【赤星憲広が徹底解説】貧打に苦しむ阪神打線に光明は?「後半戦のキーマン」を独自分析で明言

前田恵

連覇逃した06年岡田阪神に似た状況?

打撃陣とは対照的に奮闘を続ける投手陣。中でも才木浩人は両リーグトップの8勝をマークするなど大車輪の活躍を見せている 【写真は共同】

 さて、ここで話題は投手陣に移る。青柳晃洋、伊藤将司の2人が苦しんでいる中、今季は才木浩人が8勝を挙げ、連敗ストッパー。また村上頌樹、大竹耕太郎、西勇輝、ビーズリーも先発陣の一角で、試合を作っている。「これ以上望めないですよ」と赤星さん。

 岩崎優、ゲラのWストッパーでスタートしたリリーフ陣は、不振に陥ったゲラがいったん二軍に落ち、再調整を行なった。基本的にはストレートとスライダーの2球種しか持たないゲラ。「(対戦が)一回りして、研究された」のが不振の原因、と赤星さんは分析する。一方、岩崎もなんとか踏ん張ってはいるものの、今季は“あと1人”から打たれるシーンも。とはいえ虎のブルペンを支える「鉄人」に、赤星さんは熱いエールを贈る。

 ここから今回最大のテーマ、阪神の「アレンパ」に話題が移る。2005年、第一次岡田監督政権下で、不動の一番バッターとして活躍し、優勝に貢献した赤星さん。「岡田さんは、スタメンを固定したいタイプの監督」と赤星さんが解説する通り、昨季も岡田監督はメンバーを固定して日本一を勝ち取った。ところが今季は、その“固定したい”主力の成績がどうにもこうにも上がらない。「僕らのときの(2005年リーグ優勝の翌年の)2006年に、今季は似ているんですよ」と赤星さんは、歴史を振り返る。ここまで選手の状態がこぞって上がらなければ、もはや監督の采配云々ではなくなってしまうのだ。従って「今季はスタメンを固定し続けるのは難しい」と言う赤星さん。果たしてどこに、光明を見出せばいいのか。どんな選手の名前が挙がるかは、動画で見てほしい。

 最後に後半戦のキーマンとして、赤星さんは近本の名前を挙げた。もちろん現状、彼の成績に「納得しているわけではない」(赤星さん)。ただでさえ“投高打低”の球界にあって、さらには他球団の徹底マークを受け、27日現在2割5分台まで打率を落としている。しかし、彼なら本来「3割を打てる力がある」と赤星さん。では、「もし近本が崩れたら……」!? 気になる“その先のひと言”は動画でご確認を!

(企画構成:株式会社スリーライト)

赤星憲広(あかほし・のりひろ)

【写真提供:オフィスS.I.C】

1999年亜大卒業後、JR東日本を経て、2000年度ドラフト4位で阪神タイガース入団。プロ入り1年目に、盗塁王と新人王を獲得、以後05年まで5年連続盗塁王を獲得し、プロ通算381盗塁は球団最多記録。07年には1000本安打達成。ゴールデングラブ賞6度受賞。俊足を生かした全力プレーと、06年からは選手会長としてもチームを牽引するが、09年9月、試合中のダイビングキャッチで脊髄を損傷、同年12月に現役引退。小さな体格や度重なるケガとの戦い、現役時代から続ける車いす寄贈活動、野球界発展を目指した野球チーム設立などの自身のあらゆる経験から、現在は野球評論家、プロ野球解説以外でも、各種メディア出演、講演などをおこなう。

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著者プロフィール

1963年、兵庫県神戸市生まれ。上智大学在学中の85、86年、川崎球場でグラウンドガールを務める。卒業後、ベースボール・マガジン社で野球誌編集記者。91年シーズン限りで退社し、フリーライターに。野球、サッカーなど各種スポーツのほか、旅行、教育、犬関係も執筆。著書に『母たちのプロ野球』(中央公論新社)、『野球酒場』(ベースボール・マガジン社)ほか。編集協力に野村克也著『野村克也からの手紙』(ベースボール・マガジン社)ほか。豪州プロ野球リーグABLの取材歴は20年を超え、昨季よりABL公認でABL Japan公式サイト(http://abl-japan.com)を運営中。

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