明豊が「一球への執着を持って」鍛えた球際 伝統の堅守で見据える日本一
センバツ出場が決まり、喜びに沸く明豊の選手たち 【矢頭智剛撮影】
明豊野球を体現する「監督さんのノック」
川崎絢平監督は「凡事徹底、当たり前のことを当たり前にやる」という指導方針を掲げ、山内真南斗(まなと)主将は野球を通じて「一球への執着」を学んだという。平凡な反復であっても、目の前にあることを怠らない。そんな明豊を象徴する練習が、山内主将がユニークな練習としてアンケートで挙げた「監督さんのノック」だ。
川崎監督が放つ打球は野手が捕れる範囲のギリギリを突く。SNS上には、実際に球場でその様子を見たスタンドの観客の賞賛がたびたび寄せられている。しかも練習では、ノックの最後に、捕球からバックホームまでの一連のプレーで誰かが失敗したら全員でグラウンドを一周する「ノーエラー」というノルマが課されることも。長いときには2時間に及ぶノックで、球際の強さを徹底的に鍛え上げる。
山内主将は、優勝候補は「明豊」と自信たっぷりに回答した。その理由も「一球への執着を持って練習してきたから」。初戦の相手は強豪・敦賀気比。当たり前のプレーの積み重ねの先に、勝利が待っている。
スポーツ経験が多彩 元日本代表も
大会前に主催者が明豊の選手20人に実施した「将来の夢」のアンケート調査結果 【毎日新聞】
他のチームではあまり見られない格闘技経験を持った選手もいる。大型三塁手の芦内澄空(あしうち・そら)選手は15歳の時にボクシングを体験。制球力が自慢の寺本悠真投手は、6~8歳までテコンドーを習っていた。
将来の夢は、卒業後も野球を続ける意思を持つ選手が多かった。巧打が自慢の高木真心(しん)選手ら8人がプロ志望(米大リーグ選手を含む)で、正捕手の山内選手も社会人野球と答えた。
印象に残っていることを尋ねると、6人が昨夏の甲子園に触れ、そのなかでも3人が「北海戦でのサヨナラ負け」を挙げた。1回戦でぶつかり、2点リードで迎えた九回裏2死走者なしから追いつかれ、タイブレークの延長十回表に再び1点を勝ち越したが、力尽きた。3番手でマウンドに上がり、サヨナラ打を浴びた野田皇志投手は、新チームでエースに成長。対戦したい学校の質問でも北海を挙げ、「昨夏の借りを返す」と力強く宣言した。