したたんぱく質を合成させ筋肉を作るという働きを持っています。筋トレの刺激によって分泌されるのですが、アルコール摂取によりテストステロンの分泌量が減少するとされているのです。

筋肉の合成を促すシグナル伝達経路の活動が低下するおそれ

 筋トレやたんぱく質の摂取により、筋肉の合成を促す「mTOR(たんぱく質キナーゼ)」と呼ばれるシグナル伝達経路が活発になることが分かっています。しかしアルコールを摂取することで、mTORの活動が低下するという結果を発表している研究も。

コルチゾールの働きで筋肉の分解を促進されるおそれ

 アルコール摂取によって分泌される「コルチゾール」というホルモンには、血糖値をコントロールする働きがあります。このコルチゾールには、エネルギー源である糖を生み出すために、筋肉の分解を促進させてしまう作用も。筋肉の分解は筋肉量の低下に繋がりやすくなります。

エネルギー過多になりやすく体脂肪増加を招くおそれ

 「お酒はエンプティカロリー。飲んでもすぐにエネルギーになるから太らない」という話を聞いた人もいるかもしれません。確かにアルコールは、摂取後すぐエネルギーとして使われるために分解されます。しかし、アルコールのエネルギーを消費している間は、食事から摂取したエネルギーは消費されていません。その結果、エネルギー過多となってしまい、余った分のエネルギーが体脂肪として蓄積されやすくなります。

アルコールによる食欲増進のおそれ

 お酒に合う料理の多くは糖質や脂質、塩分が多く含まれています。料理を食べずに飲み続けるという人は問題ないかもしれませんが、そうではない人は食べた分だけカロリーオーバーの危険性が高まります。

糖質ゼロ/オフなら問題ない?

 糖質ゼロ/オフのビール飲料といっても、(ノンアルコール製品以外は)アルコールが含まれた立派な“お酒”。飲み方には十分気をつけたいところです。栄養士の田村つぼみさんはこう忠告します。

「筋トレをしているのであれば、本来は、お酒は飲まないほうがベスト。カラダづくりの際にアルコールを摂取すると、他に摂取した栄養が奪われてしまい、筋トレの効果が低くなったり、体脂肪がつきやすくなる可能性があります。『量を飲まなければ……』というわけではなく、アルコールを飲んだ時点で肝臓でのアルコール分解はスタートしており、余った分は確実にただの脂肪になってしまいます」(田村さん)

【MELOS】

 では、絶対に飲んではいけないかというと、

「たとえばダイエットで食事を制限している人は、ストレスで逆に太ってしまうことがあります。ずっと我慢をすることで精神的にストレスになるくらいであれば、“カラダを意識しながら”お酒を飲むことはいいと思います。チートデイ(週1日だけアルコールを摂取していいご褒美日)を設定して、お酒と筋トレを上手に両立させましょう」

ノンアルコールビールなら飲んでもいい?

 アルコールをほぼ含まず、カロリーも低いのがノンアルコールの最大のメリット。とはいえ、トレーニング中や筋トレ後に飲んでもいいのでしょうか?

【MELOS】

 トレーニングで水分が排出された状態だと、血液もどろどろ状態であり、カラダは疲れてしまっています。疲労回復を早め、カラダへの負担も減らすためにも水分補給が重要であり、ノンアルコールでも問題ありません。

 ただし微量のアルコールが入っているものあるので、トレーニング中の水分補給には必ずアルコールゼロを選ぶこと。さらに糖質が入っていては元も子もないので、糖質ゼロのものを選びましょう。

「トレーニング中の水分補給というより、“終わった後にビール!”を求めている人のほうが多いでしょう。ビールを我慢するのではなく、気兼ねなく飲んでいいという気持ちの面でも、ノンアルコールにはカラダや心への負担が減らせるメリットがあると思います」(田村さん)

