【ガンバ大阪】勝利に導く「新たな風」は俺たちだ!金色の光を放つ「挑戦者」。山田康太がガンバのために賢く、タフに走り抜く
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「移籍というものは、自分がしたいから出来るものじゃない。評価してくれる相手がいるからこそ、そこで自分が移籍を考えることが出来るんです」
2023シーズンにモンテディオ山形から完全移籍で加わった柏レイソルをわずか1年で離れて、青黒のユニフォームをまとうことを決意した山田。
「新しいチームに加わることはすごくパワーを必要とします。でも、僕は年齢的にチャレンジしていきたい。宇佐美選手とか僕が十代の時に憧れた選手の一人もいますし、色々ないい選手の良さを吸収して自分がもっといい選手になれると思う。今回の移籍もチャレンジでしかないですね」
上手さと犠牲心を持つ現代的なアタッカー。それが山田のスタイルだ
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「強いチームになるためにはいかに犠牲心を持ってプレーする選手がいるかが大事なんです。チームのために戦いながら、個でもクオリティを出す。僕はその両方をガンバでやりたい」
横浜F・マリノス時代から技巧派で知られ、U-20ワールドカップでも主力として活躍。一方で泥臭さも併せ持つ現代的なアタッカーでもある山田にとって、2月10日に行われたサンフレッチェ広島とのプレシーズンマッチはサポーターに対しての「名刺がわり」の一戦となった。
今季からダニエル・ポヤトス監督が導入を目指す新たな4-2-3-1のフォーメーションの中で、山田はトップ下で起用される。キックオフの笛が鳴ると同時にピッチ狭しとばかりに攻守にハードワーク。金色の髪を持つ背番号9は開始早々の4分に最前線でセカンドボールに反応すると右サイドを走る岸本武流に迷わず展開。岸本のクロスから決定機が生まれたが、山田にとっても狙い通りのプレーだったという。
「セカンドボールを予測して、それを拾って前向きになればチャンスになると感覚的に思っていました。ボールが浮いている間に足を止めずに、予測してボールを拾うのは意識していました」(山田)
「ダニと一緒にやりたかった」。ポヤトス監督にも惹かれてガンバに加入
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「プレーの理解度も高い選手ですが彼と話をする中で『ダニ(ポヤトス監督の愛称)と一緒にやりたかった。このプレースタイルでやりたかった』と言ってくれていた。彼に期待することはセンターフォワードとの関係性で1.5列目の役割をしっかりと果たして欲しい」(ポヤトス監督)
リアクション型のサッカーも苦にはしないが、山田が本来得意とするのはボールを握るスタイルでのプレーである。
山田は言う。
「レイソルでは自分でも新たなチャレンジをして成長できた部分もありましたけど、自分の理想はもっと中央で攻守に絡みながら、味方と連携したり、どこに立ち位置を取れば自分が味方に生かしてもらえるかを考えること。ガンバでそんなサッカーをやれると思いますし、更に磨いて行きたいです」
サンフレッチェ広島戦では82分間、ピッチに立ち交代直前まで強度の高いプレーで攻守に貢献した山田ではあるが、コンディション的にも連携的にも、まだ100%には程遠いという。
それでも、「山田効果」は攻守両面で随所に顔を覗かせた。
「彼の持ち味は上手さもその一つですけど、ハードワークも出来る。あんなに走れる選手だと思っていなかったので、実際に加入して一緒にプレーしてから僕も驚きましたし、あれだけ前でチェイスしてくれると僕たち守備陣もラインを上げられますから」と黒川圭介はチームの思いを代弁した。
ただ、山田は決して、ガムシャラにピッチを駆け巡っている訳ではない。
サンフレッチェ広島戦でも劣勢時に「後半の苦しい時間帯は僕も少し、1トップのとの縦関係から自分が前に出て、広島のボールホルダーにプレッシャーをかけ、いいタイミングでロングボールを蹴らせないようにしていました」と自らの判断で守備のやり方を微修正。アリバイプレスではない山田の迫力は何度かサンフレッチェ広島のビルドアップのミスを誘発していたのだ。
「本当に彼には期待していますし、このスタイルにハマる選手だと思っています。そして、ゴール前でのラストパスのところも彼は良さを持っているので、そこのところでチームを助けて欲しいなと思いますし、しっかりとセンターフォワードにパスという栄養を与えながら、センターフォワードの選手が活躍できるような状況作りというのを期待して行きたい」(ポヤトス監督)
エゴとは無縁。ただガンバではゴール・アシストでの貢献も目標に
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何故かーー。
山田には確固たるポリシーがある。
「極論を言うと、自分が点を取りたいなら、守備を控えめにして、攻撃でパワーを使えるためにパワーをセーブしておくことも出来るんですよ。でも決定的な仕事を他の人がして、僕がそこに絡めなくてもそれでいいんです。チームのためのプレーをするのも今は、全く苦じゃないし、チームが勝つためにやらないといけないことをやるだけです」
一方で、まだ無限の伸びしろを残す背番号9は、ガンバ大阪で取り組むスタイルと、新たに得た仲間とのサッカーに手応えや可能性も感じているという。
球際の激しさや攻守の切り替えの速さは大前提だが、ポヤトス監督は時にボールに近寄りすぎない立ち位置や、スペースを自ら作り出す戦術眼も選手に要求する。
「ダニのサッカーは新鮮で、今まで僕が意識してこなかった点がある。自分がチームを助けに行くのではなくて、チームとして僕のところにボールを運んできてもらって、より相手にダメージを与えられる場所で自分のクオリティを出せばいいという指示が新鮮でした」(山田)
モンテディオ山形時代にはピーター・クラモフスキー監督(現FC東京)の変則的なスタイルにフィットし、柏レイソルでは強度の高い、縦に速いスタイルに対応。柔軟性の高さも一級品である。
そんな山田が待ち侘びるのがホームのサポーターの前で初お披露目となる3月2日のアルビレックス新潟戦だ。
「ガンバではより攻撃に絡まないといけない立場だと分かっています。チームの成績に直接関係するポジションをやらせてもらうので、より数字にこだわりを持ってやりたいですし、まずはサポーターに認めてもらって、ガンバの一員として戦うつもりです」(山田)
ただでさえ人目を引く明るい金色の髪だけでなく、気迫に満ちたダイナミックさも併せ持つ山田の熱いプレーは、必ずサポーターの目を釘付けにするはずだ。
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