【赤星憲広が徹底解説】貧打に苦しむ阪神打線に光明は?「後半戦のキーマン」を独自分析で明言

前田恵

主砲・大山をはじめ打撃陣が不振にあえぐ中で、赤星氏がキーマンに挙げる選手は? 【写真は共同】

 プロ野球はセ・パ交流戦が終了し、リーグ戦が再開。セ・リーグは1位から4位までが3ゲーム差前後で推移する、“だんごレース”が続いている。昨季日本一に輝き、球団史上初のリーグ連覇が期待される阪神は、2位につけながらアレコレ苦戦中だ。そこでスポーツナビのYouTube(野球チャンネル)に、元阪神で野球評論家の赤星憲広さんが登場。古巣・阪神の「“アレンパ”の可能性」について、厳しくも愛のある分析をしてくれた。(取材日:6月17日/文中の成績は同日時点)

「主砲の不調」「4番・近本」を徹底解説

 交流戦終了時点で、阪神の順位はセ・リーグ2位。チーム防御率こそ2.22で広島に次ぐリーグ2位だが、チーム打率.220は最下位だった。その数字を示し、「この成績でこの順位はある意味、驚き。よく戦っている」と赤星さんは言う。

 そのうえで赤星さんはまず、打線不振の原因を分析する。他球団が、前年日本一の阪神打線を徹底マークしているのは明らかなこと。昨季、阪神は下位打線が塁に出て、上位打線がそれを還す、「“打線のつながり”で点を取れるチームだった」(赤星さん)。しかし今季は、どの選手も昨年並みの打撃力を発揮できていない。

 ここで赤星さんは「3年続けて結果を出したら、本当の力だ」と、自身の現役時代に先輩選手や首脳陣から幾度となく聞いた言葉であり、今の赤星さんの持論でもある言葉を披露する。今季、なかなか打率が上がらず苦しんでいる選手たちに、奮起を促すひと言だ。

 赤星さんがまず個別に名前を挙げたのが、主砲・大山悠輔。春季キャンプで臨時コーチを務めた赤星さんは、大山が下半身のコンディション不良を抱えたまま開幕を迎えたことは当然知っていた。しかし、「ここまで打てなくなるとは想像しなかった」と言う。大山に何が起こったのか。どこで、迷走しているのか赤星さんが分かりやすく説明する。

 次に名前が挙がったのは、今季、約3週間の二軍落ちまで経験した佐藤輝明だ。赤星さんは佐藤輝を「チームの中心にならなければいけない選手」と認めたうえで、岡田監督がなぜ彼を二軍に落としたか解説。再昇格後、佐藤輝に「ひたむきさが出てきた」と岡田監督の目論見通りであったことを、赤星さんも見て取った。ところがバッティングの状態は、二軍調整後もあまり上がってきていない。果たして今後の佐藤輝に、打棒爆発のチャンスはあるのか。赤星さんの忌憚のない意見を聞こう。

 大山、佐藤輝に代わって4番を務めたのが、近本光司である。この「4番・近本」について、赤星さんが岡田監督に取材したところ、返ってきた答えはひと言、「おらんやん」だったという。活発な下位打線を「1番・近本」が還していた昨季。しかしその下位打線が機能しない以上、打てない打線の中でもアピールしている選手を上位に置き、4番・近本に還してもらう作戦を取るしかない。

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著者プロフィール

1963年、兵庫県神戸市生まれ。上智大学在学中の85、86年、川崎球場でグラウンドガールを務める。卒業後、ベースボール・マガジン社で野球誌編集記者。91年シーズン限りで退社し、フリーライターに。野球、サッカーなど各種スポーツのほか、旅行、教育、犬関係も執筆。著書に『母たちのプロ野球』(中央公論新社)、『野球酒場』(ベースボール・マガジン社)ほか。編集協力に野村克也著『野村克也からの手紙』(ベースボール・マガジン社)ほか。豪州プロ野球リーグABLの取材歴は20年を超え、昨季よりABL公認でABL Japan公式サイト(http://abl-japan.com)を運営中。

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