ボディメイク中にアルコール摂取する場合は

 身体づくり中にアルコールを飲む場合、以下の対処法で乗りきりましょう。

糖質が少ないアルコールを選ぶ

 ビールやワイン、日本酒、カクテル、サワーなどは、糖質が多く含まれています。糖質が少ない焼酎やウイスキー・ハイボールなどの蒸留酒を選ぶようにすることで、体脂肪の蓄積を防ぐことができます。糖質ゼロ/オフも選択肢のひとつです。

摂取量は少なめに

 少量であれば筋合成の影響を受けないとされる研究もあります。アルコール分解能力には個人差があるため一概には言えませんが、大体500ml(ロング缶1本)程度と考えておきましょう。量が少なくてもアルコール度数が高いものは悪影響をもたらすので、注意が必要です。

トレーニング直後は避ける

 トレーニング直後は、筋肉の合成が高まる重要な時間帯。そのタイミングではアルコール摂取は避け、プロテインなどたんぱく質をしっかり摂取するようにしてください。

おつまみのメニューは低糖質、高たんぱくのものにする

「まず、カロリーを摂取しすぎないためには、もちろん飲みすぎないこと。その日のご飯の量を減らすなどをして、飲んだカロリーや糖質分を他に置き換えることが大事です。ビールにはもともと、アミノ酸、ビタミン類、食物繊維などの栄養素が豊富に含まれています。せっかく糖質を減らしているので、おつまみや食事も糖質が低いものにしましょう。豆腐や枝豆などが手軽でヘルシーですが、野菜のナムルや発酵食品もおすすめです。同時にタンパク質もしっかり摂ってください。旬の焼き魚や、甘いタレではなく塩味でソテーした鶏肉など、良質な油や焼いた香りとともに楽しむといいですね」(田村さん)

【MELOS】

▼筋トレをしている人向け
「高タンパクを意識しましょう。食事には鶏むね肉のステーキなどがオススメですが、味付けはタレなどの甘辛いものではなく、塩や香辛料によるシンプルなものにします。定番おつまみでもたんぱく質が多いお刺身、チーズ、ウインナーなどや、豆腐や枝豆などの豆類も良いです」(田村さん)

▼ダイエットをしたい人向け
「筋トレの人と同じ考え方でOKですが、糖質は低いものを選んでほしいところ。さらに、スルメのように固いものはよく噛むので、少ない量でも満足感がアップします。糖質は多少ありますが、生野菜やゆで野菜もたくさん食べましょう。噛む回数が多くなるように、食材は大きくカットしましょう」(田村さん)

Q. 体脂肪を落とすためジムに通っていますが、飲み会が多く、アルコールを我慢するのがつらいです。ちなみにノンアルコールだと物足りません。ボディメイク中のビールとの付き合い方を教えてください。

「どうしても我慢できない場合は1杯だけ飲み、代わりに食事量を調整してください。また、飲み会前の食事コントロールと運動もポイントです。

まずはノンアルコールビールやハイボールに挑戦してみてください。それでも我慢できないのでしたら、1杯だけ飲みましょう! そして、その後は注ぎ役に回り、お茶とお水で過ごしましょう。

また、食事の量を減らすことも意識していきましょう。ビールは糖質が多い飲みものです。糖質と油(とくに揚げもの)は相性が悪く、脂肪になりやすいので要注意です。居酒屋には、低糖質なメニューも多く取り扱っています。えだまめ、冷奴、お刺身、焼き鳥(塩)、鍋などは、RIZAPのゲストさまにもおすすめしています。

飲み会の日が決まっているなら、朝・昼の食事を減らす、飲み会前に激しめの筋トレをしてみる(たとえばスクワット100回!)なども、対策として有効です」
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

スポーツ×ライフスタイルWEBマガジン「MELOS -メロス-」では、ビジネス、健康、ビューティ、子育て、食、テクノロジーなど、生活にまつわるさまざまなテーマとスポーツの新たな形をコンテンツを通じて提案。アスリートや著名人などの単独インタビュー、体験レポート、ハウツーなど、オリジナルコンテンツをお届けしています。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント