センバツLIVE! 全32校アンケート分析

劣勢でもあきらめない明るさ自慢の関東一 「同じ目線」を心がける主将

毎日新聞

怖さ知り、増したしぶとさ 左右二枚看板で流れつかむ

畠中鉄心投手(左)と坂井遼投手 【小林遥撮影】

 派手さはなくとも、攻守ともにしぶとさが光る。「常連校」の印象が強いが、甲子園の土を踏むのは実に2019年夏以来。米沢貴光監督は「正直、苦しかった。プレッシャーを受け止めて、はね返すことができた」と語る。

 リズムをもたらすのは左右の二枚看板だ。技巧派左腕の畠中鉄心投手は130キロ台中盤の直球と、得意のチェンジアップなどを駆使した緩急が持ち味。昨秋は6試合23回あまりを投げて失点2、防御率0.77と安定感があった。速球派右腕の坂井投手は最速145キロの直球に自信を持つ。昨秋は全11試合で投げ、東京大会決勝は創価に5安打1四球、1失点完投で優勝の立役者になった。捕手・熊谷俊乃介選手とのバッテリーを中心としたセンターラインが生命線だ。

 両投手は昨年夏も2年生ながら主戦として出場。しかし、チームは東東京大会5回戦で延長十回タイブレークの末に敗退した。最後に痛打を浴びた坂井は「先輩の夏を壊してしまった。すごく悔しかった」と振り返り、米沢監督は「負けたら終わり。トーナメントの怖さ、一球の怖さを身をもって知れた。それはすごく大きい」。あの悔し涙を、貴重な糧として生かしている。

明治神宮大会で大阪桐蔭を打ち破る

大阪桐蔭に勝利し、喜ぶ関東一の選手たち 【前田梨里子撮影】

 打線は中軸の主将・高橋選手、熊谷選手らを中心に切れ目がない。明治神宮大会準々決勝では3連覇を目指した大阪桐蔭に12安打を浴びせて9-5で勝利するなど、要所の集中力が光る。昨秋11試合での平均得点9.82は出場校中トップだが「打力が課題」との意識は監督、選手に共通している。では、なぜ打線がつながるのか。米沢監督は「打席では最高を求めるより、最低限を積み重ねようという考え。『本塁打を打つより3球三振はだめ』など。どうすれば勝ちに結びつくか一人一人がすごく考えてくれている。そこは全国の相手に負けたくない」と説明する。

 過去に春夏通算14度、甲子園に出場して春準優勝、夏ベスト4の最高戦績を誇る実力校。8年ぶりのセンバツとはいえ、目標を高く設定し、プライドを懸けて戦う。寮のミーティング室の黒板には、力強く「全国制覇」と記されている。高橋主将は「口に出すことが大事。そこに向かう熱量が変わってくる」。久しぶりの甲子園でも、頂点への覚悟は本気だ。

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