劣勢でもあきらめない明るさ自慢の関東一 「同じ目線」を心がける主将
怖さ知り、増したしぶとさ 左右二枚看板で流れつかむ
畠中鉄心投手(左)と坂井遼投手 【小林遥撮影】
リズムをもたらすのは左右の二枚看板だ。技巧派左腕の畠中鉄心投手は130キロ台中盤の直球と、得意のチェンジアップなどを駆使した緩急が持ち味。昨秋は6試合23回あまりを投げて失点2、防御率0.77と安定感があった。速球派右腕の坂井投手は最速145キロの直球に自信を持つ。昨秋は全11試合で投げ、東京大会決勝は創価に5安打1四球、1失点完投で優勝の立役者になった。捕手・熊谷俊乃介選手とのバッテリーを中心としたセンターラインが生命線だ。
両投手は昨年夏も2年生ながら主戦として出場。しかし、チームは東東京大会5回戦で延長十回タイブレークの末に敗退した。最後に痛打を浴びた坂井は「先輩の夏を壊してしまった。すごく悔しかった」と振り返り、米沢監督は「負けたら終わり。トーナメントの怖さ、一球の怖さを身をもって知れた。それはすごく大きい」。あの悔し涙を、貴重な糧として生かしている。
明治神宮大会で大阪桐蔭を打ち破る
大阪桐蔭に勝利し、喜ぶ関東一の選手たち 【前田梨里子撮影】
過去に春夏通算14度、甲子園に出場して春準優勝、夏ベスト4の最高戦績を誇る実力校。8年ぶりのセンバツとはいえ、目標を高く設定し、プライドを懸けて戦う。寮のミーティング室の黒板には、力強く「全国制覇」と記されている。高橋主将は「口に出すことが大事。そこに向かう熱量が変わってくる」。久しぶりの甲子園でも、頂点への覚悟は本気だ。