湘南を離れ、町田での新たな争いを求めた杉岡大暉。もがき苦しみ、自分を見失いかけた先でやっと見つけた理想のSBとは
移籍の難しさを経験した鹿島時代 【写真:アフロ】
今季、自分自身を見つめ直して、答えに辿り着いたからこそ、当時とは異なる「自信」が、今はある。不遇とも表現したくなる鹿島での経験を、糧や教訓にする力も備わっている。
「その経験を踏まえて、自信を持ってプレーすることが一番大事だと思っています。移籍は本当に難しいことですけど、その経験があるのは今の自分にとって大きなアドバンテージになっています。誰も自分を知らない環境では、無理に周りに合わせようとするのではなく、自分というキャラクターを作り上げるくらいの気持ちで、アピールすることが大切だと学びました。選手としてうまかろうがヘタだろうが、『自分はこういう選手だ』と示すことができれば、周りがそれを理解して合わせようとしてくれるので」
新天地へと踏み出したのは、杉岡の強さでもあった。早くも横浜FM戦で変化を見せたように、町田では自分を表現し続けている。
縦への推進力と正確な左足で、町田の新たな武器になれるか 【©️FCMZ】
この夏には、左サイドに相馬勇紀も加わった。
「これまで平河悠選手が担っていた左サイドは、町田のストロングではあったと思いますけど、それに負けないような力のある選手が加わったので、一緒に町田の新たな左サイドを築いていきたいですね」
杉岡が町田でのデビューを飾った国立競技場での試合が、8月31日にも行われる。J1第29節で迎え撃つのは浦和レッズである。杉岡が左SBで出場すれば、マッチアップするのは石原広教だろう。
国立でマッチアップする可能性がある石原広教 【©️J.LEAGUE】
自信が大切だと知るからこその賛辞である。そして、杉岡自身も今は、自信に満ちあふれている。
「確かに自分のプレースタイルは、現代サッカー向きではないかもしれません。でも、クラシカルなSBというか、自分の身体の強さを活かして守備をして、ガンガンと攻め上がって、チームの攻撃に厚みをもたらしたい。器用な選手ではないかもしれませんが、自分の強みである推進力をもっと、もっと出していくことができればと思っています。クラシカルなSBって言いましたけど、今まで、自分の理想像って探していなかったんです。でも、この半年間、苦労して自分を見つめ直したことで、見えてきたのは酒井宏樹さんのような選手。そういう力強いSBになりたいと思っています」
初めて明かした理想のSB像 【©️J.LEAGUE】