パリ五輪の日本代表監督、丸山茂樹のジュニア大会がツアー会場で開催。その理由とは?

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松山英樹が銅メダルを獲得した男子ゴルフ日本代表監督、丸山茂樹のジュニアゴルフ大会が5日に横浜カントリークラブで開催された。同CCでは今週(8~11日)男子ツアーの「横浜ミナトチャンピオンシップ」が開催される。異例ともいえるトーナメント期間にジュニア大会を行ったことには、ゴルフ界の将来を見据えた丸山の思いが詰まっていた。

「ツアーレベル」を体感してほしい

2014年に始まった「丸山茂樹ジュニアファンデーション」が開催する大会は5日で30回目。この日はマンデートーナメントも行われ、コースはツアー仕様のセッティング。昨年8月に続いてツアーと同週に開催したことを丸山は「ツアーのセッティングがどのようなものなのか、実際に体験してほしいから」と説明します。

では、それが一般営業とはどう違うのか。ファンデーションの理事でもある内藤雄士プロに聞いてみました。

一般営業のコースとは、ここが違う

内藤が挙げたのは「グリーンのスピードと硬さ。あとはラフの長さと密集度」です。

一般営業のコースのグリーンのスピードは9~10フィートほど。それがツアーでは12~14フィートになり、硬さも増すため普段の「ナイスショット」ではボールを止めることはできません。

さらにラフは「出せそうと思っても出ない、ということが起こります」(内藤)。

この状態にするには数か月前からの準備が必要な上、一般アマチュアがプレーすると「ボールが出せずにスロープレーになる」「ボールが見つからない」といった事態が起きてしまうため、なかなかできません。

「いつもの感覚で“とにかくグリーンに近づけて”とやるとほとんど前に進めずにボギーやダボになってしまいます。距離を残してもフェアウェーに出して、そこから2打で上がるマネジメントも身に付けてほしいです」(内藤)。

難易度の違いはどれぐらい?

普段パープレーやアンダーで回れる人でも、ツアーのセッティングだと80を叩いてしまう。それぐらい難易度が違います。

いつものプレーが通用せず、打ちのめされるジュニアもいるでしょう。それでも「このセッティングで通用するショットやマネジメント力を身に付けるにはどうすればいいのか」と意識するようになれば練習の質も上がります。

このことを少しでも早く経験してほしい、というのが大会の狙いです。

ジュニアたちにもツアー基準のセッティングを早く体感してほしい。 【ゴルフサプリ】

「卒業生」には中島啓太や臼井麗香。岩井姉妹の名前も

パリオリンピックの日本代表だった中島啓太もこの大会に出ていました。他にも西郷真央や臼井麗香。明愛と千怜の岩井姉妹も参加経験あり。2028年ロサンゼルス。2032年のブリスベンなど今後のオリンピックやツアーではより多くの「卒業生」が活躍するかもしれません。

「ゴルフはお金がかかる」イメージを払拭したい

また丸山の「世の中の9割の人は『ゴルフはお金がかかる』と思っている。このイメージを払拭したい」との思いからこの大会は「参加費、プレー代ともすべて無料」の方針を貫いています。

5戦全勝で世界選抜の勝利に貢献してMVPとなった1998年の「プレジデンツ・カップ」で「ドネーション・フィ」はどこに支払えばいいのか?と聞かれて、海外の選手は社会貢献やジュニア育成を目的とした基金、財団を設立していることを知った丸山。これがきっかけで自身のジュニアファンデーションを立ち上げたこともあって「無料」にこだわっています。

松山は銅メダル獲得後にSNSで丸山への感謝の言葉を綴りました。その日本代表監督がやっている取り組みがゴルフ界全体に広がっていってほしいものです。

(取材・文/森伊知郎)
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