田嶋大樹、ワインドアップに変えた効果は? データで解説
オリックス・バファローズ・田嶋大樹投手 【©パーソル パ・リーグTV】
7月に入ってから本来の姿に
田嶋大樹投手 2024年期間別防御率 【©データスタジアム】
7月からワインドアップのフォームに挑戦
これを境に、田嶋投手は走者を置かない場面では基本的にワインドアップで投球するようになっている。例外として、7月27日、8月27日のみずほPayPayドームでの福岡ソフトバンク戦、9月3日のほっともっとフィールド神戸での埼玉西武戦の3試合は、試合の途中からセットポジションで投球していた点は付記しておきたい。マウンドとフォームの相性があるのか、試合途中にフォームを変更することもあるようだ。
フォーム変更を機に制球力が向上
田嶋大樹投手 2024年初球ストライクゾーン割合 【©データスタジアム】
ワインドアップ投法を取り入れた以降の登板でもストライク先行の投球を続け、7月以降の初球ストライクゾーン割合は59.0%と以前から約11ポイント増加。リーグで上位に位置する制球力を身につけるに至った。
セットポジションでもコントロールが改善
田嶋大樹投手 2024年走者有無別・初球ストライクゾーン割合 【©データスタジアム】
田嶋投手は初めてワインドアップ投法を取り入れた7月9日の登板後と、8月中旬に好投の要因として「身体の連動性が良い」という旨のコメントを残している。身体全体を大きく使うワインドアップ投法を取り入れたことで、セットポジションでの投球にも好影響が及んだのかもしれない。
コントロールの向上に加え、球速アップにも成功
田嶋大樹投手 2024年月別ストレート平均球速 【©データスタジアム】
制球力と球威が増して、不振から脱却
田嶋大樹投手 2024年走者有無別の各種成績 【©データスタジアム】
「ピッチャー振りかぶって、第1球を投げました――」かつての野球中継では、耳馴染みのあるフレーズだったが、現代のNPBでは振りかぶって投げる投手は希少な存在だ。ワインドアップ投法は、一般にコントロールの不安定さ、クセの出やすさ、走者を背負うと投球フォームの変更が必要とされる点などがデメリットとして挙げられ、年々球界から姿を消しつつある。今回取り上げた田嶋投手は、ワインドアップ時だけでなく、セットポジションでの投球にも好影響が表れている点が特徴的といえる。
投球フォームの再現性が重視される現代において、ワインドアップ投法に挑戦することは投手にとって勇気のいる挑戦だろう。過去に経験がないというワインドアップへフォームを変更して成績を向上させた田嶋投手のケースは、不振に苦しむ他の投手にとっても進化のヒントになり得るかもしれない。
※文章、表中の数字はすべて2024年9月13日終了時点
文・データスタジアム
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